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真実と旅をしよう。  作者: 暁狐うきょう
3章 動機不明

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33/36

保証する

 ――八月一日の早朝、小笠原はPCを持って事務所を訪れた――


「ありがとうございます。お預かりします」


 御影は小笠原からPCを受け取った。

 

「はい、お願いします。私はこの後、仕事なので失礼します」


「お忙しい中、ありがとうございます」


「いえ……。失礼します……」


 小笠原は少し元気が無い様子で、慌ただしく事務所を後にした。


「小笠原さん、大丈夫だろうか……」


「確かに元気なさそうだったね……」


「あぁ……。まぁ、とりあえずPCの中を確認しよう」


「そうだね」


 御影はテーブルにPCを置き、起動させる。そして、小笠原から聞いたパスワードを入力し、開くことが出来た。


「……掲示板サイトは……これか」


 御影は掲示板サイトを開き、内容を確認する。すると、小笠原の言ってた通り、千遥と武内のDMがあった。


「あった……」


「お、何て書いてある?」


 DMの内容は他愛も無い話だった。

 知り合いから貰ったエナジードリンクが美味しいことや武内の家には、サウナがあるから来てみないかと、千遥を誘っているようだった。この二人の関係性は所謂、ネッ友と言うものだったのだろう。

 二人の会話の中で、エナジードリンクについて話している部分に御影は、千遥の家のことを思い出す。


「エナジードリンクって……あれか?」


「あ〜カーペットのシミのかな?」


「おそらくな……。あれは武内に貰った物なのか?」


「かもね〜……。へぇ……サウナか……良いな〜俺も入りたいな〜」


 旭は書き込みを見て、武内の家にサウナがあることに羨ましがっていた。


「なんだ、サウナ好きなのか?」


「たまに入ると、スッキリするからさ〜!」


「ふーん……」


「え?自分で聞いといて、その反応!?」

 

