眞木桜/レンジャー隊 門司第2小隊 副隊長(ブルー) 兼 パワー型(イエロー) (1)
「お前も居残り組かよ?」
あたしは、勤務地が久留米だった頃からの腐れ縁の非合法「正義の味方」に、そう訊いた。
「ま、あたしも広い場所で暴れる方が性に合ってるんで……」
そう答えた、そいつも、ゴツい強化装甲服を着装っている。
残念ながら、性能は、あたしら「レンジャー隊」に支給されてるヤツよりも上だ。
「じゃあ、上には、もうお前の仲間が行ってるのか?」
「あと、釜山の同業者……待って……離れてッ‼」
「えっ?」
どうやら、こいつの仲間から無線通信が入ったらしいけど……。
思わず飛び退いた、次の瞬間……。
ドゴォっ‼
とんでもない轟音。
道路の舗装が凹む。
「な……何だ、こいつは……?」
そいつの両手両足はゴツい機械式の義手義足で……背中にはバッテリーパックらしいモノを背負っている。
そして、目は血走り……多分、生身の部分は俗に言う「擬似ゾンビ」と化してるだろう。
早い話が、呼吸はしてる、心臓は動いてる、脳波も一応出てる(検出装置を大人しく頭に被ってくれればだが)……医学的には「生きてる」と判断されるだろう。だが、放っておけば完全な「ゾンビ」に変るけど、かと言って、取り憑いてる悪霊だか邪気だかを祓えば死んじまう状態だ。
どうやら、目の前の雑居ビルの屋上か上の階から飛び降りやがったらしい。
まぁ、普通は頭から落ちるし、足から落ちる事に成功しても、着地した途端に足が折れるモノだが、義足が糞重いせいで、足から落ちて、しかも、義足にショック・アブソーバーでも付いてたらしい。
「通称『タングステン・フィスト』。『熊おじさんホールディングス』の武闘派メンバーん中では、結構、有名なヤツっす」
「おっし、じゃあ、伏せろ」
「えっ?」
「伏せろ。こっちで対処する」
「嫌な予感しかしねえなあ……」
「ブツブツ言ってないで伏せろ」
非合法「正義の味方」が腰を屈めると……。
「そっちの準備はOK?」
『はい、待機場所に到着してます』
「じゃあ、射線は通ってる?」
『そっちも大丈夫です。二次被害は最小限で仕留められます』
「じゃあ、あたしらの目の前の奴に一発ぶちかませ」
『了解』
向いのビルに待機してる狙撃チームから返事が返って来た途端。
ボオンっ‼
そのタングステン・フィストだか何だかの胸にデカい風穴が空き……。
「えっ?」
その穴は見る見る間に再生して塞がり……。
「そんなの有りかッ? 何で、こうなるッ?」
「例のクスリを使ったせいで、危険い悪霊や魔物を呼び寄せても、どんなタイプの奴らがやって来るかは、人によって違うんですよ」
「はぁ? マジかよ? 聞いてねえぞ、そんな話ッ‼」
「だって、あのクスリは、使った奴の霊力とか霊感を暴走させるモノなんで、使ったヤツの霊力のタイプが違えば、違う種類の魔物を呼び出しちゃうんですよ……って、あ〜ッ‼」
あ……何か、霊感とやらが一般人並のあたしでも「マズい」と判る位……目の前に居るヤツの「霊力」だか「気」だかが強まっていき……。
『変です。ちゃんと霊力を込めた弾を使った筈なのに……』
「弾に込めた霊力が弱過ぎたんだろ。後で『魔法使い』系の特務要員に、ちゃんと言っとけ」
「いや、逆っす……」




