閉鎖空間
――暗号を解読した御影と旭。次に送られてきた動画を頼りに、Kの居場所の特定に急ぐ――
「……分かってることと言えば……学校の廃墟って事だけだな……」
「そうだね〜……最近、学校が閉校する事が多いからな〜……校章とかが分かれば、すぐに特定出来るんだけどな……」
すると前田のスマホが鳴った。前田は恐る恐るスマホを開き、御影のPCに転送をした。
そして御影が、新しく送信されてきた動画を再生する。
「やぁやぁ!Kだよ!暗号は解けたかな?まぁさすがに彼氏くんでは解けないか(笑)ところで俺の居場所は分かったかな〜?まぁ、学校だって言う事は分かったと思うけど……。ところで……学校と言ったらあれだよね」
Kはそう言うと、高峯の方へと近づいて彼女の顔色を確認した後、突然髪を掴み彼女の顔を思いっきり殴った。
その光景に動画を見ていた三人は、唖然とする。
「や……やめろ……!」
前田は思わず言葉が出た。だが、動画のKに言っても無駄でKは手を止めなかった。前田は体を震わせ涙が止まらない。
Kは高峯を殴る蹴るの暴行を加えた後、バケツに入っていた水を彼女にぶち撒けた。その後、Kは何も言葉を発さず動画が終了した。その場は少しの間、静まり返った。
「こいつ……!」
御影は表情にはあまり出さないが、怒りが込み上げていた。旭は無言のまま画面を見つめていた。
そして前田は泣きじゃくった顔を拭き、顔を上げる。
「早く……早く……助けないと……!紗良が……死んでしまう……」
「はい……すぐにKの居場所を特定します。もう少し……お待ちください」
「お願いします……!」
前田は藁にもすがる思いで、御影に懇願した。
その思いに答える様に御影は頷くと、今まで送られて来た動画を隅々まで見返した。
すると御影はある違和感の正体に気がついた。動画の節々にある妙なラグ。御影はKから送られて来た動画を編集ソフトへ移し、動画を見やすいように加工した。
「……これか……。ちょっと二人にも見てもらいたい」
「……ん?何?」
旭と前田は、御影のPCの画面を見ると、そこには数字の羅列が表示されていた。
「え……?こんなの……動画にあった?」
「……これはサブリミナルだな……」
「サブリミナル……?」
「まぁ簡単に言えば、人間が認識出来ない程の一瞬の映像を言います。ですが、これは簡単な編集ソフトで作られてる為、上手いこと加工すればこうしてハッキリと映す事が出来ました」
「……この数字……何だろ……」
「……何だろうな……。見た事ある羅列に思えるが……」
「う〜ん……」
その数字の羅列が何なのか御影は頭を悩ませる。
再び御影と旭は、動画を繰り返し見る事で何か手がかりが無いかを探る。
すると動画とにらめっこをしていた旭が、前田に問いかける。
「……ねぇ、前田さん」
「……は、はい……」
「なんか気になってたんだよね。……Kって……前田さんの知り合いじゃないの?」
「……え?」
「だってさ、Kの口調が不思議だったんすよ。前田さんの事を知ってる人の口調じゃない?」
旭は動画のKが話している部分を再生する。
「やぁやぁ!Kだよ!暗号は解けたかな?まぁさすがに彼氏くんでは解けないか(笑)」
「ほら、ここ……!あと……」
旭はその前に送られて来た動画の一部も再生する。
「やぁ、Kだよ!俺がどこに居るか分かったかな?分かんないか!馬鹿だもんね!そんな頭の悪い彼氏くんにヒントをあげる!」
「……何で見ず知らずの相手を馬鹿だと決めつけていると思う?」
「……た、確かに……」
「前田さん……Kと言う人物に……本当に心当たりはありませんか?」
前田は俯き口に手を当て考えている様に旭は思えた。
だが、御影はその様子を見て口を開く。
「……前田さん、何か言いづらい事があるんですね」
「……えっ?」
御影の発言に驚き目が泳ぐ前田は、すぐにまた俯いた。前田の前に御影が座り話し始める。
「……前田さん、話してください。貴方が今、心に仕舞っているものは……何ですか……」
御影は前田の目を真っ直ぐと見つめ、問いかける。
前田は悩んだ末、話し始める。
「……Kに……心当たりがあります」
「……その心当たりは……?」
「……幼なじみに……梶……梶 秋宏……って言う奴がいます……」
「梶……K……。では、その人との関係性など詳しく教えてください」
前田は少し躊躇いを見せたが、覚悟を決めたのか話し始める。
「梶とはさっきも言った通り、幼なじみで小中の頃は一緒の学校でしたが、高校は別です。その後……大学で再開して……一緒で遊んだりしました。……でも、三日後の結婚式にも……来てくれるって話してたんです……」
「なるほど……。前田さんの話を聞くに、梶さんとは仲が良さそうに思えます。でもなぜ、梶さんは友人の恋人を誘拐しようと考えたんでしょうか。……まぁ、これはあくまで梶を犯人と仮定しての話ですが……」
「……それは……分かりません……」
「そうですか……不思議ですね……」
すると旭が何かを閃き、前田に話しかける。
「あ!ねぇ、前田さん!」
「は、はい?」
「前田さんとその梶さんは、中学の同級生なんでしょう?何て学校?」
「えっと……。○○中学校……です」
「その学校って、廃校になってたりしません?」
「え?……どうだったかな……」
「調べてみますね!」
旭が前田の出身校を調べた。すると昔の記事が出てきた。その記事にはこう書かれている。
「福島県の○○中学校は児童数の低下により、20〇〇年をもちまして廃校になる事が決定致しました。尚、翌年には近くの△△中学校との合併により□□中学校と学校名が変更されます」
「…○○中学校って七年前に廃校になってる……!ほら!」
旭は御影と前田に、中学校について書かれている記事を見せる。前田はその記事を見て思い出す。
「思い出しました……!確かに昔、出身校が廃校になったよねって……梶と話をした事が……」
「おぉ!」
「ん……?ちょっと待て……さっきの数字の羅列……」
何かに気がついた御影は、ネットで中学校の場所を検索した。
「分かった……。あの動画に映っていた数字は、マップコードだ……!」
「あぁ!それか!」
「これで靄が晴れたな。よし……中学校の写真とKの動画と照らし合わせるぞ……」
「OK〜!」
御影と旭は中学校の写真調べ、Kの動画に映る景観を照らし合わせる。数分間写真を凝視した後、御影は確信した。
「……間違いない。Kのいる場所は○○中学校だ」
「だね!よし!じゃあ行くか!」
「……でもこの学校があるのは……福島県か……」
「福島県って……こっからどのくらいだろ?」
「片道、約四時間……」
「えっぐ……!」
「すぐに準備しよう。前田さんも荷物をまとめてください。一緒に行きますよね……」
「はい……もちろんです」
犯人だと思われる梶と高峯が居る場所が、かつて前田が通っていた中学校であることが分かった。
そして三人は急いで出掛ける準備をし、福島県にある前田の出身校へと足を運ぶ。
――高峯紗良が殺されるまで残り20時間――
――次回へ続く――




