覚悟
「委員長おはよう」
「おは、、、、、え!?」
朝学校に来て黒崎が霧島に挨拶すると、霧島はとても驚いた表情を見せた。
「どうした?」
「どうしたって、、!黒髪になってるじゃない!!」
「ああ、これか」
驚くのも無理はない、また黒崎が黒髪になって登校してきたのだ。
「久しぶりに黒髪にしてみたんだ」
「ふ、ふん、、どうせまたカツラでしょ?」
「触ってみ」
「え、、?」
そう言われ、霧島は黒崎の髪の毛を引っ張ったが、髪の毛が抜けることはなかった。
「まさか、、本当に黒髪に、、」
「痛え痛え!!あんま引っ張んな!!」
「あ、ごめんなさい」
突然の出来事に信じられなかった霧島は、思わず黒崎の髪の毛を引っ張りまくっていた。
「それにしてもなんで急に?」
「うーん、気分かなー」
「ま、まあいい事ね、元々金髪は校則違反なわけだし」
「んー、あとは委員長が黒髪の方が好きそうだからかなー」
「な、なんでそうなるのよ!そりゃ黒髪の方がいいけど、、!あーもう!うるさいわよばか!」
「うえー理不尽」
うるさいで急に話を切られ終いには罵倒されてしまった黒崎である。
「おはよ〜!って龍っちが黒髪になってる!!!!なんで!?!?」
元気よく挨拶してきた星宮も、黒崎の風貌に驚いていた。
「ほらほら蒼空っち!!起きて!!緊急事態!!」
「えー、、、なに、、、?」
先に教室に来たものの爆睡していた蒼空も星宮によって叩き起された。
「え、、?どうしたの、、?とうとう少年院行き、、?」
「ちげえよ!なんか悪いことして染めたわけじゃねえわ!」
寝起きの蒼空の一言に、思わずツッコム黒崎である。
「ようやく改心したんだ、、僕は親のように嬉しいよ、、!」
「私も!ようやく真面目な少年になったんだね!」
「お前らはとりあえず後でシバく」
黒崎の変化に何故か親目線の2人は、黒崎の髪を見て目を輝かせていた。
「ちゃんと黒髪の龍っち見るの初めてかも!」
「確かに、僕も小学校以来かも」
黒崎は中学生ぐらいからずっと金髪なので、星宮や霧島は地毛の黒髪は見たことがない。
「ふん、黒髪にして浮かれてないで日頃の態度も改める事ね」
「あんま黒髪で浮かれてるって言わねえと思うが」
黒髪にしても、相変わらずツンケンしている霧島である。しかし、見た目に反して霧島の心の中の反応は真逆であった。
(どうしよう、、!直視できない、、!)
前々から言っていた通り、霧島は黒髪高身長の目つき悪めの人がどタイプである。それに合わせられるといくら「天敵」相手でも調子が狂ってしまうのだ。
「委員長の髪って綺麗だよなー、なんか普段手入れとか凝ってんの?」
「ち、ちかづかないで!」
「え、、、」
いきなり目の前まで近づかれた霧島は思わず黒崎を突き放してしまった。
「そ、そんなに似合わないか、、、?」
黒崎は露骨にしょんぼりとしてしまった。
「いやその違くて、、!なんか変な感じがするというか!むずむずするのよ!」
「素直にかっこいいから直視できないって言えばいいのに、、」
「姫華うるさい!」
何故か耳元で心の中の言葉を囁いてくる星宮を1回静かにさせる霧島である。
「変じゃねえか、、?これでも結構勇気出したんだが、、」
「似合ってるからその落ち込むのやめて!なんかやりずらいわよそれ!」
「ほんと?やったー♪」
「なんなのよこの人は、、」
急変している黒崎に手こずり、朝からクタクタになった霧島であった。
「龍ちゃんなんで急に黒髪になったの?」
「ん」
その日の放課後の帰り道、蒼空は黒崎にそう問いかけた。
「別に理由とかねえよ、気分だ気分」
「ふーん?」
「なんだよ、、」
黒崎の答えにニヤニヤしながらジロジロと黒崎の方を見る蒼空である。
「いやー別に?とうとう委員長のことを意識しだしたのかなって思っただけ」
「な、、、!?」
蒼空の言葉に、黒崎は頬を赤くした。
「別に意識してるとかじゃねえよ!ただ俺がガラ悪いと委員長に迷惑かかるから!」
「んじゃ結局委員長のためってわけだ」
「いやそうだけどそういうことじゃなくて!ああもううるせー!」
「なんか委員長に似てきたね」
「もう黙れお前、、」
蒼空にたっぷりいじられて、意気消沈している黒崎である。
「素直に好きって認めれば楽なのになあ」
「うるせーよ、そんな簡単に認められるもんじゃねえんだよ」
「それほぼ答え言ってるようなものだと思うけど」
「ん、、?」
「あ、、ごめんなんでもない、、」
「???」
(鈍感すぎるよ、、)
あまりにも鈍感で自覚がない黒崎に、軽く絶望している蒼空である。
「あ、やべ!そういや今日俺バイトだったわ」
「そういえば龍ちゃんってなんのバイトしてんの?」
「そういえば言ってなかったか、最近は駅前のカフェでバイトしてる」
「へぇーそうなんだ」
「今まで金髪隠すためにカツラ被ってたけど黒髪にすりゃその必要もねえから楽だな」
「カフェのバイトでカツラ被ってたんだ、、」
カフェのバイトで黒髪のカツラを被るという衝撃の事実に驚愕する蒼空である。
「今度お客さんとしてお邪魔するね」
「やめろ!もう恥ずかしい思いはしたくない!」
「もう?前に他に誰か来たの?」
「い、委員長が隠れてこっそりと、、」
「ふーん、僕もバイト先知らなかったのに委員長はとっくに知ってるんだ」
「いや別に隠してたとかじゃなくてだな!?委員長は聞かれたから答えただけだ!」
「ズルいな委員長、、いいなあ、、」
「変に嫉妬すんな気持ち悪い!」
急にメンヘラ彼女になりそうな蒼空を気持ち悪がる黒崎である。
「とりあえず行かねえと!じゃあな!あと絶対来んなよ!」
「わかってるよー」
そう言い残した黒崎は全力疾走で走っていき、蒼空と別れることとなった。
「龍ちゃんはフリが上手いなあ」
蒼空は黒崎と別れたあと、先程言われたことを聞く訳もなく、黒崎のバイト先に来ていた。
「並んでるなあ、やっぱ人気なんだ」
噂には聞いていたが、やはりこのカフェは人気店である。平日の17時にも関わらず、数人が並んでいる程だ。
「まあ気楽に待ちますかっと」
そう思い列に並ぶと、前に見覚えのある姿をした人が並んでいた。
「ん、、、?委員長、、、?」
後ろ姿なのでイマイチ良く見えずらいが、この風貌は明らかに霧島である。
「あのー、もしかして委員長?」
「!?!?」
霧島(?)は振り返ると同時にとてつもなくびっくりした表情を見せた。
「ひ、人違いです、、!
「いやどう見ても委員長でしょ、てか何その格好、、」
霧島は髪型を変えサングラスとマスクをして変装してきているため、蒼空に少し引かれていた。
「な、なんでわかるのよ、結構重装備のはずなのだけれど、、」
「いやなんか風格でわかる」
「どういうこと!?対策のしようがないじゃない!」
蒼空から告げられた言葉にショックを受け、落胆する霧島であった。




