秘密の話
「え!?ちょっと!なんでいるの!!」
「そりゃそうなりますよね」
次の日の朝、何故か一緒のベッドで寝ている2人である。そしてしっかり黒崎の予想通りの展開になっていた。
「早く離れて!」
「いや潜り込んできたのそっちだろ」
「そんなことするわけないでしょ!」
黒崎は霧島の発言に呆れていた。そりゃ別のベッドで寝ると言ったのに寝ぼけて自分からこっちに戻ってきた癖に逆ギレしてきているからだ。
「いやお前隣の部屋で寝るって言ってただろ」
「じゃ、じゃあなんで私がこの部屋にいるのよ!」
「お前が寝ぼけてこっちに来たんだよ」
「起こせばいいでしょ!?」
「何回も起こそうとしたし、それにあんな気持ちよさそうに寝られたら無理やり起こせないって」
「人の寝顔勝手に見ないでよ変態!!」
「可愛かったからいいじゃん」
「なっ、、!よ、良くないに決まってる、、でしょ、、!!」
霧島は顔を赤くしてベッドから出ていった。
「とにかく!今のことは全部忘れて!!」
「無理だなあ」
「なんでよ!」
「とりあえずぬいぐるみ抱きしめながら寝るのは卒業したらどうだ?」
「そ、それは、、!そんなの、、私の勝手でしょ!」
(あ、それは嫌なんだ)
露骨に嫌そうな顔をする霧島に少し笑みがこぼれる黒崎である。
「ふふふ、可愛いなお前」
「そ、それはバカにしてるでしょ!」
「いいんじゃないか?高校生でもぬいぐるみ抱きしめながら寝ても」
「うるさいわよ!」
今日の霧島はつくづく可愛く見えてしまう黒崎である。
「それじゃあ俺は帰ろうかなさすがに」
「そうよ!早く帰って!」
「じゃあ帰らない」
「なんでよ!?」
「やっぱ面白いなお前」
「うるさい早く帰ってよもう!」
早朝から霧島をいじり倒せて満足気な黒崎はご機嫌で霧島家を後にすることとなった。
「なあ、好きってなんだと思う?」
「急だね!びっくりしたよ急に私の事呼び出すから!」
クリスマスパーティから数日、ファミレスで黒崎は星宮に相談をしていた。
「うーん、、龍っちからしてみれば、可愛いとか、一緒にいて楽しいとか、もっと喋りたいとか、安心するとか?」
「なるほど、、だがその理論は通らない気がするんだ」
「なるほど、、?」
星宮は不思議そうな顔をして黒崎に耳を傾けた。
「だってそうなったら俺委員長のことが好きってことになるだろ?」
「え?好きなんじゃないの?」
「え」
「え?」
黒崎は10秒ほどフリーズしながら思考を巡らせた。
「いやいや、、さすがにそれは、、」
「近づいたらドキドキしたりとかは?」
「そりゃするだろ」
「ふーん、、えい!」
「うお!?」
星宮は黒崎に対して体を寄せて密着させた。
「なんだよ急に、びっくりするわ」
「ほらね?私に近づかれてもドキドキしないでしょ?」
「え、、ほんとだ、、確かに、、」
「それもちょっと失礼な気がするけど!でもそれが答えなんじゃない?素直になっちゃおうよ!」
「別に俺は結構素直な方だと思うんだけどな」
黒崎はどこかの素直じゃない人に比べればだいぶ素直だと自分では思っている。
「ところでお前と蒼空とはどんな感じなんだ?」
「な、な、なんで!?別になにも無いよ!?」
「いやわかりやすすぎだろ」
面白いくらいに動揺する星宮に思わず笑いそうになる黒崎である。
「まあ、、蒼空は手強いだろうなあ、、」
「クリスマスも断られちゃったし、、もうダメなのかなあ」
「まあまあ落ち着け、俺に考えがある」
黒崎は自分の頭を指さしながらそう言った。
「龍っちに頭良いキャラは無理だと思うよ」
「あ、じゃあもういい言わない」
「うそうそ!!ごめんごめん!!是非聞かせてほしいな!」
拗ねてしまった黒崎を慌ててフォローする星宮である。
「初詣に2人で行くんだ」
「初詣?」
「そうだ、正直冬休みで仲を深められるのはそこぐらいしか思いつかん」
「深いようでめっちゃ浅いね」
