第78話 ウェインとレギウス
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領主の館の豪華な執務室でウェインとレギウスはテーブルの上に置かれた一本の剣を見つめていた
「これを清十郎が?」
「うん」
「確かにこれほどの一品なら王に贈るには十分過ぎるが・・・」
そう言うレギウスの顔は眉間に皺がより難しい顔をしている
「言いたいことはわかるよ。これほどの物になると清十郎が直接出向かないとまずいよね」
同じくいつもより目を細めて困り顔のウェイン
レギウスは箱にタランティーネの糸で織られた丈夫な布が敷かれそこに包まれていた剣を手に取る。質実剛健が似合うような無骨な片手剣だがしっかりと使い手のことを考えて作られている
ことがよくわかる一品だ。光に照らされ鋼の美しい白刃が輝き刃の真ん中に走る二本の溝が美しく感じる。柄の部分は彫金が施されガードの真ん中には王家の紋章が彫り込まれている
「握っただけで斬りたくなるぞ・・・」
レギウスのぽつりとこぼす言葉にウェインは苦笑いだ
「わかる気がする。持ってなくても見てるだけで魅入っちゃうよね」
「ああ。これはやばいな」
レギウスはひとしきり剣を眺めると剣を置き丁寧に布にくるむと箱に蓋をする
「さて、ウェインどうする?」
「うーん。とりあえず僕らでこれを持って行ってみてそれから考えようか」
「そうだな」
「ところでレギウス。リリア殿はあれからどうしたの?」
ウェインの問いにレギウスは眉間の皺が深くなる
「とりあえず監視をつけて部屋に閉じ込めた」
「はぁ。それしかないよね。しかしリリア殿にも接触するとは奴らにも困ったものだね」
「いや、あれはあいつにも問題がある」
「これで一応宰相殿への手札を手に入れたけど奥方がかわいそうでないかい?」
レギウスは腕を組み唸るように言葉を発する
「・・・だが何も処分がないのも問題だろう」
「たしかにそうだね。ゴルド君の件もあるしその件は慎重に扱わないとね。しかしリリア殿は元々、聡明な方だけど子息が絡むと周りが見えなくなるようだし、これは君に問題があるんじゃないのか?」
「たしかにそれを突かれると耳が痛いな。だがあいつは元々俺との結婚に乗り気でなかったんだ。仕方があるまい」
「そうかい?奥方は君のことを好いていたように見えたけど」
「それはあるまい。俺は元々、戦場で身を立てた成り上がりだ。降嫁させられたことでいろいろ思うところもあるだろう」
「うーん・・・。もう少しリリア殿に愛情を注いであげなよ」
「・・・努力はする」
レギウスはその言葉を最後に目をつぶる
「まあ、それはそれとして清十郎から預かってきたものがもう一つあるんだ」
ウェインが話を変えるとレギウスは目を開く
「これは君も喜ぶと思うよ。ロムア例のもの持ってきて」
「はっ」
ウェインはロムアに命じて一本の大剣を持ってこさせた
「これは?」
2mほど縦長がある幅の広い剣だ。レギウスが握るとまるで長年使い続けたようにしっくりとくる。持ち上げてみると大剣と思えないほどに軽い。レギウスの為に拵えたとしか思えないものだ
「清十郎からのプレゼントだって。なんでも君の大剣は戦場に向くけど普段使いには向かないから一本もっとけって言ってたよ」
「ふむ。あいつもそんな気遣いができるんだな」
「それを君がいう?」
「違いない」
ウェインとレギウスはお互いにひとしきり笑い合う
「俺に贈ったと言うことはお前にもあるんじゃないのか?」
「うん。僕にも片手剣をくれたかな」
「そうか・・・。ウェイン、剣は握れるようになったのか?」
レギウスは神妙な様子でウェインに尋ねる
「・・・まだちょっと怖いかな。でも不思議なんだ」
ウェインが難しい顔をする
「清十郎からもらった剣を見ていると不思議と心が落ち着いて握れたんだ」
「なに?」
「うん。剣を握れたんだよ。で、握ってみると剣がまるで僕に語りかけてくるんだ。大丈夫って」
レギウスは一瞬何をいっているんだという顔をしたがウェインの顔は至って真面目だ
「清十郎の作る剣は一体なんなんだ?」
「なんだろうね」
レギウスとウェインはお互いに苦笑いを浮かべる
「まあ、剣を振れるまでには時間がかかりそうなんだけどなんとかなりそうだよ」
「うむ。お前ほどの腕の持ち主が剣を使えないなど笑い話でしかないからな」
「そこまでではないけどね」
「また、昔みたいに手合わせできるといいな」
「ああ。そうだね」
レギウスとウェインはその後、昔話に花を咲かせるのだった
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