 御影はあまり興味無さそうに反応した。その反応に少し不貞腐れた旭。


「あ〜はいはい……。で、次だ。千遥さんが作った記事見てくか……」


「へ〜い……」


 御影は次に、千遥の作成した記事をまとめてあるファイルをクリックした。すると、大量の資料と記事が出て来た。


「うわ……何だこの量……」


「大量だね〜……」


「……さすがに全部見るのは時間かかるな……。俺のPCにも移してから小笠原さんに返すか……」


「だね〜……」


 そう言うと御影は、そのファイルの順番を更新日順に変える。すると、あることに気がついた。


「ん……最近のやつでも日付がだいぶ前だな。半年前だ……」


「あれ、本当だ。どゆこと?消したのかな?」


「……復元……出来るか怪しいな……」


「いつ消されたのにもよるね……。最近だったら、復元出来るかも」


「試すか……」


 三十分程、御影は試行錯誤し、記事の復元をしようとしたが上手くいかなかった。


「……あ〜……無理だこれ……」


「無理だったか〜残念……」


「俺、そこまでPCに詳しい訳じゃないからな……」


「俺も〜……」


「だよな……。どうするか……」


「とりあえず、他に手がかりないか見てみよ」


「あぁ、だな……」


 ――その一方で来栖と慎一郎は、防犯カメラ映像の消去された部分を入手する為、再び小笠原千遥の自宅のマンションに向かっていた――


「また来る羽目になるとは……」


「いいんですかね、勝手に入って……」


「大丈夫、大丈夫〜。あ、すみません。警察です」


 来栖はエントランスの窓をコンコンと軽く叩き、そこにいた管理人に話しかけた。眠気眼で管理人は、顔を上げた。


「はい……。あれ……この前の警察の方ですよね。どうされました……?」


「ちょっと防犯カメラの映像に不備を見つけまして……少しお話いいですか」


「は、はい……。こちらからどうぞ……」


「ありがとうございます。失礼します」


「失礼します」


 来栖と慎一郎は軽く会釈し、管理室に入った。二人が椅子に座ると、管理人は話を切り出した。


「それで……防犯カメラの映像の不備とは、何でしょうか……?」


「あのですね……。この前頂いたあの映像、切り取らていた部分があったんですよ。……知ってますよね?」


「え……いや、何の事ですか?」


「……六月三十日の十八時二十七分……」


 来栖の話を聞いて、管理人は少し肩を震わせた。


「その時間から、すぐ十八時五十二分に時間が飛んでいるんですよ。誰が手を加えたとしか思えないんです」


「わ、私は何も……知りません」


 管理人は怯えながら何かを隠している様だった。それに気がつき、来栖はグイッと近づき管理人に質問する。


「本当に?……それとも誰かに脅されて……?」


 それでも管理人は口を噤んだ。その様子を見た来栖は、椅子に座り直した。

  

「管理人さん……私達は警察です。本当に脅されているのなら、私達に頼って下さい。貴方を守ります」


 来栖はさっきとは違う優しい声色で話しかけた。それに少し安心したのか、管理人は話し出す。

 

「すみません……。私が……映像に手を加えました……」


 管理人は震えた小さな声で言った。


「そうですか。では、誰にそれを命令されましたか?」


「な、名前は……知りません……。でも、自分をシャイニングしいたけ……って言ってました……。防犯カメラの映像の一部を切り取れと言われました……。もし、従わなかったらお前も殺すと……脅されました……」


 武内の言葉、()()()()()()。それは、自分の犯行を自白したことになる。


「お前も……」


「それで……言う通り、映像を切り取ったら……五十万円を置いていきました……。口止め料だと……言われました」


「そうだったんですね……。教えてくれて、ありがとうございます」


「……言ってしまった……。これで……ほ、本当に守ってくれますか……!私……殺されませんよね……!?」


 管理人は涙を流しながら怯えた様子で、来栖の肩を掴んだ。管理人の手にそっと自分の手を添え、真剣な眼差しで見つめる。


「えぇ……。安心してください。ここら一体の巡回を増やし、貴方を守りますよ」


「ありがとう……ございます……」


 管理人は安心し、来栖の肩を掴んでいた手をそっと離した。


「では、元の映像って残っていますか?」


「えぇ、あります。念の為と思って……」

 

「そちら頂いても?」


「はい、持ってって下さい」


「ありがとうございます」


 来栖は管理人から元の映像を貰い、その場を後にした。

 マンションを出ると来栖は、体をグイッと伸ばした。


「はぁ〜良かった、元映像があって!」


「そうですね。でも、よくあの人が脅されているって分かりましたね」

  

「雰囲気が、そんな感じしたんだよ」


「雰囲気……。ざっくりしてますね」

 

「馬酔木程じゃないけど、長く刑事やってると分かるのよ。あ〜お腹空いた!そこのコンビで何か買ってくるか〜」

  

「私が買ってきますよ」


「ほんと〜!ありがとね!」


「いえ、何食べます?」


「唐揚げ弁当!」


「ガッツリいきますね、分かりました。ちょっと待っててください」


「よろしく〜!」

 

 慎一郎がコンビニに入っていき、買い物へと向かった。すぐさま来栖は御影に電話をかける。


 そして御影のスマホが鳴った。それに気がつき、スマホを手に取った。


「……来栖?」


「来栖さん?どうしたんだろ?」


 御影は席を立ち、来栖からの電話に出る。


「もしもし、来栖。どうした」


「もしもし、今さっき防犯カメラ映像の元の映像貰ったよ」


「本当か!良くやったな」


「それでさ、管理人さんが武内に脅されてたらしい。それで本当の事を言えなかったみたい。でも、必ず身の安全を保証するって言ったら教えてくれた」


「なるほど、忙しいのにありがとな」


「いえいえ。また非番の時、そっち映像持ってく」


「あぁ。助かる」


 そこで電話を切った。


「……あとは……()()()の防犯カメラね……」

 

――次回へ続く――

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