57話 S級と王命
時を同じくして。
〜 円形都市ユーズ王国 ユーザルト城
王の間 〜
広大な円形都市の中心に建つ巨大な城。
その一角に王が鎮座する「王の間」と呼ばれる部屋がある。
大理石の床に赤いカーペットが一直線に走り、その先に玉座がある。
カーペットの両端に立つ数名の武装した者達。
戦士の最高位。
俗に言うSクラスと呼ばれる戦士達である。
「さて。全員揃ったようだな。」
玉座に座る王が口を開く。
その声とともに、全員が跪く。
王が続ける。
「現在、多くの国が魔界領域に堕ち、他国の連携を取ろうにも、魔王の権能である''淀''により魔法による連絡が取れない状況である。
したがって我が国内での対策を余儀なくされてはいるが、諸君らの活躍により我が国は太陽を享受できている。
魔王の宣戦布告から始まった人魔大戦。
諸君Sクラスの戦士がいなければ、私含め全ての国民がここには居ないであろう。
今一度この功績に感謝する。」
Sクラスの戦士たちはさらに深々と頭を下げる。
「魔王軍の力は強大だ。
人間が生活できているこの状況そのものが奇跡と呼ぶに等しい。
しかし、我々はこれを奇跡としてはいけない。
我々は平和に暮らす当たり前の毎日を取り戻さなければならない。
人間には対抗する力があるのだと、魔王に示さなければならない。
故に、反逆の一手としてこの領域を支配する魔将ヴォーラスの討伐作戦を提案するが、諸君らの意見が聞きたい。」
王はSクラスの戦士たちに問う。
・好戦的な目つきの悪い男
「ついにか!待ちわびたぜ王様!俺は大賛成だ!!」
・褐色肌の銀髪の女
「もう少しユーザルト王への口の聞き方を学んだらどうかしら?
私は仰せのままに。」
・貴族あがりの若い男
「僕も賛成致します。」
・熱く礼儀正しい男
「私も作戦決行に賛成致します!
我々の手で魔王から平和を取り戻さなければ!」
代表のSクラスの戦士達は王の提案に賛成した。
「わかった。
諸君らの同意に感謝する。
強大な敵への戦力の逐次投入は愚作であろう。
だが、あまりに魔将の全貌が見えない。
魔将ヴォーラスの城は入口の無い高い防壁で囲われており、周辺は巨人が大量に出没しているうえに見つかりやすい平野。
さらにはこの国を出たすぐには高い岩が乱立し、ワーウルフやハイゴブリンアーチャー、その他の魔物から頭上を狙われたりと。
障害が非常に多い。
まずは、魔将ヴォーラスの城への安全なルートの確保と敵城の内部調査が必要だ。
王命として依頼を設置しているが、未だに有力な情報が掴めぬまま死者を増やすのみ。
作戦の同意を得られた今こそ、諸君らのいずれかにこの依頼を任せたい。」
王は頭を下げた。
恐れ多い様子で全員が深々と頭を下げる。
「では、その任務私が引き受けましょう!」
熱く礼儀正しい男が声高らかに立候補した。
「あ、ズリィぞ!!
いつもいつも、危険な任務と分かると先にいい格好しようとしやがて!!」
好戦的な目つきの悪い男は悪態をつく。
「いや、違うぞ?
本当に危険な任務はヴォーラスの討伐だ。
悔しいが君は私よりも戦う術が多い。
ヴォーラスを相手にするなら君の力が不可欠だ。
つまり、美味しいところは君に任せると言っているのだ。」
「へッ!!モノは言いようだなクソッ!!」
2人は仲が非常に悪いようだ。
「ちょっとやめてくださる?
王の前ですよ?
それに新入りがいるのに先輩が見苦しい格好を見せないで欲しいわ。」
褐色の銀髪の女は2人を諫める。
「いやぁ、僕は別に気にしなくていいですよ〜」
新入りの若い男は苦笑いしながら言った。
「ゴホンッ…それでは。」
王の咳払いと共に全員は静まり返る。
「Sクラス。アルケード・ローバイン。
王命である。ヴォーラス城の調査と潜入経路を確保せよ!」
王が命じた。
熱く礼儀正しい男。アルケードは深く頭を下げた。
「イェス・ユア・マジェスティ!!」




