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「魔王の終活」   作者: クロネコ
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34話 戦士と依頼 (勇)

骨の魔物ヴァンにうながされ、ラストルは戦士になるために戦士登録デスクを訪れ、志願した。

ラストルは訓練戦士となり、鍛錬を重ねた。

戦闘能力面はハイスクール卒業時点で首席。

訓練戦士登録直後から、その類稀(たぐいまれ)なる能力は注目される事となった。


「聞いたかよ。

最近入ったラストルって奴が最速で訓練戦士から正式に戦士入りしたってよ?」


「生意気だな。

どうせ()びとか賄賂(わいろ)だろ?


ちょっと痛めつけてやろうぜ。」


戦士を目指すほとんどが国や依頼主から出る報奨金狙いの者たちであった。

ラストルはあらぬ疑いをかけられ、見ず知らずの訓練戦士からの恨みを買うことがよくあった。


「ウグッ!!」


ラストルは寮の通路で2人の訓練戦士に背後から殴られていた。


「どうした優等生!

俺たちの不意打ちを避けられもしねぇのに正式な戦士認定とはな!


調子に乗るんじゃねぇぞ!」


殴った本人。スキンヘッドの浅黒い大男のジャック。

タバコを吸いながら壁にもたれかかっている金髪のダガー。


ジャックはラストルの(えり)を掴み、(にら)んだ。


「ここはな、お前みたいな苦労も知らないお坊ちゃんが来るところじゃねんだよ。


どんな手を使って戦士認定されたかはしらねぇが、調子に乗ってるとぶっ殺すぞ?」


殴られた後が赤く腫れ上がったラストルに向かってジャックは言った。


「…娘2人と奥さん。家庭を養うため。

だから報酬が高くて危険な任務をいくつも受けてる。


命をかけて戦っているのに、不正をしてのし上がっているであろう人間は許せない。


そういう事ですよね?」


ラストルはつぶやくように言った。


「お…おう!だからなんだよ?」


ジャックは自分が戦士になろうとしている理由を言われ、一瞬狼狽(うろたえ)た。


「俺は両親を殺された。

俺自身も何度も殺されかけた。


そして、その元凶はまだ生きている。

必ず俺を殺しにくる。


それまでに戦士になり、誰よりも強くなって迎え撃つ。

その時が来るまでは…


冗談でもアンタに殺されるわけにはいかない!!


俺だって命をかけてここにいるんだ!!

調子に乗ってるわけないだろ!!」


ラストルは恐ろしい顔で、ジャックの胸ぐらを掴み返し怒鳴った。

ジャックは圧倒された。


「ダガーさん!

あんたは、難病の弟の入院費を工面(くめん)するために戦士になろうとしている!」


ラストルに言われ、驚くダガー。


「うッ…なんでそんな事まで!?」


「知ってるさ!

何も分からない状況ならいろんな人に話を聞くだろう。


ジャックさんもダガーさんも、戦士になる事にプライドを持っている。

その姿勢に憧れてる人がたくさんいるのも知っている。

俺だってそうだ!


何かのために命をかけようとしてる目的は同じなのに、なんでこういう事しかできないんだよ!」


ラストルは叫んだ。

ジャックが掴んでいたラストルの襟を外した。


ラストルは黙ってその場を去った。

訓練戦士に志願してから、彼の観察能力は向上していた。


戦闘の中で戦いを覚えるだけでなく、訓練戦士の一人一人が抱えるもの、考えている事までを把握するまでに至っていた。


自分の知る人間がいない環境下では、それが一番大事な事だと考えていた。


そして、ラストルは正式に戦士となった。

数多の任務をこなし、数ヶ月が経過した。


〜 戦士登録デスク 依頼(クエスト)窓口 〜


「いつもありがとうございます!

こちらは依頼窓口です!


D難度からA難度までの依頼(クエスト)をご用意しております!」


「いや、いいんですよ?

知ってる人に同じ定型文毎回言わなくても。」


窓口の受付嬢の元気な声に、ラストルは冷静にツッコミをいれた。


「…ラストルさん。そういう上からの指示なんですぅ。察してくださいよぉ。」


受付嬢はヒソヒソと小さな声でラストルに言った。


「ハハハ分かりましたよ。いつもお疲れ様です。


パープルさん。

今日はお願いがあってきたんだ。

''S難度の魔界領域探索''。これに挑戦したい。」


ラストルは途中から真剣な顔になっていった。

受付嬢パープルもこれを聞いて顔つきが変わる。


「国王から直々にお願いされている任務です。報酬は高く、成功すればエリートのSクラスの称号を得ることができますが、命の保証はありませんよ?」


パープルは真剣にラストルに説明した。


「分かってる。覚悟はとっくにできてるさ。」


ラストルは答えた。

パープルは頷く。


「分かりました。

それでは、パーティとなる3名をこちらに連れてきてください。」


「…ん?パーティ?」


「はい。パーティです。」


ラストルは顎をつまみ、首を傾げて少し考えた。


「ちょっと待った!

俺の他に3人も必要なのか!?」


「当たり前です!

命を落とすかもしれない任務なんですよ!?


行動する条件は主力戦闘者(ブレイカー)補助戦闘者(サポーター)治癒回復者(ヒーラー)防御防壁者(ガードナー)の最低4名以上に限る。


これは国王からの命令です!」


驚くラストルに、パープルは念押しする様に言った。

ラストルは難しそうに頭を抱えていた。


「おや?何やらお困りかな?」


振り返るとそこにはスキンヘッドのジャックと、バンダナを巻いたダガーが立っていた。


「戦士になったんですね。2人とも。」


ラストルは気怠そうに2人を見た。


「まぁ、そう身構え無くてもいいぜ。

お前の言葉で目が覚めたんだ。


俺たちは戦士になるためにプライドをかけて訓練してきた。

お前にしたことはその積み上げてきたものを台なしにする行為だった。


本当にすまなかった。


お前に追いつくまでにちょっと時間がかかっちまった。

S難度の任務の参加条件で困ってんだろ?

俺たちが一緒に行ってやるよ!


もう1人はそこにいるぜ?」


ジャックが親指で刺す方には、外のテラスでタバコを吸っている若い女性がいた。


「ありがたいけど、なんか…メンツがイカツイな…」


ラストルはボヤいた。


「まぁまぁ、そう言うなって。


アイツは俺たちの同期であんな感じだが、優秀なヒーラーなんだ。

きっと役に立つぜ?」


ジャックは笑いながらラストルの肩を叩いた。


「4名お揃いですね。


それでは絶対魔界領域探査の依頼(クエスト)を受理いたします。

達成条件は指定区域の調査です。


では、お気をつけて!」


4人は絶対魔界領域へ踏み出す。


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