58話 帰路と報酬
ジャンクゴーレムを倒した一行は残り数日をかけて、帰路についていた。
〜 魔界領域 ユーズ王国付近 〜
何か心地の良い揺れを感じる。
暖かく、優しい何かを掴んでいるが、目を閉じているせいで分からない。
眠い目をゆっくりと開く。
「お!ペティの奴気がついたぞ!」
「ホントかいヴァン!?
良かったぁ〜目を覚さないんじゃないかと心配したよ!」
大袈裟に騒ぐ2人の声が聞こえる。
ペティはラストルに背負われていた。
「えっ?えっ?私いつの間に!?
ラストル!降ろしていいわよ!?」
恥ずかしさのあまり、背負われたまま慌ててジタバタするペティ。
「ペティ暴れないで!
重度の魔力欠乏状態だ。下ろしても脱力状態でまともに歩けないよ。
経験したことあるからよくわかる。
もうすぐユーズ王国に到着するから、このまま我慢してくれ。」
ラストルは落ち着かせるように言った。
「お…重くない…?」
ペティは恐る恐る聞いた。
「大丈夫だ。心配いらないよ。」
ラストルは歩きながらながら答える。
「イチャイチャは魔界領域から無事に帰還してからにしな。」
ヴァンが呆れた様子で言った。
2人は顔を赤くしてヴァンを怒った。
「ほら、ユーズ王国の門だよ!」
ムンナの指差す方にユーズ王国の巨大な門があった。
一行は無事ユーズ王国へ到着した。
〜 円形王国都市ユーズ 首都ユーズ
依頼受付デスク 〜
「わぁ!皆さん無事帰還なさったのですね!
良かったぁ〜心配してたんですぅ〜」
受付嬢パープルの甲高い声がフロアに響く。
「皆さんの旅の記録はこの魔導時計のログから確認致しました!
耐魔鉱石の回収、転送所の調査、魔物ジャンクゴーレムの討伐。非常に素晴らしい功績です!
こちらの依頼成功の情報はすぐに王様へ知らされます。
今後の魔界領域の調査にさぞ役に立つと思いますよ!
それではこちらが報酬の40万リングとなります!そして、以前の王命依頼失敗の履歴も削除となります!
それでは、またのお越しをお待ちしております!」
パープルはズッシリとした金貨袋を各々に渡して深々とお辞儀をした。
「あ、ヴァン様とムンナ様はそのままSクラス昇格の手続きができますが、どう致しますか?」
パープルはヴァンとムンナに聞いた。
「あー俺はいいや。
次の機会にするぜ。」
「私も。一人で魔界領域を攻略できるくらい強くならなければ意味がない。
今回はパーティみんなの力に頼り切っていただけだ。私も次の機会にするよ。」
二人は断った。
パープルは少し残念そうな顔をして言った。
「そうですか…分かりました。
皆さまの次なる挑戦を期待してますね!」
パープルは再度お辞儀をした。
報酬を受け取った4名はエントランスで話し合った。
「さて。しばらくは準備期間にしよう。
特にペティーはよく休む事。
手に入れた報酬で耐魔鉱石の防具を作成する。全員揃い次第、次の依頼へ出発。
これでいいかな?」
ラストルは確認した。
3名は全員頷く。
「ありがとう!
みんなのおかげで、いろいろと貴重な体験ができたよ!
素晴らしいパーティだったよ。
また、次行く時までにもっと強くなってるから絶対誘ってね!」
ムンナは手を振りながら街の中へ消えて行った。
「私もまだふらつくから先に休むわ…
防具ならジャックとダガーの所で作ってもらうといいかもしれない。きっと安くなるわよ。
私も回復したら新しい杖と服作ってもらいに行く。
今回は上手くいって本当に良かったわ。
…少し楽しかったし。
じゃあね!」
ペティーは疲れた様子で別の方向へ消えていった。
「さて、家無しの俺はまた木の上で待機かな?」
ヴァンは機を見計らうようにスタスタと歩き出した。
「ありがとうなヴァン。
お前のおかげで全員無事で帰ってこれた。
感謝の言葉しかない。」
ラストルはヴァンに礼を言った。
ヴァンは白い歯を見せて笑った。
「いいって事よ。
どうだ?二人で少し話すか?」
ヴァンは親指で手招きした。
ラストルはヴァンと一緒に一本の木がある丘へ向かった。




