花火と2つの美しさ
「向こうの2人はちゃんと仲良くやってるかな」
「大丈夫だよ!玲奈っちがヘマしなければ!」
「それが1番心配なんだけど、、」
霧島と黒崎を無理やり2人にした星宮と蒼空は、2人で椅子に座りながら食べ物を頬張っていた。
「なんで星宮さんはあの2人をそんなにくっつけたがるの?」
蒼空は疑問に思っていた。確かに霧島と黒崎には仲良くしてて欲しいが、別にくっつけたいとは思わない。
「う〜ん、、推しカプだからくっつけたいみたいな?」
「別にカップルではないけどね、、」
あまりに内容の薄い返答が返ってきたので何も言えない蒼空である。
「玲奈っちは恋愛とかよく分からないって言ってるんだけどさあ、、、いやそんなわけなくない!?」
「なに急にびっくりした!」
星宮は突如として蒼空の肩を掴んで凄い剣幕で迫ってきた。
「顔も好みらしいし、性格も男らしくていいし、玲奈っち身長が高い人が好きって言ってたし、、じゃあもう好きじゃん!!」
「凄い理論、、」
結構な自論を繰り広げる星宮に若干ビビる蒼空である。
「待ってもうすぐ花火始まっちゃう!!」
「僕らもそろそろ会場に行こうか」
「うん!」
そうして2人も花火の会場へと向かうこととした。
「そういえばこの後花火があんのか?」
「そうね」
黒崎と霧島はある程度屋台を回り終わり、少し休憩していた。
「私達もそろそろ会場に向かうわよ」
「うえー歩くのめんどくせー」
そう言いながら黒崎は立ち上がった。
「ったく、、花火って何がそんなにいいんだ?」
「心の汚い人には花火の良さは分からないようね」
「今日は罵倒が凄いっすね」
とはいえ確かに花火の良さはよく分からない黒崎である。というかあまり見たことすらないのでちょっとだけ興味はあるのだ。
「そんな綺麗なものなのか?花火って」
「当たり前よ!見たら心が浄化されるわよ?」
「その割には委員長はあんまり、、」
「何か言ったかしら?」
「ナンデモナイデス」
とても殺気を感じた黒崎である。
「痛っ、、!」
「どうした?」
「靴擦れかしら、、」
どうやら慣れない下駄を履いているせいか靴擦れを起こしたらしい。
「大丈夫?歩けるか?」
「だ、大丈夫、、」
そう言う霧島だが、明らかに足を引きずっており十分に歩ける状態ではなかった。
「ったくお前はいつも強がってばっかだな、少しは素直になれよ」
「ちょ、ちょっと、、!!」
黒崎はそう言って霧島を抱っこし始めた。
「なんだよ、前もやったんだからそろそろ慣れろよ」
「前は背中におぶってただけだからまだいいのよ!公共の場でお姫様抱っこはさすがに恥ずかしいわよ!」
「いやだってこれが1番持ちやすいし」
「そういう問題じゃ、、!」
「花火見てえんだろ?ゆっくり歩いたら間に合わねえだろ」
「それはそうだけど、、!」
花火の見たさとお姫様抱っこされる恥ずかしさが混同してパニックになる霧島である。
「あ!玲奈っちたちあっちにいるよ!」
遠くの方から歩いてきた蒼空たちは黒崎たちを発見していた。
「なんで委員長はお姫様抱っこされてるんだ??」
「ほんとだ!!玲奈っち顔真っ赤だ!!写真撮っとこ!!」
貴重な瞬間を逃すまいと星宮は連射で黒崎たちを撮った。
「う〜〜ん」
星宮は蒼空のことをじっと見つめた。
「ど、どうしたの?星宮さん」
「蒼空っちって持ちやすそうだよね」
「それギリ悪口じゃない!?」
身長がコンプレックスな蒼空にとって結構刺さる言葉である。
「うちらも抱っこしながら行く?」
「なんで!?絶対嫌だよ!?」
「ダメか〜」
こっちはこっちで星宮に振り回されている蒼空であった。
「ここら辺でいいな」
「もうほんとに周りの人みんな見てたわよ!?恥ずかしいったらありゃしないわよ!」
着いた途端恥ずかしさで怒る霧島である。
「しょうがねえだろ歩けないんだから」
「もっとこう、、別の方法が、、」
「まあまあ花火でも見て落ち着こうぜ」
「もう、、、まあいいわ、花火に集中しましょ」
そうこうしているうちに花火が始まってしまうので、霧島は仕方なく気持ちを切り替えた。
「お!始まった!」
「凄い、、!綺麗ね、、!」
高々と打ち上がった花火はとても大きく色々な色を彩っており、思わず目を奪われてしまう程だった。
「お前がそんなに言うからどんなもんかと思ったが、結構良いもんだな」
そう言って横を見ると霧島はその声が聞こえないほどに花火に夢中だった。その姿は花火の光に照らされ、花火と遜色ないものだった。
「綺麗だな」
「そうね、って、、こっち向いてないで花火見なさいよ」
「ん」
黒崎は2つの意味も込めて言葉を放ったのだが、もちろん霧島は気づいていない。そうして最後の花火が打ち終わり、無事花火大会は終了した。
「いや〜綺麗だったね!」
「ああそうだな」
この後星宮たちと黒崎たちは待ち合わせて合流していた。
「それにしてもあんたたちはどこ行ってたのよ」
「僕たちも普通に花火見てたよ」
「それならその時点で合流すればよかっただろ」
「それじゃあ面白くないじゃん!」
「何がだよ」
「なんでもな〜い」
そうしてなんだかんだで夏祭りは終わった。
「結局帰りも担いでかないといけねえのかよ!」
「慣れたら結構楽だからいいわね」
終わったのもつかの間、帰りは足を怪我した霧島を家まで送り届けることとなった。
「まじで頼むから寝るなよ?」
「どうして?いいじゃない別に」
「自覚症状ねえのかよ、、」
確かに前回も家の中に入るまでほぼ寝ている状態だったので、どうやら覚えていないらしい。
「まあなんでもいいからとにかく寝るなよ?」
「すーっ、、、すーっ、、、」
「いや寝てんじゃねえか!」
結局前と同じように熟睡している霧島を介抱しなければならなくなった黒崎であった。




