弱点返し
「はぁはぁ、、死ぬかと思った、、」
ジェットコースターで地獄を見た黒崎は、死にかけたような顔をして倒れ込んでいた。
「大袈裟よ、私はもう一度乗ってもいいわよ?」
「まじで無理!次は絶対死ぬ!」
「ふふ、珍しく面白い顔してるわね」
まるで子犬のようにビビり散らかす黒崎を、満面の笑みで楽しむ霧島である。
「つ、次はコーヒーカップとかでいいんじゃないか?」
「ビビりすぎよ、次はあれにしましょ」
霧島が指さしたのは、1番上まで上がっていきそのまま垂直落下するタイプのアトラクションだ。
「そ、そのまま墜落したりしねえかあれ、、」
「するわけないでしょ」
妙な想像をする黒崎である。
「嫌だ、、死にたくない、、」
「いちいち大袈裟ね」
アトラクションに乗り込み、どんどん上昇していくごとに恐怖が高まってきて、絶望した顔つきになっていく黒崎である。
「お、お前怖くねえのか、、?」
「これ1番好きなのよね」
「お前まじか、、、」
黒崎にとって信じられないことを言う霧島に、さらに絶望する黒崎である。
「そろそろ降下いたします!!」
そうアナウンスの声が入った。
「なあ、、なんか面白いこと言ってくれよ、、」
怖さで声が消えそうな黒崎は、霧島にそうお願いした。
「そうね、、、、」
「ちょ、、早く何が言ってくれもう降下しちまう!」
黒崎はブルブル震えながらそう懇願した。
「ふふ、そうやって怖がってる黒崎くん、最高に可愛いわよ」
「え、今なんて、、ってああああああああああああああああああああ」
聞き返す間もなくアトラクションは降下していった。
「楽しかったわね」
「はあはあ、、、一生分の体力を使い果たした気がする、、、」
アトラクションが終わり、ウキウキする霧島と一生絶望している黒崎である。
「ごめんなさいね、一旦休憩しましょ」
「あ、、ああ、、、、」
そうして2人は昼食がてら休憩することにした。
「なあ、そういえばさっき頂上の時なんて言ったんだ?」
アトラクションで精一杯だった黒崎は、会話の内容がほぼ入っておらず、何を言っていたかさっぱり覚えていない。
「別に、大したことじゃないわよ」
「いやでも、、、なんか結構重要なこと言ってたような、、」
「アトラクションで頭おかしくなったんじゃないかしら」
「誰のせいだよ、、」
「あら、遊園地を選んだ黒崎くんじゃないかしら?」
「そ、そうなるのかこれ、、」
確かに遊園地を選ばなければこうならなかったので、一理あるかと納得してしまう黒崎である。
「しょうがないわね、次は黒崎くんがやりたいものでいいわよ」
「マジで覚えとけよ」
ふふん、と余裕そうな表情を見せる霧島に、闘志を燃やす黒崎である。
「じゃあ次はあれだ」
昼食を食べ終え黒崎の指示の元2人が向かった先は、「超本格的!絶望のお化け屋敷!」と書かれたところだった。
「さっきまで絶望してたのに、また絶望するつもりかしら?」
「ふん、怖くて足が震えてる癖に」
「そ、そ、そんなわけないでしょ」
そんな余裕そうな雰囲気を醸し出す霧島だが、黒崎から見ても余裕でわかるくらいに足がガクガクだった。
「ホラー苦手だもんな、別に無理しなくていいんだぞ??」
「む、無理なんてしてないわよ!何回も入ったことあるし!余裕よ!」
「そ、そうか?」
ぷくっと顔を膨らませ、意地を張っている霧島を思わず可愛いと思ってしまった黒崎である。
「あ、あんたが前行きなさいよ」
「はいはい」
そうして黒崎が先頭でお化け屋敷へと入っていった。
「おー確かにこれは本格的だな」
さすが大規模遊園地と言わんばかりの本格的な設備と、その広さに感心する黒崎である。
「おい、服引っ張ったら動けないんだけど」
「だ、だって、、、!」
どんどん前に進んでいく黒崎と対極に、その黒崎の服を掴んで全然進もうとしない霧島である。
「ほら、手繋いでやろうか?」
怖がる霧島をニマニマと眺めながら、少し意地悪をする黒崎である。
「もう、、ほんとにむり、、!」
「ちょ、、!?」
冗談で言ったつもりだったのだが、予想に反して霧島は黒崎の手を両手で思いっきりギュッと握りしめた。
「おい、、!歩きずれえって、、!」
「お願い、、、、!!離れないで、、、、!!」
「わかったって!離れねえからあんま引っ張んなって!」
想像の5倍は怖がっている霧島に少し申し訳なくなる黒崎である。
「それにしても意外と驚く要素ないな、もう少しなんか出てくるかと思ったのに」
「出てこなくていい、、、!!」
「だいたいここら辺でなんか上から降ってきたり?」
「きゃあああああああああ」
「!?!?!?」
霧島は悲鳴と共に黒崎の背中に思いっきり抱きついてきた。そして黒崎はどちらかといえば霧島の悲鳴に驚いていた。
「お、落ち着けって、ただのゴミだろこれ」
「もうむり、、、!!はやく、、、!!」
そういう霧島の抱きしめる力は恐怖とともにどんどん強くなっていく。
「わかったわかった!もう出るから背中に乗れ」
「、、、、、、」
霧島は無言で黒崎の背中におぶられた。
(ちょっとやりすぎたか、、?)
そう思ったが、自分も結構やられたのでこれくらいはいいだろうと思った黒崎である。
「ほら出口着いたぞ、目開けろ」
「うん、、、、、」
半泣きで返事する気力も薄れている霧島である。
「す、すまんなそんな怖がるとは思わなくて、、」
「、、、、、、」
「あー、、もっかいジェットコースター乗るか、、?」
「、、、、、、乗る」
「乗るんかい」
霧島を落ち着かせようと黒崎は最初に乗ったジェットコースターを提案したが、霧島はあっさり承諾した。
「や、やっぱり乗らないとダメか、、?」
ジェットコースターに乗る直前に、怖さで日和ってしまう黒崎である。
「だめ、3回は乗るわよ」
「それは死ぬって!!」
そうしてその後も霧島の要望に付き合った黒崎は、死んだ目をして遊園地をあとにすることとなった。




