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真実と旅をしよう。  作者: 暁狐うきょう
2章 タイムリミット

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閉鎖空間

 ――暗号を解読した御影と旭。次に送られてきた動画を頼りに、Kの居場所の特定に急ぐ――


「……分かってることと言えば……学校の廃墟って事だけだな……」


「そうだね〜……最近、学校が閉校する事が多いからな〜……校章とかが分かれば、すぐに特定出来るんだけどな……」


 すると前田のスマホが鳴った。前田は恐る恐るスマホを開き、御影のPCに転送をした。

 そして御影が、新しく送信されてきた動画を再生する。


「やぁやぁ!Kだよ!暗号は解けたかな?まぁさすがに彼氏くんでは解けないか(笑)ところで俺の居場所は分かったかな〜?まぁ、学校だって言う事は分かったと思うけど……。ところで……学校と言ったら()()だよね」


 Kはそう言うと、高峯の方へと近づいて彼女の顔色を確認した後、突然髪を掴み彼女の顔を思いっきり殴った。

 その光景に動画を見ていた三人は、唖然とする。


「や……やめろ……!」


 前田は思わず言葉が出た。だが、動画のKに言っても無駄でKは手を止めなかった。前田は体を震わせ涙が止まらない。

 Kは高峯を殴る蹴るの暴行を加えた後、バケツに入っていた水を彼女にぶち撒けた。その後、Kは何も言葉を発さず動画が終了した。その場は少しの間、静まり返った。


「こいつ……!」


 御影は表情にはあまり出さないが、怒りが込み上げていた。旭は無言のまま画面を見つめていた。

 そして前田は泣きじゃくった顔を拭き、顔を上げる。


「早く……早く……助けないと……!紗良が……死んでしまう……」


「はい……すぐにKの居場所を特定します。もう少し……お待ちください」


「お願いします……!」


 前田は藁にもすがる思いで、御影に懇願した。

 その思いに答える様に御影は頷くと、今まで送られて来た動画を隅々まで見返した。

 すると御影はある違和感の正体に気がついた。動画の節々にある妙なラグ。御影はKから送られて来た動画を編集ソフトへ移し、動画を見やすいように加工した。


「……これか……。ちょっと二人にも見てもらいたい」 


「……ん?何?」


 旭と前田は、御影のPCの画面を見ると、そこには数字の羅列が表示されていた。


「え……?こんなの……動画にあった?」


「……これはサブリミナルだな……」 


「サブリミナル……?」


「まぁ簡単に言えば、人間が認識出来ない程の一瞬の映像を言います。ですが、これは簡単な編集ソフトで作られてる為、上手いこと加工すればこうしてハッキリと映す事が出来ました」


「……この数字……何だろ……」


「……何だろうな……。見た事ある羅列に思えるが……」


「う〜ん……」


 その数字の羅列が何なのか御影は頭を悩ませる。

 再び御影と旭は、動画を繰り返し見る事で何か手がかりが無いかを探る。

 すると動画とにらめっこをしていた旭が、前田に問いかける。


「……ねぇ、前田さん」


「……は、はい……」


「なんか気になってたんだよね。……Kって……前田さんの知り合いじゃないの?」


「……え?」


「だってさ、Kの口調が不思議だったんすよ。前田さんの事を知ってる人の口調じゃない?」


 旭は動画のKが話している部分を再生する。


「やぁやぁ!Kだよ!暗号は解けたかな?まぁさすがに彼氏くんでは解けないか(笑)」


「ほら、ここ……!あと……」


 旭はその前に送られて来た動画の一部も再生する。


「やぁ、Kだよ!俺がどこに居るか分かったかな?分かんないか!馬鹿だもんね!そんな頭の悪い彼氏くんにヒントをあげる!」


「……何で見ず知らずの相手を()鹿()だと決めつけていると思う?」


「……た、確かに……」


「前田さん……Kと言う人物に……本当に心当たりはありませんか?」


 前田は俯き口に手を当て考えている様に旭は思えた。

 だが、御影はその様子を見て口を開く。


「……前田さん、何か言いづらい事があるんですね」


「……えっ?」


 御影の発言に驚き目が泳ぐ前田は、すぐにまた俯いた。前田の前に御影が座り話し始める。


「……前田さん、話してください。貴方が今、心に仕舞っているものは……何ですか……」


 御影は前田の目を真っ直ぐと見つめ、問いかける。

 前田は悩んだ末、話し始める。


「……Kに……心当たりがあります」


「……その心当たりは……?」


「……幼なじみに……(かじ)……梶 秋宏(かじ あきひろ)……って言う奴がいます……」


「梶……K……。では、その人との関係性など詳しく教えてください」


 前田は少し躊躇いを見せたが、覚悟を決めたのか話し始める。


「梶とはさっきも言った通り、幼なじみで小中の頃は一緒の学校でしたが、高校は別です。その後……大学で再開して……一緒で遊んだりしました。……でも、三日後の結婚式にも……来てくれるって話してたんです……」


「なるほど……。前田さんの話を聞くに、梶さんとは仲が良さそうに思えます。でもなぜ、梶さんは友人の恋人を誘拐しようと考えたんでしょうか。……まぁ、これはあくまで梶を犯人と仮定しての話ですが……」


「……それは……分かりません……」


「そうですか……不思議ですね……」


 すると旭が何かを閃き、前田に話しかける。


「あ!ねぇ、前田さん!」


「は、はい?」


「前田さんとその梶さんは、中学の同級生なんでしょう?何て学校?」


「えっと……。○○中学校……です」


「その学校って、廃校になってたりしません?」


「え?……どうだったかな……」


「調べてみますね!」


 旭が前田の出身校を調べた。すると昔の記事が出てきた。その記事にはこう書かれている。


「福島県の○○中学校は児童数の低下により、20〇〇年をもちまして廃校になる事が決定致しました。尚、翌年には近くの△△中学校との合併により□□中学校と学校名が変更されます」


「…○○中学校って七年前に廃校になってる……!ほら!」


 旭は御影と前田に、中学校について書かれている記事を見せる。前田はその記事を見て思い出す。


「思い出しました……!確かに昔、出身校が廃校になったよねって……梶と話をした事が……」


「おぉ!」

 

「ん……?ちょっと待て……さっきの数字の羅列……」


 何かに気がついた御影は、ネットで中学校の場所を検索した。


「分かった……。あの動画に映っていた数字は、マップコードだ……!」

 

「あぁ!それか!」


「これで靄が晴れたな。よし……中学校の写真とKの動画と照らし合わせるぞ……」


「OK〜!」

 

 御影と旭は中学校の写真調べ、Kの動画に映る景観を照らし合わせる。数分間写真を凝視した後、御影は確信した。


「……間違いない。Kのいる場所は○○中学校だ」


「だね!よし!じゃあ行くか!」


「……でもこの学校があるのは……福島県か……」


「福島県って……こっからどのくらいだろ?」


「片道、約四時間……」


「えっぐ……!」


「すぐに準備しよう。前田さんも荷物をまとめてください。一緒に行きますよね……」


「はい……もちろんです」


 犯人だと思われる梶と高峯が居る場所が、かつて前田が通っていた中学校であることが分かった。

 そして三人は急いで出掛ける準備をし、福島県にある前田の出身校へと足を運ぶ。


――高峯紗良が殺されるまで残り20時間――


――次回へ続く――

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