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第83話 向けられる殺意

いつも読んでいただきありがとうございます!

 ゴルドは苛立ちながら学校から屋敷への道を一人歩く

 いつもは送り迎えがあるが今日は学校を飛び出してきたので一人だ


 最近、いつもついてきたニドルとウルバンの二人が距離を置くようになった


 原因はわかっている。母親のリリアが軟禁されていることを二人の両親が知りゴルドとの距離を取らせたのだ


 いかにアボルグの領主に仕えようと宰相の娘が軟禁されるにはよほどの事情があると見ての判断だ。そのくらいゴルドにも分かる


「っち、面白くねえな!」


 思わず足元に転がっている石を蹴っ飛ばしたときだった。中層区の路地にすっと入る人影を見つけた


「あいつは・・・」


 母リリアと面会していた男だ

 思わずゴルドは後を追いかけた。路地裏に入り入り組んだ道を男の背中を追ってついていく

 やがて行き止まりに行きついた


「どこに行きやがった」


「俺に何か用か」


 背後から聞こえる声にゴルドは振り向き様にこぶしを振るうがゴルドのこぶしは簡単に男の掌に受け止められてしまう


「いきなりご挨拶だな」


「てめえのせいで母上は!」


「それは貴様に関係のない話だろう」


 左目に赤い義眼をはめた男は冷めた表情でゴルドを見下ろすとゴルドを蹴り飛ばした


「ぐあ!」


 壁にたたきつけられその場にうずくまりあまりの苦しさに腹の中から吐き気がこみ上げる


「ふん。貴族の息子といえ所詮人間。力なき貴様などそこらのゴミと一緒だ」


 その場で膝を付き吐いて苦しむゴルドに男は表情を変えずに近づいていく


「く、来るな!」


「勝手なことだな。俺の後をついてきたのは自分だろう」


 男は手から隠しナイフを取り出した


「お、おれをどうする気だ」


「今、この町には守ってくれるお前の父親はいない。お前が死ねばお前の母親は発狂しお前の父親をきっと責めるだろう。そしてお前の祖父はお前の父親は処罰するように動きこのアボルグは混乱に陥るだろう。最終的にあの男を消すように動けばいいんだがな」


「き、気が狂ってやがる」


「ふん。我らの崇高な目的など貴様にはわかるまい。まあ死ね」


 ゴルドの前に男が立つ。さすがにもうだめかとゴルドも目をつむったその時だった


「むっ!」


 男が振り返り何かを切り裂いた

 切り裂かれたカバンから本やメモ帳の類があたり一面に散らばる


「大丈夫か!」


 そこには木剣を片手に持った緑の髪の少年が立っていた


「お前、なんで・・・」


「どうにも最近お前の様子がおかしかったから気になってたんだ」


 ゴルドの問いに緑の少年は答える


「てめぇごときが俺を心配するだと・・・」


 折れた心に火がつく


「ふむ。ウェイン卿の息子か」


 男は緑の髪の少年ビットを見る


「お前!ゴルドをどうするつもりだった」


「ふむ。ここでお前も殺せば奴に一矢報うことができるな」


 そう言うと男は凄まじい勢いでビットに襲い掛かる


「常在戦場・・・」


 ビットは本物の殺気をあてられ一瞬ひるむがいつも師匠が言っている言葉を反芻し心を静める。お手本のようにきれいな動きでナイフを木剣ではじく。膂力の違いの加減で男の力に飛ばされるがその体勢崩れていない


「10歳だと聞いていたがなんだこの違和感は・・・」


 男は使い慣れたナイフを見る。今ので木剣を切り飛ばすはずだった。なのに木剣は切れず吹き飛ばすだけに終わった


 その瞬間、男の背筋に寒気が走る


「どこだ!」


「何をよそ見してやがる!」


 ゴルドが飛び込み男にタックルを背後から決める


「くっ!」


 ゴルドが作った隙を見逃さずビットは上段からの斬撃を男の頭に振り下ろすが男はゴルドに膝蹴りをくらわし拘束を解き距離をとって斬撃を躱す


「何者だ・・・」


 ビットは斬撃がよけられるとすぐに上段に構え息を吸うと自分を信じて渾身の一撃を振り下ろす


「このくらい・・・」


 男がナイフで受け止めようとした瞬間、長年の経験がここであだとなった


 自分の背後に何者かが立つ気配がし僅かでも意識をそちらに向けてしまいビットの一撃に反応しきれずに頭に響く痛みと共に意識を失った


「か、勝ったのか?」


 ビットは目の前に倒れる男を倒した実感が無かった

 自分を殺そうと向けられた殺気とナイフを思い出しあらためて体が震えだすとぺたりとその場に座り込んだ


「や、やったか?」


 そこに膝蹴りをくらいうずくまっていたゴルドが這いずりながら近寄ってくる


「あ、ああ・・・」


「っち。一番助けられたくない奴に助けられちまったな」


「ふん。俺だってお前なんか助けたくなかったよ」


「そこだけは気が合うな」


 自然と笑みがこぼれるゴルドとビット


「とりあえず、こいつをたおしたことだけは認めてやるよ」


「はっ、そこで吐いてたやつが何を言ってるんだか」


「うるせえよ」


 二人の笑い声が路地裏に響いた。その後、騒ぎを聞きつけた警備兵によって男は捕まり二人はしこたま怒られるのであった


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