突然の進展
「くそ、、!また負けた、、!」
「まだまだだね龍ちゃん」
とある休日、蒼空と黒崎の2人は黒崎の家で普通にゲームをしていた。
「はー疲れた、一旦休憩しようぜ」
「そうだね」
そう言って黒崎はおもむろに冷蔵庫からコーラを取り出した。
「休みの日に飲むコーラは格別だなー」
「そういや言ってなかったけど僕星宮さんと付き合うことになったんだよね」
「ぶはっ!!」
黒崎は口に含んだコーラを全て噴射した。
「は!?!?ちょっ、、え!?!?」
蒼空の口から突然放たれた衝撃の事実に黒崎は驚きを隠せなかった。
「この前の初詣の時に付き合い始めたんだ」
「いやいきなりすぎだろ!意味わからんって!」
まるで当然かのように真顔で話し始める蒼空に困惑を隠せない黒崎である。
「えっとな?ちょっと待ってな?んーっと、、告白したのは星宮からだよな?」
「いや、僕からだよ」
「ええええええええええ!?!?」
黒崎はさらなる事実に驚きすぎて空いた口が塞がらなかった。黒崎は星宮の想いを知っていたので、絶対に星宮から告白したのだと思ったのだ。しかし裏を返せば蒼空からだったので全く理解が追いついていないのである。
「蒼空って星宮のこと好きだったのか!?」
「まあ、結構前からだけどね」
「いやもうちょい顔に出せよ!全然わかんなかったわ!」
「僕ポーカーフェイス上手いからね」
「上手すぎてこええよ」
にっこりとした顔で話している蒼空を見て軽く恐怖を感じる黒崎である。
「ちょっとぐらい俺に相談とかしてくれたって良かっただろ、、なんかちょっと悲しいぜおい、、」
「ヘタレの龍ちゃんに相談してもなあ」
「ヘタレって言うな!」
「ヘタレでしょ龍ちゃんは」
今度は真顔になり黒崎に言葉を返す蒼空である。
「ま、まあとりあえずおめでとう、、?」
「ありがとう」
突然の出来事に祝うにも祝いきれずムズムズする黒崎である。
「ところでひとつ聞いていいか?」
「どうしたの?」
「星宮のどこを好きになったんだ、、?」
黒崎から見て蒼空からは全く好意が見えなかったので、一体星宮のどこに惹かれたのかが気になるのだ。確かに星宮は顔は比較的良い方で基本的に優しく、明るい性格でクラスの男子からも割と人気である。しかし黒崎から見た蒼空は、もう少し大人しめでギャルではなく清楚系のような感じの子の方が好きなのかと思っていたのだ。
「んー、好きになったところかあ。背の低い男子の方が好きって言ってくれたとこかな」
「は、、?それだけ、、?」
「それだけでは無いけど、それが言われて一番嬉しかったかな」
「な、なるほど、、?」
背が低いのは蒼空のコンプレックスである。しかしそのコンプレックスに蒼空が悩む度に背が低いのを星宮は肯定していたそう。
「まあ確かに背が低い方が好きとは言ってたな、、」
「それと一緒にいたら元気なるよね、あと笑顔を見ると元気になるし」
「おーい惚気はそこら辺にしといてくれよな」
真顔で「彼女」のいい所を話し始めたのでとりあえず話を一刀両断した。
(まあ、、こいつに聞いても仕方がない、、本人に聞くのが1番だ、、)
そう心に決めた黒崎、そうして迎えた冬休み最終日である。
「とりあえず色々聞かせてもらおうか」
「そうよ、私からも聞きたいことがたくさんあるわ」
「2人とも〜、、?ちょっと目が怖いよ〜、、?」
冬休み最終日、課題をやるという名目で霧島の家に星宮を含めた3人を集めた。
「あ、あのね、、?お参り終わったあとに急に告白されちゃって、、」
「うんまあそこらへんは蒼空に聞いたからまあいいや」
「聞いたの!?」
「結局星宮は蒼空のどこが好きなんだ?」
「それは、、」
星宮が蒼空を好きという話は聞いていたが理由はよく知らない。知っているのは背が低いのが好きということだけだ。
「いっつも気を利かせてくれて、、ナンパからも守ってくれたり、、たま〜に見せる笑顔がめちゃめちゃ良かったり、、それで気づいたら好きになってて、、!」
「乙女かよ」
「乙女だよ!?」
まるで少女漫画みたいな恋をしている星宮に黒崎は真顔でツッコんだ。
「まあなんでもいいわよ、あのチビが姫華のこと悲しませなかっただけ良かったわ」
「委員長はなんでそんなにチビに当たりが強いんだ、、?」
何故か委員長は蒼空に対して当たりが強いが、細かい理由がありそうなので聞かないことにしておく。
「蒼空っちはチビじゃないよ!背は小さいけど心は広くてとっても大人だよ!」
「星宮は背が低い方が好きなんだよな?」
「別にそういう訳では無いけど、、あんまり気にしないってだけかな〜」
「な、なるほど、、?」
(なんか、、蒼空と言ってたことが違くないか、、?)
