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「魔王の終活」   作者: クロネコ
33/60

33話 配置と支配(魔)

人間の戦士と魔物の戦いは一段落し、魔将達は一度魔王城へ集結した。

〜 深淵の魔王城 〜


「…少々。やり過ぎた。」


長い机の先に座る魔王ルシフェウスはぼやいた。

椅子には魔将達が全員着席している。


龍の顔を持つ魔将クロセロはため息をついている。


「すまぬ。コレは余の失態(しったい)である。

よもや人間がこれほどまで軟弱(なんじゃく)だとは想像していなかった。


余の見立てでは、人間達からの激しい抵抗にあい、侵略地域は世界の70%程度で留まる予測であった。


そしてその中で、力の弱い魔族や魔王軍に反旗(はんき)(ひるがえ)した者と人間達を協力させ、反魔王軍なりを結成した後、戦いに疲弊した我々を駆逐(くちく)し、人間達と協力した魔族は人間と和解。

…という展望だった。


それがまさか数日のうちに95%も侵略できてしまうとは。

先代魔王サタン様以来の偉業も偉業である。


仮にこのまま人間を倒し尽くしたとしても、勇者1人が生き残り、我々は絶滅させられ、勇者も子孫を残せず絶滅。


世界には原始からやり直しになる。


それは余は望んでいない。」


ルシフェウスは肩を落とす。


「魔王様が計画を失敗するなんて珍しいね!今めちゃくちゃレアな状況にいるってことだね!」


美少年の魔将シーレは楽しげに言った。


「ワハハハッ!

確かにこりゃ珍しい!

今日は空から石礫(いしつぶて)でも降ってくるんじゃねぇか?


まぁ、仕方ねぇさ。

次の方法を練り直す時間はある。」


身体の大きな筋骨隆々の魔将ヴォーラスは愉快(ゆかい)そうに笑った。


「占領した地域の戦士ではない人間達は、全て魔将の城の地下牢に捕虜として幽閉しています。


生かすも殺すも自由ですが…魔王様。

やはり非戦闘員には手を出すつもりはないのでしょう?」


鳥の頭の魔将フォーカスロールはルシフェウスに尋ねた。


「うむ。最初からそのつもりであった。

幽閉(ゆうへい)し続け、戦いが終わる頃には解放するとな。


無論その頃には恐怖の魔王軍は制圧(せいあつ)され尽くされているという想定だったがな?」


ルシフェウスは答えた。

すると、赤い髪と鎧の魔将ゼパルは口を開いた。


「では、こうするのはいかがでしょう?

各地域で幽閉している人間を限られた区域で開放する。


開放したのは、反魔王軍派という事にしておき、人間を集めた区域外は敵に囲まれており、反魔王軍派が侵入を守っていると情報を刷り込む。


そうすれば、徐々に人間達の抱く魔族への抵抗も無くなり、良い魔物、悪い魔物がいると理解させられる。」


ゼパルは淡々と説明した。

フォーカスロールは、なるほどという様子で手を打った。


「確かにそれは良い考えかもしれぬ。


余や魔将は悪役を継続しながら、他方で魔族と人間の和解を進められる。代替策としては申し分ない。


だが、この方法は長くは使えぬ。

人間の飽くなき探究力を甘くみてはいけない。


人間達の瞬間転移魔法は余の権能''(よどみ)''によって絶対魔界領域内外からの行き来をできなくしているが、必ずそれでも突破する者は現れる。


そして、懐柔(かいじゅう)されたと見せかけて、すぐに(てのひら)を返すのが人間だ。

それだけは常に考えておかねばならぬ。


まぁ、失策した余が言えた事ではないがな。」


ルシフェウスは自分に呆れたように笑った。


「常に出る杭は打てる状態にしておくのがよろしいですわね。


せっかく魔界領域が広がったことですし、非戦闘民の隔離区画と合わせて各魔将の拠点の配置換えを行ってはいかがかしら?」


魔女の魔将グレモリールは提案した。


「それは俺も思ったぜ。

領地が広がったのに相変わらず大陸を縦一例に並んだような城の配置じゃつまんねぇ。


この際横一列にしちまえばどうだ?

どうせここにいる魔将の肝は座ってんだ。

勇者を真正面から迎えて戦いてぇだろ?

俺は強ぇ奴とは戦いてぇ!


…そんだけじゃねぇ。

勇者に進むべき道を明らかにしとけば、他の魔族が無差別にやられるリスクも下げられる。」


ルシフェウスに対して魔王と呼ぶことをやめてしまった槍の魔将アーミーはグレモリールに加えて提案した。


「ほぉ…なかなか思考の効いた案を出すようになったなアーミー。


2名の提言に賛成するぞ魔王様。

実現できれば私の結界を張り、外部からの非戦闘員の魔族や人間を守る事ができる。」


龍の顔を持つクロセロは賛成した。


「うむ、貴殿らの言うように配置換えを行う事とする。


以前の場合、一番先に勇者が訪れるとすればヴォーラス領だが、ヴォーラスよ。

変わらず東の端を守護して貰ってもよいか?」


ルシフェウスはヴォーラスに同意を求めた。

ヴォーラスはニヤリと笑い、大きな親指を立てた。


ルシフェウスはその後、全ての魔将の配置を決めた。

全員その配置に同意した。


「以上だ。

ルーナは通常通り魔王城の警護を務めてもらう。


本日はここまでだ。

ここまでわざわざご苦労だった。

解散とする。」


ルシフェウスの号令とともに、魔将達は転移の魔法を使い、一瞬でその場から居なくなった。


その後程なくして、絶対魔界領域の魔将の城は位置を変え、人間は反魔王軍と名乗る魔物の集団により解放され、指定された区域で生活するようになっていった。

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