56話 瓦礫と消滅
ジャンクゴーレムの力に押されるラストル達。
ペティの上級魔法の反撃により、隙のできた核をラストルとムンナが斬る。
「ワハハハ!
すげぇなジャンクゴーレム!
人魔大戦で巨人よりも人間をやっつけちまうなんてよ!」
魔王ルシフェウスの号令とともに始まった最後の人魔大戦と称する戦い。
(最終的には魔王の目論見通りにはいかなかったらしいが、ゴミを撒き散らす事くらいしかできないオラにとっては、戦場で高い戦闘能力を証明する良い機会となった。)
「だだっ広い平野を、お前の巨大な岩石降らしで人間の戦力を減らしながら、視界を妨害する。
あとは弓兵が岩の上から狙い撃ち。
さらに、どこから来るか分からない巨人の奇襲。
反則並みに強い戦術が建てられるじゃねぇか!
なんでもっと早く俺に声をかけなかった!ジャンクゴーレム!」
このヴォーラスという魔物は基本的に馬鹿と酷評されるが、戦場においては将と呼ぶにふさわしいほどの采配を行う。
そして、その戦場に適した逸材を選ぶ鑑識眼も備わっていた。
「たまたま上手くいっただけだ。
オラはただアンタの言う通りに岩やゴミを撒き散らしただけ。
戦場以外はこんな能力煙たがられるだけだ。臭いし。」
ジャンクゴーレムは卑屈だった。
自分に対して嫌悪感を抱く他者にしか出会っていないので、向かい合って大笑いしている魔物をにわかに信じられなかった。
「そうかねぇ、魔物が出した廃棄物を吸収して力に変えるってすげぇ能力だと思うけどな!
魔物の街は綺麗になるし、戦場では大活躍だし、お前がいないと困る事が今はいっぱいあるんだぜ?
それに臭いなんて気にすんな!クセェ物ほどうめぇって相場は決まってんだ!ガハハ!…」
〜 山中の街サバラン 転送所付近 〜
両断された半身はすでに消滅した。
意識が遠のく中、ジャンクゴーレムはヴォーラすとの何気ないやりとりを思いだしていた。
(…あぁ…それ…褒めてんのか?…)
言葉にしてみたつもりだが、もう発声器官も無くなった。
(…すまんな…俺が居なくなると…困るかなぁ…)
ジャンクゴーレムの核が少しずつ消えていく。
そこに、何者かが近づく。
「ジャンクゴーレム。
お前はすげぇやつだったよ。
悪かったな、せめて安らかに眠れ。」
ヴァンだった。
胸に手を当てて祈りを捧げている。
(…そうか…最期に珍しいやつに会えたもんだ…)
完全にジャンクゴーレムは消失した。
「ハァ…ハァ…なんとか倒せたな…」
ラストルは魔法を酷使した事で息切れを起こしていた。
「強かった…ヴァンの的確な指示がなかったら私ら今頃死んでたよ…」
ムンナがその場で座り込む。
「…あ、ペティ!」
ラストルは大魔法を放ったペティを見た。
うつ伏せで倒れている。
ラストルは息切れしながら、急いで走って駆け寄る。
呼吸はしているが意識は無い。
そのまま地面に倒れたからか、鼻血を出している。
「ありがとうペティ…あの上級魔法が無ければ隙を作る事ができなかった。」
ラストルは気を失ったペティを背負う。
そこへ、ヴァンが歩いてくる。
「よくやったぜお前達!
ジャンクゴーレムはこの強さで何人もの戦士を葬っていた。
結局、人魔大戦では人間の連携が全くなっていない為に、多くの犠牲者が出た。
パーティの重要性が理解できただろ?」
ヴァンが得意そうに言った。
ラストルとムンナは頷いた。
「さ。転送所は強敵により壊滅の状況確認。耐魔鉱石は回収完了。
休んでる時間は惜しい、魔力回復のポーションのんでらとっとと、帰るぞ!」
4名は山中の街サバランを後にした。




