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荒神録:Take Your Tyrant  作者: HasumiChouji
プロローグ
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1/1

レコンキスタ・レンジャー隊 門司第2小隊

「で、最近、釜山(こちら)で出回り出した麻薬の資料を読んだのですが……それだけでは良く判らない点が有りまして……」

 韓国版の「あたしら」の釜山(プサン)チームの隊長は、ウチの隊長に、そう話し掛けた。

 いや、どうやら、九州を拠点にしてる異能力者系の暴力団「もふもふアミューズ」と、釜山を拠点にしてる「合法(シロ)でも違法(クロ)でも金になりさえすりゃ、何でも節操なく手を出す『悪の総合企業』」である「熊おじさんホールディングス」の「子会社」同士によるドツキ合いが始まってて、現場に向かってる最中にそんな事を言われてもだが……まぁ、到着早々に騷ぎが起きたんで、移動用の装甲車内でミーティングをやる羽目になった。

「ええっと、何て言うか……韓国語でも発音は同じですかね、これ?」

 ウチの隊長(レッド)がメモ用紙に2つの単語を書いて、向こうの隊長に示す。それは「麻薬」と「魔薬」だ。

「そんな日本語有りましたっけ?」

 向こうの隊長は「魔薬」の方を指差す。

「その薬は、半年ぐらい前まで日本の九州に存在していた通称『九州3大暴力団』が取り扱ってた商品で……」

「そこまでは資料に書いてありました」

「ただし、色々とヤバい品物(ブツ)なんで、自分達の縄張り(シマ)では売らずに、あくまで、敵対組織の縄張り(シマ)でだけ売ってたような代物でして……」

「でも、成分を見ると……ほぼ全てが植物由来で、1つ1つは軽い幻覚剤や向精神薬程度の効果しか……」

「全部混ぜ合わせると、どうも使ったヤツの『霊感』ってのを大幅に底上げする作用が有るらしくて……」

「つまり、えっと……何ですか? この薬を服用した者に見えてる『幻覚』は本当は幻覚じゃなくて……」

「ええ、どうも、本物の悪霊だか魔物だかが見えるようになるらしくて……その上……」

「その上?」

「『魔法使い』系の才能は有ったけど、本人は気付いてないか、修行を途中でドロップアウトした奴が服用すると、一時的に『魔法使い』系の能力がUPするらしくて……」

「何か、マズそうなのは理解出来ますが具体的に……おっと」

 その時、あたしらが載ってる装甲車が急ブレーキ。

 韓国側の隊長は、韓国語で運転手に何が起きたかを訊いてるらしいが……。

「あの……そろそろ、現場っすか?」

 あたしは翻訳アプリ経由で、こっちの副隊長に訊いてみる。

「そうですが……」

「ええっと……こっちの警察に『魔法使い』系の能力を持つ人って居ます?」

「えっ?」

 その時、韓国側の隊長が大声で部下に命令、装甲車の扉が開く。

「大体、判りました……つまり、半端に『魔法使い』系の才能が有る奴が、あの薬を服用すると……こうなる、と……」

 あたしらが装甲車から出た途端、明らかに様子がおかしい……。

 周囲には一般人並の霊感しか無い……いや、そもそも戦闘訓練を受けただけの一般人だが……あたしらにさえ、剣呑(ヤバ)そうな「何か」が飛び交っているのが見えた。

「うがぁ〜‼」

「河童? 日本の異種族(XENO)が何で?」

 韓国側の隊員は、そう言いながら、発砲。発砲前に警告を言う暇すらねえ。しかし……。

「あ、駄目、そいつら9㎜パラ程度じゃ……」

 走って来る勢いだけは殺せたが、甲羅は貫通出来てねえみたいで、目を血走らせ、大きく開いた口からは大量の涎を撒き散らしながら……。

「オン・バサラ・クシャ・アランジャ・ウン・ソワカ‼」

 その時、聞き覚えが有る呪文が響く。

「うがあああ……」

 ()()()()()()()()()()()()()()河童は、炎のように見える「何か」に包まれ崩れ落ちていく。

「おい、てめぇ、何で、韓国に居る?」

「何で、あんたらが、韓国に居るんすか?」

 あたしと、そいつは、ほぼ同時に似たような事を叫ぶ。

「おい、細けえ話は後だ。力貸せ。当面の目的は同じだろ」

 そう言いながら、あたしは強化装甲服(パワードスーツ)の背面に有る大型金属(アーム)を展開。

「嫌っす」

「何で?」

「力の無駄使いになるんで」

「だ……誰?」

 韓国側のメンバーが、そう訊いたが……。

「日本の違法『正義の味方』です……。何で、ここに居るかは不明ですが……」

 ウチの隊長(レッド)が、そう説明する。

「いいからやれッ‼ 当面は味方だろッ‼」

「じゃあ、日本のパワー型(イエロー)さんは除いて……」

 そして、ヤツが何か呪文を唱えた瞬間……ヤツが握ってた小型のナイフから炎のようなモノが、いくつも放たれ……そして、あたしを除く各自の弾倉に吸い込まれ……。

「これで、悪霊や魔物なんかに取り憑かれたヤツに対して多少は鉄砲玉が効くようになる筈っす」

「何で、あたしだけ別なんだッ? 嫌がらせかッ?」

「発生源は、あそこで……」

 ヤツが指差した先は……雑居ビルの1つの上の方の階。たしかに、そこから何か気味の悪い(わりい)「気」だか何だかが吹き出してる。

「それで?」

「あの建物の入口は、こっちっす……」

 そこは……到底、あたしが装着してるパワー型(イエロー)強化装甲服(パワードスーツ)に装備されてる大型金属(アーム)を振り回せそうにない路地だった。

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