↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
謎の大地:ロキと仲間たちの、封印された大地を探し求め、夢を叶える冒険  作者: オーラ・ハーリド


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
6/22

第六話:今度は俺の番だ!

第六話:今度は俺の番だ!


海は穏やかだった。金色の陽光を浴びて、波がゆっくりと揺れている。


小舟の船首には、ロキ・ネロが座っていた。両手を頭の後ろで組み、のんびりとくつろいでいる。その近くでは、レンジョウ・レオパルが立ったまま、黙って水平線を見つめていた。


ロキは満面の笑みを浮かべて言った。


「いやあ、退屈な航海だな! いつになったら面白いことが起きるんだ?」


レンジョウは振り返りもせずに答えた。


「厄介事を探しているなら、そのうち嫌でも見つかるさ」


ロキは楽しそうに笑った。


「それこそ、俺が待ち望んでることだ!」


そのとき、突然レンジョウの表情が変わった。


目を細めて水平線を見つめ、真剣な声で告げる。


「ロキ……あそこを見ろ」


ロキは顔を上げ、レンジョウが示した方向へ目を向けた。


巨大な船が、波を切り裂きながら猛スピードで近づいてきていた。


その船は、二人の小舟とは比べものにならないほど大きかった。黒い帆には見慣れない紋章が描かれ、船の両側には大砲がずらりと並んでいる。甲板には、統一された制服を身にまとった兵士たちが何十人も立っていた。


ロキは一瞬目を見開いたが、すぐに興奮した笑みを浮かべた。


「うわああ! なんだ、あのデカい船は!?」


レンジョウは、ロキほど浮かれてはいなかった。


帆に描かれた紋章に気づき、この船が偶然ここに現れたわけではないと感じていたのだ。


軍艦は二人の小舟に接近し、太陽の光を大きく遮るほどの距離まで迫ってきた。


やがて、拡声器を通した男の声が海上に響き渡った。


「そこの小舟に乗っている二人! 直ちに船を止めろ! お前たちは世界組織の部隊に包囲されている!」


ロキは眉を上げた。


「世界組織? なんだ、そいつら?」


レンジョウは答えなかった。甲板の上で動き始めた兵士たちを、じっと見据えていた。


再び、拡声器から声が響く。


「我々は、貝の町で異常な力を使った青い髪の若者について情報を得ている! 本人かどうか確認したい! 大人しく投降しろ! そうすれば、こちらも無理に実力行使をする必要はない!」


