夏休み明け
「玲奈っち〜、、もう夏休みも終わっちゃうよ〜、、」
8月ももう下旬になり、夏休みも残り数日となった。
「いいじゃない、休んでばっかでもつまらないわよ」
「やだ〜!私はずっと休みたい!」
「人の家で暴れないで貰えるかしら」
星宮は霧島の家で夏休みの課題の仕上げをしていた。
「そういえば夏祭りで無事に龍っちと付き合えたの?」
「ゲホッ!ゲホッ!な、なんでそうなるのよ!」
霧島は思わず飲んでいたお茶をふきだしこうにかった。
「夏祭りで2人きり、、、何も無いわけない!」
「ないわよ!!」
霧島は立ち上がって否定した。
「ふ〜ん?ほんとに何もないんだ」
「黒崎くんとはそういう関係なんかじゃないわよ」
「あ、そういえば面白いもの持ってるよ?」
そう言って霧島はスマホを触りだした。
「何よ急に、勉強に集中を、、」
「見てこれ!お姫様抱っこされてる玲奈っち!」
「!?!?!?!?」
星宮が霧島に写真を見せると、霧島はパニックになった。
「ラブラブでいいね〜羨ましい〜」
「あ、、!その、、!あ、、!」
驚きと恥ずかしさで霧島は全く言葉が出てこなかった。
「ところでなんでこれお姫様抱っこされてたの?付き合ってるから?」
「ち、違うわよ、、!下駄で靴擦れ起こしたから、、!私は大丈夫って言ったのよ!?なのにあいつがいきなりやりはじめたのよ!」
霧島は必死の抵抗の言葉を並べた。
「でも玲奈っち満更でもなさそ〜」
「恥ずかしいだけよ!あんなの誰でもこんな顔になるわよ!!」
「ほんとかなあ〜」
星宮はイタズラっ子のような不敵な笑みを霧島に向けた。
「そういえば私もひとつ気になることがあるのだけれど」
「?」
霧島もどうやら気になることがあるようだ。
「毎回あなたたち私たちを2人きりにするわよね?」
「うんうん」
「じゃあそちらも2人きりになってるはずなのだけれど、そちらは何もないのかしら??」
「え?」
これが霧島の反撃である。4人で行動している時に黒崎と霧島が2人きりになるということは、必然的に蒼空と星宮も2人きりになっているはずだということだ。
「もしかしてそっちはもういい感じだったりするのかしら?」
「あ〜、、、考えたことなかったかも!」
「あ、、、そ、そうなのね、、」
相手は純粋無垢な星宮である。その曇りない笑顔から出される発言は絶対に嘘ではなかった。
(それはそれでなんか向こうが可哀想ね、、)
知らないところで勝手に脈ナシ判定されている蒼空にほんのちょっとだけ同情した。
「でも蒼空っちは可愛い系だよね!意外と好きな女の子いるんじゃない?」
「あれ?でも姫華って可愛い系好きじゃなかった?」
「まあアイドルと現実は違うからね〜」
実は星宮はアイドル好きなのだが、星宮が推している人は総じて可愛い系男子って感じの人が多いのだ。
「玲奈っちは背の高い怖めのカッコイイ系の人だもんね〜」
「それは誰か特定の人を指してるのかしら??」
「さあ〜?」
星宮は知らんぷりをした。
「はあ、、、まあ黒崎くんの顔が好みなのは認めるわ、ただそれが好きに直結するようなものにはならないわよ」
「そうかあ」
霧島は黒崎への好意を真っ向から否定した。
「でも、万一向こうはその気だったらどうするの?」
「え?」
星宮はそう問いただした。
「それはないんじゃないかしら?いつもいじってくるし、、私に優しさをあんまり感じないわよ?」
「結構わかりやすいと思うけどなあ、、」
「ん?何か言ったかしら?」
「いや〜なんでもな〜い」
「そんなことより勉強しないと、課題終わんないわよ?」
「うげぇ〜、、、、」
結局今日は1日中勉強三昧で、しなしなになった星宮であった。
「あー、授業めんどくせぇー、、、寝よ」
「寝ちゃダメよ!」
夏休み明け初日の授業、黒崎のやる気などある訳もなかった。
「今日はバイトもあるし、、今のうちに寝てパワー蓄えねえと」
「背中殴ったらパワー出るかしら?」
「やめてください」
背後から殺気を感じた黒崎は、姿勢よく椅子に座り始めた。
「そういえばどこでバイトしてるの?あんまり聞いた事なかったわね」
黒崎が高校入った頃からバイトしているということは聞いたことがあるが、細かい話は聞いたことがない。
「あーいや、、まあ普通にバイトしてるぞ、?」
「、、、?それは分かったのだけれどどこでバイトしてるのかしら?コンビニとか?」
「いやー、、まあ、、そんなところかな、、?」
「、、、、??」
(よ、様子がおかしいわ!)
普段強気な黒崎が珍しく明らかに動揺していた。特に別に無理に知りたいわけではないのだが、いかんせんそんな反応されると知りたくなってしまう霧島である。
「ふーん?じゃあ今度バイト先に顔を出してみようかしら」
「な、、!?やめろよ、、!ほら、、お店にも迷惑だし、、!」
「そりゃあちゃんとお客さんとして行くわよ」
もちろん冷やかしとかそういうものでは一切ない。ちゃんとお客としての勤めも果たしながらついでにどこでバイトしてるかを確認するだけだ。
「そんなに私に言いたくないのなら別に言わなくてもいいのだけど」
「いやその、、!言いたくないとかじゃなくて、、、笑わねえか、、?」
「別に笑ったりはしないわよ」
黒崎は覚悟を決めて、バイト先のことを話すことにした。
「実は俺、、カフェでバイトしてるんだ」
「ふーんそうなのね、、、え!?!?」
霧島は過去一大きな声を出した。
「そ、その風貌で、、、カフェ、、、?」
「おい確かに自覚はあるがちょっと失礼だろ」
黒崎は予想通りの反応が返ってきたなと思った。
「どこのカフェなのかしら?」
「駅前のとこにあるカフェだ」
「結構人気のカフェじゃない、私も何回も行ったことあるけど見かけたことないわよ?」
「そりゃあ変装してるからな」
「カフェで、、変装、、?」
聞いた事のないワードに霧島は困惑している。
「それに俺接客もするけど基本的には厨房だし」
「厨房!?お料理作ってるってこと!?」
「まあある程度はな」
「す、すごいわね、、」
霧島は驚きの連発で圧倒されていた。
「ところで、なんで変装してるの?」
「あー、、店長に金髪はダメって言われてるから普段は黒のウィッグ被りながら仕事してるんだ」
「カフェで、、!黒髪の黒崎くん、、!」
「な、なんだ急にキモイぞ」
黒髪好きの霧島は、何か美味しいものを見つけたかのように目をキラキラさせて黒崎の方を見ていた。
「それで次のバイトはいつかしら?シフト表をくれたっていいわよ?」
「うん、まじで絶対来んなよ?」
黒崎はとてつもなく嫌そうな顔で霧島の顔を睨んた。
「しょうがないわね、、じゃあバレないようにこっそり行くわね」
「そういうことじゃねえんだよ!」
理解してそうで全然理解していなかった霧島に呆れる黒崎であった。
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