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 1学期とは違う学園生活にも少し慣れてきたころ、恒例のあのイベントがやってきた。そう、今日はレイナルド殿下とのお茶会だ。ボルドーの首元の詰まったワンピースに着替える。首元は長く詰まっているが、袖は七分袖で裾はフレアスカートになっている。裾にはおなじみの金の刺繍が入っている。首元と袖口には三つずつ飾りボタンがついていて、その飾りボタンはサファイアガラスでできている。髪はハーフアップにして、アクセサリーは前回いただいたものを身に着ける。

 レイナルド殿下から贈られるものはいつもすごく趣味が良くて、身に着けるのもちょっと楽しい。レイナルド殿下とのお茶会で身に付けた後は普段使いにさせてもらっている。レイナルド殿下からの許可も得ている。今回のワンピースもとてもかわいいので、またお気に入りが増えると思うと嬉しい。レイナルド殿下のおかげでめっきりワンピースを新調する機会が減り、お母様とお兄様は残念がっているが仕方ない。学園へは制服で行くし、外出することもそんなに多くない。レイナルド殿下から毎月一着はワンピースを贈られるので、数は十分にあるのだ。たくさん新調しても着きれないので、私はこれで満足している。



 レイナルド殿下が到着して、サロンでお茶会が始まる。レイナルド殿下とこうして2人でお茶会をするようになってどのくらい経つだろうか。レイナルド殿下の整った顔が目の前にあることにもすっかり慣れた。学園でも定期的に一緒に昼食をとっているが、学園では2人きりではないのでこのお茶会の2人きりの空間というのはやっぱり特別だ。レイナルド殿下の顔をじっくり眺める余裕が出てきている。

 金色の髪は窓から入ってきた光を浴びてきらきらと輝いているし、紅茶に視線を移して伏し目がちになっているので長い睫毛が際立っている。睫毛の隙間から覗く夜空を映したようなサファイアの瞳は相変わらず宝石のように美しい。すっと伸びた鼻筋も彫刻のように整っているし、少し開いた口元は綺麗な曲線を描いている。レイナルド殿下は本当に美しいという言葉がしっくりくる。紅茶の入ったカップをつかむ指先は長くすらっと伸びているし、テーブルの端から覗く脚も長く伸びている。同じ学年の他の子息達より少し背が高いし、手足も長くバランスが取れた肢体をしている。

 私がついついレイナルド殿下に見とれてしまっている間にも、レイナルド殿下は気にすることもなく優雅に紅茶を飲んでいる。そんな姿も美しい。最近ではレイナルド殿下の姿をじっくり見ることもなかったので、気づけばじろじろ見てしまっていた。ふっと私を見てレイナルド殿下が微笑む。卒倒しそうなほど美しく整った笑顔だった。


「そんなに見つめられると穴が開いてしまいそうだね。

 でも君に見つめられているんだと考えると、胸が高鳴るよ。もっと私のことだけを見つめてほしいくらいだ。最近はあまり私の方を見てくれなくなっていたから淋しかったよ。」


 レイナルド殿下の言葉に顔から火が出そうになった。


「申し訳ありません。つい見とれてしまって。」


「見とれてしまって?」


「レイナルド殿下はとても美しいので。」


「私は君の好みの男になれているかな?だとしたらとても嬉しいのだけれど。」


「レイナルド殿下はとても素敵です。」


「ありがとう。

 君とこんなに穏やかな時間を過ごすのは、とても久しぶりな気がするよ。

 最近の私は嫉妬にとらわれてしまっていたからね。今も思うところがないわけではないのだけれど、ルーチェリア嬢と過ごす穏やかな時間に勝るものではないな。」


 レイナルド殿下の言う嫉妬という言葉にドキッと胸が高鳴った。もしそれが社交辞令ではなく自分に対して抱いてくれている思いだとしたら、たまらなく嬉しいと思う自分がいる。


「嫉妬・・・ですか。」


「うん、そう。嫉妬。

 最近のルーチェリア嬢はいつもアドレアンと仲がよさそうだな、とか。ことあるごとに思ってしまったりするんだよね。」


「そんな、いつも通りです。」


「そうかな。ダメだな。私はついルーチェリア嬢のことになると余裕がなくなってしまう。君の様子に一喜一憂してしまうんだ。

 ダンスの授業でせっかく一緒になれたのに、君をアドレアンにとられてしまって踊ることができないからかどうしても嫉妬してしまうんだ。」


「アドレアン様には、アドレアン様の素行があまりよろしくないせいでペアを組むことになっているんだろうと言われましたわ。」


「そうかもしれないね。アドレアンは優秀な分不真面目なところがあるから。僕がダンスの講師でも君にパートナーを頼んでいると思うよ。アドレアンに妬けてしまうけれどね。」


「私も・・・。」


「?」


「私も、レイナルド殿下といつも一緒に踊っているクレアがうらやましくなることがあります。」


「そう?君も私と同じ気持ちだと思ってもいいのかな。」


 私は真っ赤になってうつむきながらも、小さく頷いた。





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