第59話 試験前の一幕
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清十郎が冒険者ギルドに入るとロビーの方からアルムが手を振っていた
「清十郎くーん!こっちこっち」
清十郎がそちらに向かうと精霊の宴の面々が座っていた
どうやら清十郎とアルムの激励に集まってくれたらしい
「おう!清十郎、その姿、似合ってるぞ」
さっそくとばかりにアンガスが清十郎に声をかける
今の清十郎の出で立ちはマリーの店で買った服や皮鎧など一式を身に纏い腰には特製の皮ベルトに清丸を差し込んでいる。反対側には小物などを入れられる小さな皮のポシェット付きだ
あのあと茫然とする清十郎に顔を赤らめたマリーがおまけにと皮ベルトを調整し清丸を差し込むところを作り皮ポシェットをつけた特製の皮ベルトを作ってくれたのだ
ついでにとばかりに頬にキスまでいただいたのだが清十郎の精神は崩壊していておりその事実に
気づかぬままアンガスの笑い声しか憶えていない
「その装備どうした?」
その様子に気づいたエリザが尋ねる
「マリーの店で揃えたんだよ」
「マリーの店か。アンガスお前またあのいたずらを仕掛けたんじゃないのか?」
エリザの問いにアンガスが答えるとトリビスが苦々しい顔をしながらアンガスに問う
「お!大正解ー!もう最高だったぜ。マリーも清十郎を気に入ったらしくてな。その皮ベルトを甲斐甲斐しく特注で改造してくれたんだぜ」
「悪趣味な。清十郎殿、悪い。アンガスの悪い癖だ」
エリザが眉を寄せアンガスに不快感を示しながら清十郎に謝る。どうやらアンガスは何件もあのいたずらを仕掛けている常習犯のようだ
「しかし、マリーは何も言わなかったのか?特注のベルトまで作るとは・・・」
エリザが不思議そうな顔で聞いてくる
「ああ、嬉しそうに頬を赤らめてな。さっきも言ったろ?
特注のベルトまでサービスしてくれたんぜ。いつもなら、無表情で相手をぶん殴るんだけどな」
「ふむ・・・。」
「あいつの拳はいてーからな」
アンガスの答えにエリザは考え込みトリビスは過去に貰ったことがあるのか顔をしかめて頬をなでる
「マリーが気に入ったんなら清十郎の筋肉を気に入ったんじゃないのか!清十郎、俺の筋肉と勝負するか!」
今まで黙っていたトドルが立ち上がるとムキムキと筋肉をアピールしてくる
「「「お前はいつもそれだな!」」」
トドルは全員からの突っ込みを貰いながらそのままポーズを決め豪快に笑っている
「さて、そろそろ時間だろ?
アルムがんばってこいよ。まぁ清十郎は大丈夫だろうからアルムの面倒を頼むな」
「面倒ってなにさ!清十郎君よりも僕の方が先輩なんだかね!」
「はいはい。こういう奴だから清十郎、頼むな」
「ああ。しかとアルム殿を守って見せよう」
アンガスの言うことに口をとがらせていたアルムだが清十郎の大きな瞳で見つめられしっかりとお前を守ると言われては顔を赤らめ何も言えなくなった
「あ、こいつ赤くなったぞ!色気付やがって」
「う、うるさいな!アンガスは黙っててよ!」
清十郎は大きな瞳が特徴の鼻筋の通った整った顔立ちでこちらの世界では美男子の部類だ。それに加えマリーの店でそろえた装備をみにつけ洗練された恰好をしている
その男に見つめられて守ると言われればアルムが赤くなるのも仕方がないことだろう
「そこまでだ。はぁ、今の清十郎殿は無意識で女をその気にさせるな。清十郎殿もアルムをその気にさせないでくれ」
「い、いや。儂はそんなつもりはないんだが・・・」
「くく、無意識とは質がわるいな。清十郎もやるな」
アンガスの言葉にかみつくアルム。その横ではエリザが溜息を吐きトリビスが笑っている
トドルはポーズを次々に変え筋肉をアピールしている
「もう!アンガスなんて知らない!清十郎君いこ!」
「あ、これ、手を引っ張るでない!」
「おう!二人とも気を付けていくんだぞー!」
清十郎はアルムに手を引っ張られてアンガスの掛け声を後ろに聞きながら集合場所の会議室へ向かう
その姿はまるで同年代の女の子の尻に敷かれる男の子のようで見守っていた精霊の宴の面々がほっこりとした気持ちになったのは言うまでもない
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