一瞬、静寂が訪れた。


やがてロキはゆっくりと立ち上がり、鋭い笑みを浮かべた。


「なるほど……俺を探しに来たってわけか」


ロキの体の周囲にエネルギーが集まり始め、周囲の空気がわずかに震えた。


「よし! ちょうど退屈してたところだ! あの船、ぶっ壊してやる!」


そう言って船首へ歩き出し、軍艦へ飛び移ろうと身構えた。


しかし、レンジョウが腕を伸ばし、その行く手を遮った。


「待て、ロキ」


ロキは不思議そうに彼を振り返った。


「なんだ?」


レンジョウは軍艦に目を向けたまま、剣の柄に手をかけた。


「貝の町では俺が戦ったんだ。少し休んでろ」


そう言って、ゆっくりと剣を抜いた。


太陽の光が、きらりと輝く刀身に反射する。


「今度は俺の番だ」


ロキは数秒間レンジョウを見つめたあと、にっと笑った。


「ははは! そういうことか! よし、あいつらはお前に任せる! でも、負けるなよ、レンジョウ!」


レンジョウは落ち着いた声で答えた。


「そこで見ていろ」


---


軍艦は小舟にさらに接近し、二隻の距離はほとんどなくなった。


軍艦の側面からロープが投げ下ろされ、兵士たちが次々と小舟へ降りてきた。


大勢の兵士がロキとレンジョウを取り囲み、逃げ道を塞いだ。


そのうちの一人が前に出て、レンジョウに剣を突きつけた。


「武器を地面に置け! 抵抗など考えるな!」


レンジョウは動かなかった。


片手で剣を握ったまま、その場に立ち、静かな目で相手の動きを見極めていた。


兵士が怒鳴る。


「聞こえないのか!?」


次の瞬間、兵士がレンジョウに向かって突進した。


レンジョウは、たった一歩だけ横へ動いた。


刃が閃く。


兵士はその場で動きを止めた。次の瞬間、手から剣が滑り落ち、本人も膝から崩れ落ちた。もはや戦いを続けることはできなかった。


周囲の兵士たちは目を見開いた。


「今、何が起きた!?」


レンジョウは、彼らが状況を理解する時間すら与えなかった。


二人の兵士が左右から同時に襲いかかる。


レンジョウは最初の一撃を身をかがめてかわすと、素早く体をひねり、もう一人の武器を正確な一撃で弾き飛ばした。


兵士たちの間を軽やかに動き回りながら、無駄のない剣さばきで次々と相手を制圧していく。


力任せに攻撃しているわけではない。相手の手や武器を狙い、一人ずつ確実に戦闘不能にしていた。包囲される隙も与えない。


一方、ロキは小舟の縁に腰掛け、興味津々で戦いを眺めていた。


「すげえ! お前、そんなに速く動けるなんて思わなかったぞ!」


レンジョウはロキを見ることなく答えた。


「そこで見ていろと言ったはずだ」


ロキは笑った。


「わかった、わかった! 大人しく座ってるよ!」


しかし、兵士たちの顔からは、もはや余裕の笑みは消えていた。


目の前にいる男が、ただの剣士ではないことを理解したのだ。


---


軍艦の甲板では、長いコートを着た男が手すりの向こうから戦いを見下ろしていた。


その顔には感情がほとんど表れていない。腰には、一般兵のものとは明らかに違う幅広の剣が下げられていた。


一人の士官が息を切らしながら駆け寄ってきた。


「隊長! 兵士たちでは、あいつを抑えられません! 短時間で大勢が倒されています!」


男はしばらく黙っていた。


やがて剣の柄を握り、口を開いた。


「あいつから離れろ」


士官は顔を上げた。


「えっ?」


男は甲板へ続く階段に目を向けた。


「剣士一人も相手にできないのなら、俺が直接片をつける」


男が一定の歩調で小舟へ降りていくと、兵士たちは何も言わずに道を開けた。


近づいてくる男を見たレンジョウの表情が、わずかに変わった。


相手はレンジョウよりも背が高く、服の下からでも筋肉のたくましさが見て取れた。手にしている剣は、熟練の剣士でさえ警戒するほど巨大だった。


男はレンジョウのすぐ前で足を止めた。


「俺はこの船の追跡部隊を率いている。なかなかの腕前だな。だが、本物の相手を前にしても、その腕が通用するか確かめさせてもらおう」


レンジョウは淡々と答えた。


「戦いたいなら、余計な話は必要ない」


隊長は冷たい笑みを浮かべた。


「いいだろう。時間を無駄にしない男は嫌いじゃない」


次の瞬間、隊長はレンジョウに向かって突進し、巨大な剣を振り上げた。


ドォォォン!


凄まじい一撃が小舟の甲板に叩きつけられた。


木の板が激しく揺れ、破片が空中へ飛び散る。


レンジョウは間一髪で後方へ跳び、どうにかその一撃をかわした。


ロキは剣が叩きつけられた場所を見て、感心したように口笛を吹いた。


「すげえ威力だな! まともに船に当たってたら、真っ二つになってたぞ!」


レンジョウは振り返らなかった。


意識のすべてを目の前の敵に集中させていた。


この隊長は、ただ力が強いだけではない。あの巨体からは想像できないほど動きも速かった。


重い斬撃が次々と繰り出される。その一撃一撃を避けるため、レンジョウは絶えず動き続けなければならなかった。


レンジョウは相手との距離を詰めようとしたが、隊長は突然剣の向きを変え、彼を後退させた。


そして、再び突進する。


今度は、レンジョウも完全には避けきれなかった。


刃が腕のすぐそばを通り過ぎ、皮膚に浅い傷を刻んだ。


レンジョウは二歩後退した。腕から細い血の筋が流れ落ちる。


ロキはすぐさま立ち上がった。


「レンジョウ!」


レンジョウはもう片方の手を上げ、動くなと合図した。


「手を出すな」


ロキは拳を強く握りしめた。


一瞬で戦いに加わることもできる。しかし、レンジョウの言葉を思い出した。


今度は俺の番だ。


ロキは歯を食いしばり、再び腰を下ろした。それでも、その目は一瞬たりとも戦いから離れなかった。


一方、隊長は低い声で笑った。


「どうした? 怖くなってきたか?」


レンジョウは腕の血を拭い、剣の柄を握り直した。


「いや」


相手をまっすぐ見据える。


「お前の戦い方を見極めようとしているだけだ」


隊長の笑みが、わずかに消えた。


---


戦いの流れが変わり始めた。


レンジョウは、もう先ほどまでと同じようには後退しなくなった。


相手の足の動き、肩の向き、そして攻撃の直前に剣を持ち上げる動作。その一つひとつを注意深く観察していた。


隊長は圧倒的な力に頼って戦っていた。しかし、攻撃を繰り出したあと、剣を構え直すまでには、ほんのわずかな時間が必要だった。


レンジョウが探していたのは、その一瞬だった。


隊長は剣を頭上高く振り上げた。


「これで終わりだ!」


巨大な刃が凄まじい勢いで振り下ろされる。


だが、レンジョウは後退しなかった。


一撃が迫るのを待ち、最後の瞬間に横へ飛び退いた。


巨大な剣は、小舟の甲板に激突した。


船体が大きく揺れ、刃が木の板に深く食い込む。


隊長は急いで剣を引き抜こうとした。


しかし、そのときにはすでにレンジョウが動いていた。


一気に間合いを詰め、剣の柄で相手の手首を打つ。


そのまま体をひねり、武器の柄へ正確な一撃を叩き込んだ。


ガキィィン!


