勝負
「じゃ、じゃあな玲奈」
「ええ、さようなら」
いつも通りの放課後、2人は普通にそれぞれ帰宅していた。
(し、進展がねえ!!)
仮の彼氏彼女をまだ一応やっている訳だが、逆にそこから全く進めず悩んでいた黒崎である。
(どうしたらいいんだ、、?もういっそ告白する?いやいやいや、、、)
黒崎は教室の外で頭を抱えていた。
(やっぱ戻って一緒に帰ろうって言うか、、?いやあでも、、)
自然な流れで一緒に帰ることは割とあるので別に普通ではあるのだが、いざ誘うとなると縮こまってしまう黒崎である。
(今から教室に戻って、、、)
「黒崎くん?そんなところで何やってるの?」
「びっくりした!!」
そんな考え込んでいる黒崎の目の前に、いつの間にか霧島がやってきていた。
「なんか考え込んでいたようだけれど、悩み事でもあるの?」
「いや、、別になんでもない、、」
確かに悩んでいるが、その原因に対して相談することなどできるわけがないのである。
「そう、それじゃあまた明日」
「な、なあ!今日一緒に帰らないか?」
「!!!」
(やべ、、!つい言っちまった、、!)
立ち去ろうとした霧島の袖を掴み、思わず引き止めてしまった黒崎である。
「い、いいけど委員会の仕事あるから遅くなるわよ?終わるまで待てるなら別にいいのだけれど、、」
「教室で待ってるわ!た、たまには勉強とかでもしようかな!」
「そう、じゃあ終わったら教室に行くわね」
「お、おう!!」
そうして霧島は去っていった。
(あぶねえ、、!よかった、、!)
つい口走ってしまったが、結果的に一緒に帰ることができるので一安心である。
(はあ、なんか疲れた、、教室で寝よう、、)
先程は勉強すると言ったが、ただの口実で勉強する気は微塵もない黒崎は、教室に入ってそのまま机に突っ伏すこととなった。
「んん、、、、、、」
黒崎は、いつの間にか深い眠りについていた。
「いまなんじだ、、、、?」
そう言いながら黒崎は顔を上げた。
「18時よ、結構寝てたわね」
「!?!?!?!?」
そして前の席には霧島が座っており、こちらをじっと見つめていた。
「いや起こせよ!待ってんの退屈だっただろ!」
「そうでもないわよ」
霧島はスンとした顔でそう言った。
「そっか、勉強とかしてればすぐだもんな」
「勉強はしてないわよ」
「、、、、?」
黒崎は不思議そうに首を傾げた。
「じゃあこの数時間何をしてたんだ、、?」
「、、、、、何もしてないわよ」
「そうなのか、、?」
霧島はなにかありげな顔をしていた。だが特に何かされた様子もないので、気にしないことにした。
「ま、まあいい、早く帰ろう」
「そうね」
そうして2人は学校から出ていくこととなった。
「なあ」
「なによ」
「2時間くらいほんとに何もせずいたのか、、?」
「まあ、、、そうね」
「絶対なんかしただろ!」
霧島は目線を合わせずに、相槌だけをうっていた。
「だから、ほんとに何もしてないのよ、、!」
霧島は、少し顔を赤くしながらそう言った。
「じゃあ、、ただ2時間俺の寝顔を見つめてたってことになるが、、?」
「だから、、、そう言ってるじゃない、、!!」
「ほんとにそうなのかよ!」
黒崎の読みは見事に当たっていた。
「お前ってほんと俺の''顔''は好きだよな、、」
黒崎は遠い目をしてそう言った。
「べ、別に顔だけじゃ、、」
「なに?なんか言ったか?」
「な、なんでもないわよ!」
霧島は顔を真っ赤にして目線を外しながらそう言った。
「ねえ、黒崎くん」
「なんだ?」
「この仮の彼氏彼女ってやつ辞めにしないかしら」
「え?なんで、、」
突然の霧島の提案に黒崎は驚いた表情を見せた。
「前からだけれど、もうやっている必要はないし、それに、、、、、」
「それに、、?」
「その、、、」
「な、なんだよ、、気になるだろ、、」
どうやら他に何か理由がありそうな霧島である。それが気になる黒崎は問い詰めるがイマイチ霧島は口を割ろうとしない。
「じゃ、じゃあ勝負しましょ!」
「突然だな!?」
血迷った霧島は、突然黒崎に勝負を仕掛けた。
「なぜ私がこの関係を辞めたいと思ったかを当てれたら黒崎くんの勝ち、当てれなかったら負けよ」
「な、なるほど、、?」
「制限時間は明日の放課後まで、帰るまでに当てれなかったら黒崎くんの負け」
「お、おう、、でもこれ何回でも答えてもいいのか、、?」
「、、、、、まあ、、いいわ、、」
「いいの?それなら楽勝じゃね?」
「あと、ヒントも3回だけ出してあげるわ」
「まじ?」
相当答えに自信があるのだろうか、霧島が出してくる条件は非常に甘かった。
「じゃあ早速ヒントもらおうかな」
「ええ」
黒崎はすかさず1つ目のヒントを使用した。
(いやしかし、、何を質問するか、、まずなんで言いたくないんだ?)
