大逆転クリティカル
「「「「あけましておめでとうございます」」」」
新たな年を迎えた4人は、初詣のため集まっていた。
(んで、、こっからどうすんだ、、?)
黒崎がこう考えるのは他でもない。今日は星宮と蒼空を2人きりにさせる作戦を実行する当日である。
「龍ちゃん甘酒あるよ、飲もうよ」
「あー、まずお参りしようぜ」
「確かに、それもそうだね」
(あっぶねー、、)
危うくこちらが蒼空と2人きりになるところであった。そして蒼空と話している横から「余計ことしないでよ?」みたいな霧島の目線を感じていた。実は今回の作戦はほとんど霧島に任せている。霧島がなんとか俺をどこかに誘導して星宮たちを2人きりにする作戦だ。
「あ、、!あっちにりんご飴あるわよ!」
(お、早速作戦実行か?)
どうやら屋台に黒崎を連れて行って2人きりにする作戦のようだ。
「よし、じゃあ一緒に」
「買ってくるわね!」
「いや、え??おい!!」
なんと霧島はそのまま屋台の方へと走っていった。どうやら本当にただりんご飴が食べたかっただけのようだ。
「ああもうしょうがねえ!俺も行ってくるから後で合流しようぜ!」
これを逆にチャンスだと捉えた黒崎はプライドを捨てて霧島を追いかける選択を取った。こうすることで蒼空と星宮を2人にするのだ。
「え?あ、うん」
蒼空はかなり困惑しているが、その表情をしている頃にはもう黒崎はいなかった。
「2人とも行っちゃったね」
「そ、そうだね、、!2人で先にお参りしちゃおうか!」
「別に戻ってきてからでいいんじゃない?」
蒼空は真顔で星宮に言葉を返した。
「あー、、えっと、、ほら!あの2人いい感じだからさ!2人にしてあげようよ!」
「確かに、それはいい案だ」
「そうでしょ?だからお参りしちゃお!」
「そうだね」
そうして何とか2人きりの状態を保つことができた星宮であった。
「おい待てって、、!」
一方屋台の方へと行った霧島を探すべく、黒崎は屋台の方へと向かっていた。
「くそっ、、!どこ行った、、!」
「ん、美味しいわねこれ」
「うわびっくりした!!」
突如として背後からやってきたのはりんご飴を頬張る霧島である。
「はい、黒崎くんにも1本あげる」
「お、さんきゅー、じゃなくて!!勝手にどっか行くなよ!」
「黒崎くん大きいからすぐわかるわよ」
「そういうことじゃなくてだな、、」
色々言いたいことを言おうとしたがりんご飴に夢中で全然聞いていなさそうなので諦めることにした。
「いいじゃない、結果的に向こうを2人にできたのだし」
「まあ、、もういいやそういうことで、、」
呆れた黒崎は仕方なくりんご飴を頬張っていた。
「んじゃ、俺達もとっととお参りして帰るか」
「あっちにわたあめもあるわよ!」
「はーい行きますよー」
「わかったわよ!痛いから引っ張らないで!」
言うことを聞かない霧島の手を黒崎はがっちりと握りしめて神社の方へと引っ張っていった。
「な、なんで手は握ったままなのよ、、!」
「勝手にどっか行った罰だ。またどっか行ったら困るから今日はこのままずっと握っておく」
「も、もうどこもいかないわよ、、!」
霧島は恥ずかしさのあまり赤面していた。しかし、それを感じ取った黒崎は心の中でこう思っていた。
(これ、、意識してんじゃね!?)
手を握られて赤面するなど意識しているに他ならない。ここが勝負のときだと思った黒崎はさらに攻めることにした。
「今日の着物いいな、めっちゃ似合ってる」
「な、なによ、、!急に、、!」
霧島が来てきた着物を褒めることでさらに意識させるという狙いだ。
「ほ、ほら、、!順番来たわよ、、!」
「ああ、行くか」
そうして2人は2礼2拍手1礼をし、無事にお参りを終えた。
「黒崎くん結構長めにお参りしてたけど何をお願いしたの?」
「ん、委員長とこれからも一緒にいられますようにって」
「な、、、!そんなことわざわざお願いしなくていいわよ!」
「お願いしなくても一緒にいてくれるってこと?」
「うるさい!」
(今日はいける日だ)
これでもかと黒崎の攻撃が霧島にヒットして赤面する霧島を見て、今日はいける日だと確信した黒崎である。
「お、甘酒だ!飲みに行こうぜ」
「そ、そうね、、てかそろそろ手は繋がなくてもいいんじゃないかしら!?」
「いいじゃん別に、それとも手繋ぐの嫌なの?」
「嫌、、、、ではない、、、こともないけど、、!なんか恥ずかしいのよ!」
「まだまだお子ちゃまだな委員長は」
「まだ子どもよ!」
先程から赤面したり怒ったりと忙しい霧島を引っ張って甘酒のお店まで来た。
「甘酒1つおねがいします!」
「はいよ!どうぞー!」
「あざす!」
今日はずっと霧島に勝っている気がする黒崎は気分ルンルンで甘酒を受け取った。
「甘酒ってうめえよなあ」
「わたし甘酒飲んだことないのよね」
「ん、そうなの?ひとくち飲むか?」
黒崎は自分の飲んだ甘酒のコップを霧島に差し出した。
(よし、これで今度は関節キスに恥じらう委員長が見れるぞ!)
絶好調な黒崎はブレーキを投げ捨てて恥じらうことなく行動に移した。
「ほんと?ありがとう、飲んでみたかったのよね」
そうして霧島はなにも気にすることなくコップを受け取り、そのまましっかりと口をつけて甘酒を飲んだ。
「え、、!?おいちょっと、、!!」
「こういう感じなのね、美味しいわ」
しっかり味わった霧島はそのままコップを黒崎に返した。
(え、、?ちょっと待って、、?、、、、え?)
あまりの出来事に黒崎は返されたコップを見ながら立ちすくんでいた。
「黒崎くん?どうしたの?」
何も気づいていない霧島はぼーっと立ちすくんでいる黒崎を見てただ心配していた。
「おまえ、、、このコップ見てなんも思わねえのか、、?」
そのコップにはしっかりと霧島の口紅の跡がついており、証拠バッチリであった。
「コップを見て、、?何を言っているの、、?」
まだ気づかない霧島に黒崎は最終手段に出た。
「こ、これでもまだわかんねえか、、?」
黒崎はその口紅が着いている部分に自分の唇を当たるか当たらないかぐらいまで近づけて霧島に見せた。
「!?!?!?!?!?!?」
あまりに驚きすぎた霧島は声にもならないほどの悲鳴をあげた。
「わ、わかったかよこれで、、」
「ち、違うのよ!!ほんとに気づかなくて!!ああもうほんとに恥ずかしい、、!」
「恥ずかしいのはこっちだよ、、」
最後の最後で無自覚霧島にしてやられた黒崎は、赤くなった顔を手で覆って膝から崩れ落ち、クリティカルヒットの大逆転負けで初詣を終えることとなった。




