関口陽/違法「正義の味方」アータヴァカ (1)
あたしが生まれる前とは言え、いわゆる異能力者の存在を一般人も知る事になってから……そして、その中でも「魔法使い」「呪術師」「霊能者」の人数に至っては「当事者達自身が、自分達で予想していたより、自分達の同類が2〜3桁多かった」事を知ってから、30年ぐらいしか経ってねえ。
だから、魔法だの呪術だの霊能力だのについて、使える当事者自身が未だに良く判ってない。
ある流派では「常識」だった事が、別の流派では全く知られてなかった、なんて、まだまだ、良く有る事だ。
ガチで齢が10違えば「子供の頃は才能が有るように見えたのに、結局、修行してもモノにならなかった」なんて悲劇を避けられたかどうかが、全く違ってくる。
発展期と言えば聞こえはいいが、今日の常識が5年後には間違いだった、と判る可能性も、かなりデカいって事だ。
特に、一般人(例えば、ここに居るよ〜な異能力犯罪専門の警察官とか)がマジック・アイテム的なモノを使う場合のノウハウとやらは……絶望的に足りてねえ。
「そんなの有りかッ? 何で、こうなるッ?」
霊力を込めた狙撃銃の弾が、擬似ゾンビの胸に大穴を空けたはいいが、その傷は、あっさり塞がった。
多分、骨までは再生してねえが、もう、人間じゃないモノに成りかけてるんで、あたしらにとっては、ともかくとして、御本人にとっては問題有るまい。
「例のクスリを使ったせいで、危険い悪霊や魔物を呼び寄せても、どんなタイプの奴らがやって来るかは、人によって違うんですよ」
「はぁ? マジかよ? 聞いてねえぞ、そんな話ッ‼」
「だって、あのクスリは、使った奴の霊力とか霊感を暴走させるモノなんで、使ったヤツの霊力のタイプが違えば、違う種類の魔物を呼び出しちゃうんですよ……って、あ〜ッ‼」
空中に……観えた……。
あたしらの流派では、いわゆる「霊視」に関しては、普通の「見る」と「観る」を区別してる。「見る」は理系用語でいうパッシブ・センシングで、「観る」は同じく理系用語で言うアクティブ・センシングだ。理系用語を聞くと蕁麻疹が出る体質のあたしが言う事じゃねえが。
早い話が、「観る」方が得られる情報は多いが、相手に気付かれる危険性も爆上がりする。
そして、あたしが「観た」モノは……霊力を込めた銃弾の跡……。
もちろん、これは「気配」なんかを、あたしの脳が無意識の内に変換してるだけで、実際とは色々と違うモノなんだろうが……。
けど……1つだけ言える事が有る。
「弾に込めた霊力が弱過ぎたんだろ」
お隣に居る警察官さんは、狙撃手と無線通信してるらしいが……。
「いや、逆っす……」
「へっ?」