言いたくないということは、それなりに恥ずかしいこと、言いずらいことなのだろう。そう考えた黒崎は1つ目の質問を決めた。
「それは、とても言いずらい理由?」
「ええ、もしかしたらこれを言ってしまったら、もう友達でなくなってしまうかもしれないわ」
「そんなに!?」
あまりにも重すぎる答えに黒崎は怯えていた。
「うわ、もう家か、、まあ帰ってじっくり考えるわ、、」
「ええ、それじゃあまた明日」
そうして2人はそれぞれ帰宅することとなった。
「ってことがあってさー」
『いや、、なんでわかんないの龍ちゃん、、』
「へ?」
その日の夜、暇だった黒崎は蒼空に電話をかけ、帰り道のことを相談していた。
「え、なに?蒼空はわかるのか?」
どうやら蒼空には答えがわかるらしい。なぜ関係のない蒼空が答えがわかるのか不思議で仕方ない黒崎である。
「こ、こっそり教えてくれねえか、、?秘密にするから、、!」
『絶対やだ、これは自分で考えた方がいいと思うよ』
「そうなのか、、?」
『まあでも、強いて言うなら』
「言うなら?」
『もう少し自惚れてもいいんじゃない?』
「は?どういうこと、、」
『つーつー、、、』
「切りやがった!」
蒼空はそう言った瞬間に通話を切った。
「自惚れていいってなんだ、、?普通ダメじゃね、、?」
自惚れという言葉は決していい言葉では無い。しかし、それをした方がいいと蒼空は言うのだ。
「仮の関係を辞めたい、理由は話しずらい、言ったら友達じゃ無くなるかもしれない、もう少し自惚れてもいい、、」
黒崎は色んな言葉の意味を深く考え込んだ。
「まさかとは思うが、、、いやいやいや」
黒崎の頭の中に1つの可能性がよぎった。
「あの委員長が?いやー、、さすがに違うか、、」
黒崎の頭の中に浮かんできた1つの可能性は、「本当の関係」になる、ということである。要するに霧島は黒崎と本当のカップルになりたいということだ。
「いやでも、、そんな素振り、、、、いや結構あるな!?」
霧島はまず黒崎の顔がかなり好みである。それに、結構黒崎が攻めると割と照れる節もある。よく考えて見た結果、意外とその可能性も黒崎の頭に浮かんできた。
「いやあ、、、あの委員長だしな、、」
いつもツンケンしていて基本的に堅物な霧島が、そんな素直な問題を出してくるかと黒崎は考えていた。
「もしかして自惚れろって、、、霧島の気持ちに気づけってことか、、?」
ここで先程の蒼空の言葉が思い浮かんだ。黒崎が自惚れて都合良く解釈したものは、素直になった霧島である。
「てかまあ、、なんも思ってなかったら仮の彼氏彼女なんてやらないか、、?いや、なんも思ってないからできるのか?」
色々な考えが黒崎の頭の中に浮かんでくる。
「もうわかんなくなってきた、、もう今日は寝よ、、」
頭の中がグルグルし始め頭が回らなくなった黒崎は、そのまま深い眠りへとついた。