「続きあったんだけどなあ」
「ああもうめちゃめちゃ聞きたいです!興味津々です!」
黒崎が立ち上がり帰ろうとした素振りを見せたので星宮は慌てて引き止めた。
「俺ら4人で集まって、お前らを2人きりにする作戦だ」
「なるほど、、?」
「2人で行こうとすると警戒されるだろ?だからみんなで行くってことにして途中で別れればいい」
「それって龍っちが玲奈っちと2人きりになりたいだけなんじゃ、、」
「うん別に嫌なら俺は行かないけどな??」
「うそうそ!!めっちゃいい案だと思います!」
キレ気味の黒崎に星宮は手を大きくあげて賛成した。
「そこでひとつ問題なんだが、、」
「なんでしょう!」
「このことを委員長に言うか言わないかっていう話だ」
「大丈夫!玲奈っちとうちは心で繋がってるから!」
「うん、じゃあそういうことでいいや」
「楽しみー!!」
考案者なのに半分投げやりになっている黒崎と、ウキウキが止まらない星宮である。
「それじゃあ細かいことは後ほど連絡するから」
「龍っちこの大きいパフェ食べたい」
「食ってもいいけど頼んだ瞬間俺帰るからな」
「いやー!ケチー!」
「うるせえこいつ、、」
「私もそれ食べたいわ」
「うわびっくりした!!なんでいんだよ!!」
突然横からひょこっと霧島が出てきて、黒崎は思わず腰を抜かしそうになった。
「失礼ね、姫華が早く来てって言うから来たのよ」
「いやなんで呼んだんだよ!」
「いやー玲奈っちも来たいかなって」
「お、お前いつからいたんだ、、?」
「ついさっきよ、パフェの話をしてるあたりね」
「ふう、、良かった、、」
少し前の会話が聞かれていないかヒヤヒヤしたが、どうやら大丈夫そうだった。
「なに?そんなに私は来ない方が良かったわけ?」
「いやそういうことじゃなくてだな、、」
なんと説明すればいいのかわからず困る黒崎である。
「なによじゃあ、どうやら私に秘密の話をしてたようだけれど」
「な、、!おい星宮お前どこまで話したんだよ!」
「うちはなんも言ってないよ!ただ呼んだだけ!」
「じゃあなんで、、」
「ふん、私を見くびるんじゃないわよ。そんぐらいわかるわよ」
霧島は得意げな顔をしてそう言った。
「店員さん、このパフェを2つとコーヒーお願いします」
「かしこまりました」
霧島はコールボタンを押して注文をした。
「おい何頼んでんだよ」
「いいでしょ、ただ居座る訳にもいかないし」
「てかコーヒー飲めんのか?あんだけ甘党なのに」
「ふん、私だって大人になってるのよ」
「ぬいぐるみと一緒に寝てるくせに、、」
「そ、それとこれとは違うでしょ!!」
「いてえいてえ!わかったわかった!!」
恥ずかしさと怒りが溜まった霧島は爪楊枝で黒崎の指をチクッと刺していた。
「あれ、、、?なんで龍っちが玲奈っちがぬいぐるみと一緒に寝てること知ってるの?」
「あ、、やべ、、」
黒崎は発言してから自分が何をやらかしたか自覚した。
「ね、寝言で私が言ったのよ、、!」
「なんで寝言を聞いてるの?」
「じゅ、授業中の話しよ!」
「玲奈っち授業中寝ないじゃん」
「こいつが家に侵入してきて!」
「おいそれは違うだろ」
このままだとあらぬ誤解を生んでしまいそうなので仕方なくクリスマスのことを正直に話すことにした。
「へえ〜?2人でクリスマスパーティしてたんだあ」
(いや、こっわ)
いつもキラキラふわふわしている星宮とは一変して、まるで人を見下すような哀れみの目をしていた。
「玲奈っち抜け駆けしてないって言ってたのに、、嘘つき、、」
「ご、ごめんなさい、、!色々わけがあったのよ、、!」
「玲奈っちは可愛いから許す!」
「おい」
「龍っちの相談にはもう絶対に乗らな」
「駅前のたい焼きでも食うか?」
「食べる!!」
「ちょろすぎるわね、、」
少し不穏な空気が流れたが、餌付けで何とか事なきを得た黒崎であった。




