仮
「は!?私が黒崎くんの彼女のフリ!?」
「ちょ、声でけえって、、!」
いつものファミレスに集まる3人、席に着いて間もなく霧島の声が辺りに響いた。
「龍っちに彼女がいればあの子も龍っちのこと諦めるかもでしょ?」
「それは名案だね」
「でしょでしょ!?」
「ところでこの会議僕必要かな」
なんの話かも全く分からず、ただ星宮に強引に連れてこられた蒼空もその場にいた。
「べ、別に俺はいいんだけど、、その、、委員長の問題というか、、」
「玲奈っちは別に大丈夫だよね!?ね!?」
「いや、、その、、」
どうしようか迷っている中、星宮から圧のような視線を感じた霧島である。
「ま、まあ別にただの仮だから、、委員長がいいならいいんだけど、、」
「わ、私は大丈夫よ、、?」
(これは、、チャンスなのかしら、、?)
つい最近ようやく黒崎のことを好きだと自覚した霧島。仮の彼女になるというのは距離を詰めるのにはもってこいの機会かもしれない。
「じゃあ決まり!じゃあまず手繋いで!」
「別に今ここでやる必要ないでしょ!!」
そうして、2人は明日からカップルのフリをすることになった。
「カップルのフリって何をすればいいんだ、、?」
「し、知らないわよ、、!!」
朝なんとなく2人で登校してきた黒崎たちだが、いかんせん2人とも恋愛経験が皆無なため、全く何をすればいいかわからなかった。
「と、とりあえず手でも繋いどく?」
「ひゃっ、、!」
黒崎は流れに身を任せ、霧島の手を握ることにした。
「委員長手冷た、、!寒いのか?」
「そ、その、、仮にも付き合ってる設定なんだから、、委員長呼びは変じゃないかしら、、?」
「あー、、まあ確かに、、」
付き合っているのに彼女を役職呼びは確かに変な感じがすると思った黒崎は、呼び方を変えることにした。
「別に俺は普通に玲奈って呼べるけど、、」
「りゅ、りゅ、、、りゅぅき、、、」
「やっぱそっちが呼べないじゃん」
前にも同じことがあったような気がするので、なんとなく予想はついていた。
「あ!なんで手を繋いでいるんですか!」
「やべ、、来た、、」
そうこうしていると、教室に亀井の姿が現れた。
「どういう関係なんですか!ねえ!!」
「わ、私たちは、、えっと、、」
「俺は玲奈と付き合ってるんだ、だからこれ以上付きまとって来ないでくれるか?」
「「!?!?!?」」
黒崎はストレートに言葉を返した。亀井は驚いた表情を見せ、何故か隣にいる霧島も驚いた表情をしていた。
(ちょ、ちょっと当たり強すぎたか、、?)
いくら迷惑だったとはいえ少し言いすぎたかと思う黒崎である。そして亀井の表情を見ると、泣きそうなのかそうでないのかよくわからない表情をしていた。
「あ、あの亀井さん、、!」
「はあ〜、、、なーんだつまんないの」
「!?」
霧島が亀井に話しかけた瞬間、亀井の態度が一変した。
「最初からあんたみたいな男狙ってるわけないじゃん」
「え、、は?どういう、、」
亀井はそういうと霧島の方へと駆け寄った。
「私は最初っから玲奈ちゃん一筋だもん!!」
そう言うと亀井は霧島に抱きついた。
「ちょっと、、!?何、、!」
「はい、、、?」
黒崎は困惑と驚きで頭がこんがらがっていた。
「ちょっと待てよ、じゃあなんでこんなことしたんだ?」
「だってずっとラブラブの2人を離れさせなきゃ私が玲奈ちゃんと一緒にいれないじゃん!」
「ラブラブ!?」
亀井突然の言葉に顔を真っ赤にする霧島である。
「私が黒崎くんを奪っちゃえば玲奈ちゃんと黒崎くんがくっつくことなんてないし!そしたら玲奈ちゃん1人になるからチャンスかなって!」
「ああもうほんとに意味がわからん、、」
亀井の暴論に頭を抱える黒崎である。
「それにしても、なんでわたしなのよ、、」
「だって可愛いし華奢だし髪綺麗だしツンケンしてるけど素直になったらめっちゃ可愛いし!」
「だよね!亀井ちゃんわかってるじゃん!!」
「星宮さんもそう思うでしょ!」
「なんでそこが意気投合してんだ?」
その場に居合わせた星宮は、何故か亀井側についていた。
「玲奈ちゃん大好き!」
「うちの方がもっと先に玲奈っちのこと好きだったもん!」
「た、、助けて黒崎くん、、」
2人に両腕を掴まれ、身動きが全く取れなくなった霧島である。
「いやぁ、、、ちょっときついなこれは、、」
「み、見捨てないでよ!」
キラキラした女子2人に割って入るのは黒崎にとっては至難の業である。
「た、たすけてよ、、!」
「はあ、、、、仕方ねえなあ、、、」
結構ガチめに困ってそうな顔をする霧島を放っておけるわけもなく、黒崎は行動に出た。
「よいしょっと」
「きゃっ!?!?」
「あ!ちょっと!!」
2人に挟まれもがき苦しんでいる霧島を、そのまま引っ張り出しそのままお姫様抱っこをした。
「わあ!龍っち力持ち!」
「ちょっと、、!恥ずかしいから下ろして、、!」
突然の出来事に恥ずかしさで先程とは違う意味で苦しんでいる霧島である。
「お、推せる、、!!!」
「は?」
その2人の姿をみた亀井は、何故かときめいた顔をしていた。
「まさか、、亀井ちゃんも2人のこと推せるタイプ!?」
「委員長と不良の対極のカップル、、!推せる!!」
「なんかまた始まったぞ、、」
今度はどうやら霧島単体から黒崎と霧島の2人にターゲットが変わったようだ。
「ま、まあこれで落ち着くならいいんじゃないかしら、、」
「まあ、、それもそうか、、?」
解決したようで逆に悪化しているような感じもするが、とりあえず一件落着ということになった。
「あの、、りゅ、、りゅうきくん、、!」
「どうした?」
「そろそろ下ろして貰ってもいいかしら、、!」
「あ、すまん忘れてた」
その間何故かずっとお姫様抱っこし続けていた黒崎と、恥ずかしさでずっと顔が真っ赤だった霧島であった。




