第60話 ロビンとリノン
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会議室には既に人が集まりそれぞれの集団に分かれて話をしていたが清十郎とアルムが入って
くると視線が2人に集まる。主に清十郎に視線が詰まっており大概は畏怖の視線だ。一部は興味といったところだろうか
(相変わらずじゃな)
清十郎が嘆息すると一人のまだ少年とも思える男が声をかけてきた
橙色の髪にすっと一本伸びた短い眉、吊り上がり気味の目に力強さの宿る瞳が生意気そうにも見える
「お前が清十郎か?」
「ふむ。儂が清十郎だがそなたは?」
「俺はロビン!龍の炎を率いる男だ!」
胸を張りドヤ顔をするロビンの顔を見ながら男ならこれくらいでないとなと清十郎は思う
「ロビン、やめなよ!その人この間、問題を起こした人だよ」
その後ろから茶色の髪をお下げにして両肩の前に垂らした白いローブを纏った少女がおどおどとした感じでロビンに声をかける。よほど怖いのかロビンの後ろに隠れ体の目の前で杖を両手で握っている
(まあ、この娘の態度が普通だわな)
清十郎が冷静に考えていると2人の後ろから声がかかる
「おいおい。竜の炎って言ってもお前ら二人じゃねーか」
「ちがいねぇ」
その声を切っ掛けに周りから笑い声が響く
「う、うるせい!今にAランクに俺らはなるんだ!」
「はっ!さっきまで俺ら二人だからメンバーに入れてくれって頼みこんでたやつらがよく言うぜ」
「まちがいねえな」
「ぎゃははは」
会場中に笑い声が響く中ロビンは拳を握り今にもとびかからんとする勢いで睨み少女は会場の雰囲気が怖いのかロビンの後ろに隠れるようにしている。清十郎は軽く頷くとアルムに視線を向ける
アルムはきょとんとした顔をしたが清十郎の意図が分かったのか笑顔で頷いた
「ふむ。そなたら人数がたらんのか」
清十郎が言葉を発すると会場が静かになる。その声でロビンが顔をあげる
「そ、そうだ。だから、お前を俺たちのパーティーに入れてやろうって言ってるんだ」
「ロ、ロビン」
少女がロビンの後ろで服を引っ張るがロビンはお構いなしだ
「ふーむ。なら、そなたらのパーティーで世話になろうかの。アルム殿もそれでいいか?」
「私はいいよー」
会場中からまじかよとかあいつらわかってるのかとか様々な声が小さく囁かれる
「ま、儂もこの間、問題を起こしたばかりだからな。嫌なら別に構わんが・・・」
「いや、いいぜ!清十郎、俺らと組もう」
ロビンは先ほどの悔しさは一転、不敵な笑顔で清十郎に手を差し出すと清十郎はニヤリと笑いその手を握った。ロビンの後ろでは少女が泡を喰ったような顔をしアルムはその様子を笑顔で見守っていた
ちょうどその時、会場にターニャが資料を胸に抱えて入ってくると一番前の一段高くなった場所に立ち手前の机に資料を置く
「さて、全員そろっていますね。みなさん席についてください」
ターニャが人数を数え終わると席につくように促し全員が着席する
「知っている方もおられますが改めまして、アボルグの副ギルド長をしておりますターニャです。みなさんよろしくお願いしますね」
初めて聞くターニャの役職に驚く清十郎にアルムが横で笑う
「清十郎君は知らなかったみたいだね」
小声でささやいてくるアルムに清十郎は軽くうなずく
「さて、ではこれよりDランクの試験内容について説明いたしますがその前にこの資料を配ります。一枚取ったら次の方に回していってください」
ターニャは手元の資料を前列にいる人間にまとめて渡していく
やがて清十郎にも一枚の紙が回ってくる
そこにはゴブリンの集落の壊滅・掃討と書かれ下に地図が載っていた
「試験内容はそこにも書かれていますがゴブリンが小規模の集落を作っていることが分かりました。そこで皆さんの手によってこの集落を壊滅させてほしいのです
知っている方もいると思いますがゴブリン、オークは集落を形成すると近場の村から異種族の女性をさらい自らの種族を増やす為に苗床にします
ですので集落を形成する前につぶさなくてはなりません」
そこで一旦ターニャは言葉を切ると会場を見渡し質問が飛んでこないかを確認する
質問がなさそうだったので説明を続ける
「場所はここアボルグの街より南西に約3日の距離の位置です
アボルグの街とホーブスの街を繋がっている街道から少し外れた森の奥に集落を形成しています。被害が出ると流通に影響がでますから早急に壊滅させてください。何か質問はありますか?」
そこで先ほどロビンにからんだ一人の男が手をあげる
「おい。これは早い者勝ちか?それとも集団でやるものか?どっちだ?」
「どちらでも構いません。その過程を私たちは見ています。共闘するもよし単独でするもよしです。正しく情報を集め手に負えなければどうするのか逆に勝てるならどうするかすべてが試験ですよ」
ターニャは男の質問に答える。それを皮切りに質問が入るがひとしきり答え質問がなくなったのを見計らってターニャは最後に言い切る
「なお、試験官はいますが全てが助けられるわけではありません。命の危険は十分に付きまといますので決して無理はしないでください。なお、不測の事態が起きた場合、報告することを第一にしてください。以上です。では皆様の検討を祈っております」
ターニャはそれを言うと会場を出ていった。それと共に試験開始なのだろう。続々と会場の人間が外へ出ていく
清十郎とアルムの前にロビンと少女が近寄ってくる
「よし、なら俺らも行くか」
「あ、ちょっとまって。その前に役割を決めないとあと自己紹介もまだだよ」
ロビンが早速行こうとしたところをアルムが止める
「あ、ああ。そうだな。俺はさっきも自己紹介したがロビンだ。剣士のスキルを持っていて剣術はそこそこできるぜ。一応、前衛を担うつもりだ」
ロビンの後ろからお下げの少女が顔をだしながら自己紹介を始める
「わ、わたしはリノンです。魔法師のスキルを持っていて火と風が得意です。一応、水も使えますが期待はしないでください。あとは生活魔法全般は使えますので旅では役に立てると思います・・・」
最後は尻すぼみに言葉が小さくなる
「昔からこいつは人見知りが激しくてな。清十郎もそっちのも悪いな」
「うん。気にしないよ。ちなみに僕はそっちじゃなくてアルムっていう名前があるんだ。盗賊のスキルを持っているから主に斥候が役割になるかな。よろしくね」
清十郎は盗賊と聞いても驚かない。これは前に教えてもらった一般教養の中で盗賊はスキルであると知ったからだ。襲ってくる輩は主に野盗というらしい
「最後に儂だな。まあスキルは今のところ不明じゃ。ただ剣術に関してはそこそこ自信はあるぞ。このパーティーでは儂はロビン殿の補助に入るように動くことにしよう」
清十郎のスキルが不明と聞いてロビンとリノンの2人が驚く
「はぁ?スキルが不明なのにこの間、素手で人をぶっ飛ばして粉々にしたって聞いたぞ?」
「粉々に?」
清十郎が首を傾げるとアルムが笑っている
「あはは。話に尾ひれがついたね。こういう話は盛りに盛るからね。僕が聞いた話だと粉々にした後、拳についた血をなめて、女の血が欲しいって叫んでたって話になってたよ」
アルムの予想外の話に清十郎は言葉を失う。その話を聞いたリノンがロビンの後ろに隠れて清十郎を見ようともしない
笑うアルムがどんまいと肩を叩くと清十郎はがっくりとうなだれた
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