巨大な剣が隊長の手から弾き飛ばされ、甲板に落ちた。


隊長が体勢を立て直すよりも早く、レンジョウの刃がその首元にぴたりと突きつけられた。


静寂が広がった。


兵士たちは、その場に凍りついた。


隊長は武器を失い、これ以上動けば斬られかねない状況に追い込まれていた。


レンジョウは静かに告げた。


「勝負ありだ」


隊長は足元に落ちた剣を見つめ、それからレンジョウへ視線を戻した。


まさか、こんな形で敗れるとは思っていなかった。


しばらくして、隊長は口を開いた。


「お前……なかなかの剣士だな」


レンジョウは首元から剣を離し、一歩後ろへ下がった。


「お前は力に頼りすぎている」


隊長の表情が険しくなったが、反論はしなかった。


戦いを続けたところで、結果は変わらない。そう悟ったからだ。


隊長は兵士たちに手を上げた。


「撤退だ! 船に戻れ!」


負傷した兵士や、まだ動ける兵士たちが次々と引き上げていく。仲間を運びながら軍艦へ戻る者たちもいた。


船に乗り込む直前、隊長はレンジョウを最後に一度見つめ、それから青い髪のロキへ視線を移した。


そして、低い声で言った。


「これで終わりだと思うな。また会うことになる」


ロキは挑発するような笑みを浮かべた。


「いつでも待ってるぞ! でも、次はもっと強い奴を連れてこいよ!」


隊長は何も答えなかった。


軍艦へ戻ると、船は間もなく小舟から離れ、遠ざかり始めた。


---


軍艦が水平線の向こうへ消えると、ロキはほっと息を吐き、勢いよく立ち上がってレンジョウのもとへ駆け寄った。


「ははは! すごかったぞ! あいつらの隊長を一人で倒しちまうなんて!」


レンジョウは剣を鞘に収めた。


「簡単な相手じゃなかった」


ロキはレンジョウの腕に目を向けた。すると、その笑顔が少しだけ曇った。


「大丈夫か?」


「かすり傷だ」


ロキは手を伸ばし、勢いよくレンジョウの肩を叩いた。


「それでも、最高だったぞ! 次も最初はお前に任せてやるよ……まあ、俺が待っていられたらの話だけどな!」


レンジョウはそっけない口調で返した。


「戦うのに、お前の許可なんて必要ない」


ロキは大声で笑った。


「はははは! 確かにそうだな!」


二人は再び小舟のそれぞれの場所へ戻った。


しかし、軍艦が現れる前と同じ空気ではなかった。


世界組織が、すでに自分たちを追い始めている。その事実を、二人は身をもって知ったのだ。


レンジョウは軍艦が消えた水平線を見つめながら言った。


「偶然ここに来たわけじゃない。あいつらは、明らかにお前を探していた」


ロキはうなずき、自分の手に目を落とした。


その手に、かすかな青い火花が一瞬だけ走り、すぐに消えた。


「どうやら、雷の核に興味があるらしいな」


レンジョウが言った。


「お前の力について何か知っているのなら、追ってくるのは今回だけじゃないかもしれない」


ロキは目を輝かせ、笑みを浮かべた。


「だったら、何度でも来ればいい! 誰にも俺が閉ざされた大地にたどり着くのを邪魔させない!」


レンジョウは黙ってロキを見つめたあと、腰を下ろし、少しだけ目を閉じた。


「目的地に着く前に、せめて船を壊さないようにしてくれ」


ロキは大声で笑った。


やがて海には再び静けさが戻り、小舟は未知なる世界へ向かって航海を続けた。


しかし、その二人から遠く離れた軍艦の上では、隊長が通信装置の前に立っていた。


彼は真剣な声で報告した。


「中央司令部へ。青い髪の若者の存在を確認した。通常では考えられない力を持っている。だが、もう一つ注目すべき点がある」


隊長は一瞬言葉を切り、それから続けた。


「同行している剣士も危険な相手だ。直接対決で、俺はあいつに敗れた」


通信装置の向こうから声が返ってきた。


「つまり、青い髪の若者だけが脅威ではないということか?」


隊長は答えた。


「そのとおりだ。どちらも決して侮ってはならない」


そこで通信は途切れた。


隊長は、小さな船がすでに見えなくなった水平線をじっと見つめていた。


そして、かすかな声でつぶやいた。


「お前たちは……いったい何者なんだ?」


つづく……


---


今回のエピソードを楽しんでいただけたら、ぜひ評価やブックマークで応援していただけるとうれしいです!


皆さんの応援が、この冒険を書き続ける大きな励みになります!


第七話は明日公開予定です。


ロキとレンジョウの旅を読んでくださっている皆さん、本当にありがとうございます。


また次の話で、新たな冒険をお届けします!


それでは、第七話でお会いしましょう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。