第七話:紙花の島
# 第七話:紙花の島
世界組織の部隊を打ち破ることに成功したロキ・ネロとレンジョウ・レオパルは、小さなボートを軍艦から遠ざけ、海を進み続けた。
しばらくすると、二人の前に島が現れた。島の周囲には緑の木々が生い茂り、島には色とりどりの屋根を持つ建物が点在していた。また、美しい花々が道や家々を飾っていた。
ロキは興奮しながら島を見つめた。
ロキ:「おお! 見ろよ、レンジョウ! 前に島があるぞ!」
レンジョウは落ち着いて島を見た。
レンジョウ:「あそこなら上陸できそうだ。何があるのか見てみよう。」
ボートが岸に近づくと、二人は陸へ飛び降りた。レンジョウはロープを手に取り、波に流されないようにボートをしっかりとつないだ。
一方、ロキは近くの町を目を輝かせて見つめていた。まるで貴重な宝物を見つけたかのようだった。
ロキ:「ここが町に違いない! 腹いっぱい食べるぞ!」
レンジョウはゆっくりと彼のほうを振り向き、苛立った表情を浮かべた。
レンジョウ:「このバカ! 着いたばかりだろ! 今は食べ物の話をするな!」
ロキ:「でも、腹が減ったんだ!」
レンジョウ:「旅の間、ずっと食べていただろ!」
ロキ:「だからって、また腹が減らないわけじゃないだろ!?」
レンジョウはため息をつき、それから町へ向かって歩き始めた。
レンジョウ:「好きにしろ。ただし、問題を起こすなよ。」
ロキはいつもの笑顔を浮かべ、すぐに彼の後を追った。
ロキ:「心配するな! 何も問題は起こらないさ!」
レンジョウは、彼の言葉をまったく信じていないようだった。
こうして二人は紙花の島に入った。自分たちが到着した瞬間から、誰かに監視されていることにも気づかずに。
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長い黒髪の少女が、弓を手にし、背中に矢がいっぱい入った矢筒を背負って、ある家の屋根の上に立っていた。
彼女は町へ入っていく見知らぬ二人を観察し、それから少し首を傾げた。
マキ:「小さなボートが島に着くのを見たけれど……乗っていたのは二人ね。」
遠くから二人を見つめながら、彼女は目を細めた。
マキ:「あの二人は何者なの? 自分たちの意思でここに来たのか、それとも誰かに送り込まれたの?」
マキは屋根の上を軽やかに移動し、家から家へと渡りながら、二人に気づかれないまま近づいていった。
道を見下ろせる家の屋根で立ち止まり、矢筒から一本の矢を取り出した。
マキ:「身元の分からないよそ者を、正体も知らずに島の中を歩かせるわけにはいかない。」
彼女は矢を弓につがえ、二人に狙いを定めた。
その瞬間、レンジョウは誰かが自分たちを監視している気配を感じた。
彼の表情が少し変わり、ロキのほうを向いた。
レンジョウ:「ロキ、誰かに見られているぞ。」
ロキ:「何? どこだ?」
レンジョウ:「動け! 早く!」
レンジョウは驚くほどの速さで駆け出し、一瞬で剣を抜いた。
レンジョウ:「黒刃!」
キンッ!
剣が矢にぶつかり、矢は二人に届く前に砕け散った。
マキは驚いて後ずさりし、目を大きく見開いた。
マキ:「何ですって!? あんな速さで矢を斬ったの!?」
ロキは屋根を見上げ、ついにそこに隠れていた少女を見つけた。
ロキ:「見つけたぞ! 矢を放ったのは君だったのか!」
マキは弓を握りしめ、二人を警戒しながら見つめた。
マキ:「あんたたちは何者なの? 紙花の島に何の用があるの!?」
ロキは両手を前に上げ、いつもの笑顔を浮かべた。
ロキ:「落ち着いてくれ! 俺たちはただの旅人だ。新しい場所を探検したくて、この島に来たんだ!」
マキ:「旅人ですって!? そんなに簡単に信じると思っているの?」
ロキ:「どうして信じてくれないんだ!?」
マキ:「突然現れたうえに、今まで一度も見たことがないからよ!」
隣に立っていたレンジョウが、落ち着いた口調で口を挟んだ。
レンジョウ:「俺たちは問題を探しているわけじゃない。ただ、この島を訪れたかっただけだ。」
マキは彼を見てから、その剣に目を向けた。
マキ:「そんな剣を持っている人間が、ただ島を訪れるためだけに来たですって?」
レンジョウ:「この剣は俺の旅の一部だ。持ち歩くのに、ほかの理由はいらない。」
ロキ:「俺は冒険とおいしい食べ物を探しているんだ!」
レンジョウはすぐに彼のほうを向いた。
レンジョウ:「食べ物の話はやめろ!」
ロキ:「どうしてだ!? 大事なことだろ!」
マキは二人を黙って見つめた。
(いったい何なの、この二人は? 一人は剣のことなど気にしていないかのように話し、もう一人は食べ物のことしか考えていない!)
