表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百人転生~彼の者たちは異世界でそれぞれの道を往く~  作者: 猫宮いたな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/13

近接戦闘と魔法(2)


 父さんとの近接戦の特訓を始めてから、ほんの少し日常に変化が起きていた。

 いつもより早く起きて、腕立て腹筋スクワッドを三十回、三セット。

 その後は素振りを五十回、三セット。

 それを終えてようやく朝ごはんだ。


 最近気が付いたのは、父さんはいつも食べてるご飯はサラダチキンにブロッコリーみたいな食べ物と、簡単に言えば筋トレに向いた食べ物ばかりだ。

 思えば、父さんは豊満な体のように見えるけど体が引き締まっているいつも着ているブカブカの服がそう見えるだけ。

 この食事のおかげか、現役を引退した今でもその筋肉に衰えはないようだ。


 食事を終えたら、今度は魔法と魔術の訓練。

 最近はどれも基礎の練習ばかり、剣術の練習をするようになってから基礎の大切さを改めて理解した。

 基礎を固めるだけで数段魔法、魔術の威力が拡大する。


 これから姉さんの師匠の元で魔術の特訓をするなら、基礎固めをしていくべきだろう。応用は師匠さんの元で習えばいい。


 魔法の発生と操作だけを繰り返す。

 大きさも持続時間も毎回変えて。


「あんた、分かってんじゃん」


「姉さんと違って、頭いいからね」


 小馬鹿にするつもりで軽口をたたくと、雷魔術の一つのレールガンが飛んできた。

 威力は相当抑えたつもりなのだろうが、石柵に穴が開いていた。

 そんな強力なものを人に向かって撃つなと思ったが、今回はボクが煽ったのが悪いし反省しよう。


「ボクは基礎もできていないし、基礎ぐらい完璧にしないと怒られそうじゃん」


「そんな厳しい人でもないけどね、師匠は」


 最近、毎日魔法の特訓をしているボクを見て背中を押されたのか最近は姉さんもよく魔法の特訓をするようになった。

 そして、ボクがまだ使えない魔術を見せつけるように発動しまくっている。


 姉さんはボクと違って魔術を発動する時、必ず詠唱をする。

 ボクは一部の魔術を無詠唱で発動できるが全員が全員、無詠唱魔術の使用はできないのだろうか。

 それとも、無詠唱魔術にはボクの知らないデメリットがあって姉さんは意図して使わないようにしているのか。


 詳しくは分からないが、姉さんの師匠の元に行けば知れるだろう。

 教会でもらった教本にはあんまり詳しいことは書いていないからな。


 魔法の訓練は、昼ごはんまで続ける。

 昼は父さんが仕事でいないからボク達の好みに合ったご飯を用意してくれる。今日は具の大きなスパイスカレーだ。


 カレーをみんなで食べて、昼からの予定を考える。

 最近は何を勉強すればいいかも分からなくなってしまった。

 というのも家にある本は全部読み切ってしまって、教会でもらった五冊の魔導書も全て読み切ってしまって、まぁ暇なわけだ。


「久しぶりに書いてみようかな」


 ボクは前世じゃ、小説家見習いだった。毎日のようにパソコンに向き合って小説を書いて、自己満でインターネットの海にそれを流す生活を繰り返していた。

 この世界に来てから物語を書いていなかったけれど、たまには書いてみるのもありかな。文字を書いていると落ち着くし。

 とはいえ、前の世界じゃパソコンで書いていたから文字を書くこと自体かなり久しぶりな気がする。

 それこそ、高校の授業が最後とかの気がする。多分……。


 前の世界で書いた小説をこっちの世界で書いて売ったら人気になるのかな。異世界転生ものとかこっちの世界の人からしてみればどんな感覚なんだろうな。

 魔法が当たり前じゃない世界をどんなふうに思うんだろう。


 夕方からは父さんとの稽古があるし描けるのは三時間ぐらいかな。

 今からほんの少し楽しみになって来た。


「母さん、紙とペン貸してほしいんだ」


 とはいえ、ボクの部屋には、紙も無ければペンもない。

 あるのは大量の本だけ。この世界は識字率はあまり高くないのだろうか。

 なんとなく、そんな気がする。


 母さんは仕事で多くの紙とペンを使っている。

 仕事をしている所は見たことないけど、時々母さんが街から沢山の紙とインクを買っているのは何回か見ていた。

 だから母さんに頼めば少しぐらいなら分けてもらえるだろう。


「何につかうの? 母さんの紙は特別なものなのよ?」


「特別なもの?」


 母さんが言うには、母さんの紙は魔法陣を書くための特別な魔法紙という物らしい。

 母さんの仕事は魔法陣を作りそれを売っているらしい。


 母さんは特別魔術師というポストについているらしいが、魔導士との違いがどんなものなのかなんて分からない。それも教本には載っていなかったし、母さんも説明するのが難しいからと説明を放棄したせいで分からずじまいになってしまった。


 特別魔術師の方は分からないままだったが、魔法陣については事細かに説明をされた。

 母さんが魔法陣を描き、それにそれぞれの魔力を込めることで自分の使えない魔法も使えるようになるという。

 ただ、魔法陣を使うのにはいくつかのデメリットはあるから母さん的には余りおすすめしないという。


「魔法陣は、かなり沢山の魔力を消費するし、そもそも魔法紙はとっても高価で貴重なの。だから正直、釣りに合わないわ」


 基本、売ってあるものは一回しか使えないらしい。

 とはいえ、うまいこと使えばボクの使う魔法が強化されるかもしれない。

 魔術と魔法陣の合体技ってやつだ。


 普通の紙でないというなら物語を書くのには向いていないな……。

 ただ、やってみたいことが一つ増えた。小説を書くのはまた今度にして、今日はそれをやってみよう。


「一枚だけでいいから、魔法紙が欲しいな」


 やってみたい事、それは魔法陣を使った時間差の魔法発動。

 魔法陣じゃなくてもいい、魔法紙の使い方を知れれば罠を作ることも出来るかもしれない。


 戦術は多いに越したことは無い。

 もしできなかったとしても、その出来なかったという知識がボクに残るからな。


「分かったわ、ただし魔法紙は危険だから母さんの目の届く範囲でやる事。いいね?」


「うん、わかった」


 これを使えば近接戦に幅が出て、父さんに一杯食わせることも出来るかもしれないな。

 基礎固めのはずだった日常に、打倒父さんという目標が生まれていた。


 小説を書くのはまた今度になってしまったのは少し残念だけど、魔法紙はすごい楽しみだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