蒼空は星宮は背が低い方が好きと言っていたが、黒崎には若干ニュアンスが違うように感じた。
「そんなことよりあなたたち課題はやらなくていいのかしら?」
「も〜!せっかく忘れてたのに〜!」
「忘れちゃダメでしょ、、明日から学校なんだから早く終わらせるわよ」
「そんじゃ、俺は帰ろうかなー!」
「逃がすわけないでしょ」
霧島は課題を放棄して逃げようとした黒崎の腕を掴んで連れ戻した。
「力つよ!!なんでこういう時だけこんな強いんだよ!」
「うるさい、いいからやるわよ」
そうしてこの日は一日中課題地獄に追われた黒崎であった。
「そ、蒼空っちおはよ!」
「おはよう」
(さて、、どんな様子だ、、?)
夏休み明け初日、黒崎にとって蒼空たちが付き合ってから初めて2人でいる姿を目の当たりにしたので、遠くからこっそり眺めていた。
「い、いい天気だね!」
「そうだね」
「しゅ、宿題終わった?」
「終わったよ」
「、、、、」
(いや全然会話続いてねえじゃん!)
まるで星宮側が片想いしていて話しかけているようにしか見えない。本当に付き合っているかも怪しいぐらいの会話の数である。
「あの男、、姫華を困らせてないでしょうね」
「うわびっくりした!毎度毎度急に背後に来るな!」
遠くから星宮たちを眺めていると突如後ろから霧島がやってきた。
「全然付き合っているようには見えないのだけれど、、本当に大丈夫なのかしら、、?」
「ま、まあわからん、、少なくとも蒼空は人前でいちゃつくようなタイプではないしな、、」
「見てて姫華が可哀想なのだけれど、、一発あのチビに喝を、入れにいこうかしら」
「だからなんでそんなチビヘイト高いんだよ」
少しキレ気味で星宮の方に行こうとした霧島を引っ張って連れ戻す黒崎である。
「蒼空っち!私今日実は前と少し変わったんだけど、、その、、当ててみてほしいな、、?」
星宮は蒼空の方を見て自信なさげにクイズを出した。
「うわ、、女子の容姿の変化に気づかんといかんめんどくせえイベント来た」
「めんどくさいって言うんじゃないわよ、、モテないわよ」
「うっせえよ」
少しチクリと言葉のトゲが刺さった気がしたがとりあえず星宮たちの会話に集中することにした。
「んー、口紅が変わってるかな。あと髪のトーンも少し変わって可愛くなった気がする」
「か、可愛い!?」
星宮は突然の褒め言葉に顔を赤くした。
「あといつもの事だけど笑顔も可愛いし見てて元気になる」
「わ、わかったから!!正解!!当たりです!!」
「あとちょっと前と髪型が変わってて前のも良かったけど今の髪型も可愛くて」
「ほ、褒めすぎ褒めすぎ!!わかったから!!もう大丈夫!!」
「まだ褒め足りないかも、今日着てきた上着も髪の毛の雰囲気とマッチしててめちゃめちゃ似合ってて」
「ほ、褒められすぎて死んじゃうから!!誰か助けて!!」
星宮は真っ赤になった顔を覆って教室から逃亡していった。
「どっかいっちゃった」
一方蒼空は平然とした顔で星宮の逃げた方を眺めていた。
「あ、あいつって思ったことを正直に言う癖があるんだよな、、」
「正直すぎでしょ、、こっちまで恥ずかしくなったわよ、、」
その一部始終を見ていた2人だったが、とてもいたたまれない気持ちになった。
「どっかの誰かさんももう少し素直になってくれりゃ可愛げがあるのになあ」
「なんか言ったかしら?」
「いやあなんでもないっす」
ボソッとそんなことを呟いた黒崎だったが、何となく後ろから殺気を感じた気がするのでこれ以上余計なことは言わず1歩身を引いたのであった。