それでも、彼女は弓を下ろさなかった。
マキ:「本当の目的が分かるまでは、あんたたちを自由に歩かせるわけにはいかない。」
ロキは笑顔を浮かべ、お腹に手を当てた。
ロキ:「分かったよ。質問は後でしてくれ。それより、おいしい料理を出す店を知らないか?」
マキ:「何ですって!?」
レンジョウ:「無視してくれ。こいつはほかのことを考えられないらしい。」
ロキ:「レンジョウ! 俺がここにいるのに、そんな言い方をするなよ!」
マキは少し体をそむけ、苛立ち始めていた。
マキ:「あんたたちは、今まで見た中で一番変な二人よ。」
それから、彼女は再びロキに弓を向けた。
マキ:「さあ、はっきり答えなさい。あんたたちは世界組織の一員なの?」
世界組織の名前を聞いた瞬間、レンジョウの表情が変わった。一方、ロキの笑顔も一瞬だけ消えた。
ロキ:「世界組織? どうしてそんなことを聞くんだ?」
二人の反応に気づいたマキは、さらに疑いを深めた。
マキ:「つまり、あんたたちはあいつらを知っているのね。」
レンジョウ:「海で奴らの兵士と戦ったことがある。だが、俺たちは奴らの仲間じゃない。」
ロキ:「そうだ! 奴らは俺たちの旅を止めようとしたんだ。でも、レンジョウが指揮官を倒した! すごい戦いだったぞ!」
レンジョウ:「簡単に倒したとは言っていない。」
ロキ:「でも、勝っただろ! それが大事なんだ!」
マキは聞いた話に感心する様子もなく、黙って考え込んだ。
(つまり、この二人は世界組織の仲間ではない……。でも、奴らの兵士と戦ったことがあるのなら、ここにいること自体が危険かもしれない。)
そのとき、背後の路地から男の声が聞こえてきた。
男の声:「マキ! どこにいる!?」
少女は一瞬、体をこわばらせた。
続いて、別の男の声が聞こえた。
別の男の声:「島に見知らぬ二人が来たのを見たぞ。見つけたか?」
マキは目を見開き、急いで屋根の縁に身を隠した。
ロキは彼女を見上げた。
ロキ:「マキ? 君の名前はマキっていうのか!」
自分の名前をうっかり明かしてしまったことに気づき、彼女は顔をしかめた。
マキ:「黙りなさい!」
それでも、ロキは笑顔を浮かべた。
ロキ:「よろしくな、マキ!」
マキ:「誰があんたと知り合いになりたいって言ったのよ!」
レンジョウ:「ロキ、彼女をからかうのはやめろ。誰かが近づいてきている。」
二人が路地のほうを見ると、暗い色の服を着た三人の男が現れた。彼らは通行人を注意深く見回していた。そのうちの一人は紙を手に持ち、ときおりそれを確認していた。
先頭の男が前に進み、家々の屋根を見上げた。
男:「そこにいたのか! やっと見つけたぞ、マキ!」
マキは弓を強く握りしめた。
マキ:「くそっ……来てしまったか。」
ロキ:「あいつらを知っているのか?」
マキ:「今は質問している場合じゃない! 二人とも、ここから離れて!」
しかし、男はロキとレンジョウを指さした。
男:「そこの二人! 動くな!」
ロキは男を見てから、レンジョウに目を向けた。
ロキ:「俺たちに言っているのか?」
レンジョウ:「ほかに誰がいる?」
ロキ:「もしかして、飯屋を教えてくれるのかも!」
レンジョウ:「お前、頭がおかしくなったのか!?」
三人の男が二人に近づくと、町の住民たちは道から離れ始めた。男たちの存在が住民たちに恐れられていることは明らかだった。
先頭の男は手に持った紙を掲げた。
男:「その娘は我々が連れていく。お前たち二人には、いくつか質問に答えてもらおう。」
マキは屋根から飛び降り、近くのバルコニーに着地すると、叫んだ。
マキ:「あんたたちと一緒に行くつもりはない!」
男の一人が武器を取り出した。
男:「なら、力ずくで連れていくまでだ!」
マキは弓の弦を引き絞って矢を放ち、男の手にあった武器に命中させた。武器は遠くへ弾き飛ばされ、地面に落ちた。
男:「何だと!?」
レンジョウは男たちが動揺した隙を利用し、一歩前に出た。
レンジョウ:「戦いたいのなら、俺が相手になろう。」
ロキは笑みを浮かべ、指先の周りに雷を走らせ始めた。
ロキ:「俺もだ! でも、始める前に一つだけ聞きたいことがある。」
レンジョウは不安そうに彼を見た。
レンジョウ:「まさか、食べ物のことを聞くつもりじゃないだろうな。」
ロキ:「聞くつもりだったけど……気が変わった!」
ロキは男たちを見上げた。
ロキ:「お前たちは何者なんだ? どうしてマキを追いかけている!?」
男たちは互いに目を交わし、それから指揮官が冷たい笑みを浮かべた。
先頭の男:「自分たちが誰をかばおうとしているのか、分かっていないようだな。」
彼はマキを指さした。
先頭の男:「この娘は、よそ者の手に渡ってはならないものを持っている。お前たちが彼女をかばうつもりなら、我々はお前たちも敵として扱う。」
マキの表情が変わった。
マキ:「黙りなさい! ここでその話をするんじゃない!」
しかし、男の言葉はロキの好奇心をかき立ててしまった。
ロキ:「俺たちの手に渡ってはならないものだって? ますます気になってきたぞ!」
レンジョウ:「好奇心のせいで面倒なことになると思っていた。」
先頭の男がマキに向かって突進し、残りの二人はロキとレンジョウに襲いかかった。
マキは横へ飛び、再び矢を放った。矢によって、彼女を襲おうとした男は後退を余儀なくされた。
同時に、レンジョウは剣を抜いて目の前の男の攻撃を受け止め、それから剣の柄で正確に一撃を加え、相手を後方へ押し戻した。
一方、ロキは腕を上げ、雷の閃光を放った。その光により、彼の相手は動きを止め、後ずさった。
ロキ:「目の前で誰かを傷つけさせるものか!」
マキは驚いて彼を見た。
彼女は、何も知らない見知らぬ二人が自分を助けるために戦いに加わるとは思っていなかった。
しかし、考えている時間はなかった。男たちは体勢を立て直し、指揮官はコートの下から、さらに大きな武器を取り出し始めた。
先頭の男:「お前たちは、とんでもない過ちを犯したぞ!」
彼は武器をロキに向けて持ち上げた。
その瞬間、道の先から大勢の足音が聞こえてきた。
レンジョウは音のするほうを振り向いた。
レンジョウ:「ロキ……どうやら、こいつらだけじゃないらしい。」
町の入口に別の集団が現れ、浜辺へ続く道を塞いだ。
ロキは周囲を見回し、それから興奮した笑みを浮かべた。
ロキ:「すごい! この島は、なかなか変わった方法で俺たちを歓迎してくれるみたいだな!」
レンジョウ:「こんなのは歓迎とは言わない! このバカ!」
マキは二人の隣に立ち、しっかりと弓を握った。
初めて彼女は、二人をただの厄介なよそ者として見ることをやめた。
マキ:「よく聞いて。ここから逃げ出したいなら、あたしを信じることね。」
ロキは笑顔を浮かべた。
ロキ:「分かった! 俺はロキ・ネロだ!」
レンジョウ:「今は自己紹介している場合じゃないだろ!」
マキは深く息を吸い、それから弓を持ち上げた。
マキ:「あたしはマキ。まずはここから脱出するわ……そのあとで、どうしてあいつらがあたしを追っているのか話してあげる。」
男たちが三人に向かって近づいてくる中、三人は初めて肩を並べて戦う準備を整えた。
ロキとレンジョウはマキの秘密について何も知らず、マキもまた、二人がなぜ世界組織に立ち向かったのかを知らなかった。
しかし、紙花の島での出会いは、三人にとって新たな道の始まりだった。その道は、誰一人として予想していなかった形で、三人の運命を結びつけるかもしれない。
つづく……
読んでくださり、ありがとうございます!
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第八話は明日公開予定です!
次回もお楽しみに!




