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第55話 マリアンヌのお店

いつも読んでいただきありがとうございます!


予約投稿間違えたー!orz

明日の朝、投稿するものが早めに投稿してしまいました


予定通り明日の朝は6時に更新します。Oh my God!(T^T)

「食料はこれでよしっと」


 アンガスは簡素な背負い袋の中に食料店で買った干し肉などの携帯食料を詰めていく

 この背負いバッグは先ほど雑貨店で買ったものだ。中には虫よけ、薄手の毛布が大小3枚ほど入っている


「何から何まですまんな」


 清十郎は全ての用意をアンガスに任せてしまっていることに申し訳なさを感じていた


「気にすんなって。最初はみんなこうやって覚えていくのさ」


 アンガスは食料をしまい終わるとほれと背負い袋を清十郎に投げると次に行くぞと歩き出す

 清十郎は重さを増した背負い袋を肩にかけるとアンガスについて行く


「のう、アンガス、次はどこに行くんじゃ?」


「ん?そりゃ防具を見繕わなきゃならんだろ?」


 アンガスは後ろからついてくる清十郎をちらりと見ると足早に歩いていく

 中層区の路地に入り大通りから一本入ったところに左右のレンガ造りのアパルトメントに挟まれその店はあった


 木で作られた小さな一軒家だが三角屋根でおしゃれなカフェを思わせる様な外観に鎧と盾のマークの下にマリアンヌの防具店と刻まれた看板が掲げられていた


 アンガスが扉を開けて店に入っていく

 清十郎も続いて中に入ると防具店とは思えないような店内のレイアウトがなされていた


 ひとつひとつの防具が丁寧に棚に置かれマネキンも武骨なマネキンではなく男女に分けたマネキンにポーズを取らせ防具を目立たせるように飾られたり随所に工夫が凝らされていた

 服飾店と言われても納得できるような華やかさがこの店にはあった


「おーい、マリーいるか?」


 清十郎が店内を見て歩いているとアンガスの呼びかけに応じて奥から一人の人物が店先に出てくる。黒いドレスを纏った不思議な印象を受ける人物だ

 白に近い金色の髪を襟足あたりで切り揃えた頭の上にはヘッドドレスが乗っている


「どこかで聞いた声かと思ったらアンガスじゃない。まだ盾は仕上がってないわよ?」


 マリーとよばれた人物はアンガスに答える

 聞いていていつまでも聞いていたいようなきれいで澄んだ声だ


「あら?あなたは初めてかしら」


 マリーは清十郎を見つめてくる。その瞳はどこまでも青く澄んだ泉を思わせる美しさを感じさせる。見た目も整った顔に薄く化粧をのせ綺麗に紅を唇に引いた顔はどうみても美少女にしか見えない

 だが清十郎は女としての魅力を感じないことに不思議に感じた


「・・・あぁ。儂は清十郎という」


 戸惑いながら答えるとそばにアンガスがやってくる


「おう、マリーこいつの防具を見繕ってやってくれ」


「別に構わないけど」


 マリーはそういうと清十郎をじっと見つめてくる。


「あなたは邪魔な装備は必要なさそうね。皮をなめした動きを邪魔しないものがいいかしら?」


「なっ!?」


 思わず清十郎は注文しようとしていた事を大方言い当てられて驚いた


「どうだ?マリーの見立ては大したものだろ?ここの防具は全てマリーが作っているからな

 さっきお前も見ていたからわかるだろうが手抜きの品は一切ないぜ?」


「アンガス、もう一言足らないわ」


 アンガスの誉め言葉に何が足らないのかと清十郎が首を傾げる


「美しさという言葉が足らないわ」


 マリーの言葉にアンガスは苦笑いだが清十郎はその言葉にマリーを職人として見做す


「お主、根っからの職人じゃな」


「あら?あなたとは気が合いそうね」


 そこで清十郎はニヤリとわらうとマリーはクスリと笑う。作るものは違えど職人同士の心は通じるものだ


「なんか勝手に意気投合してやがるな。で、清十郎は皮で構わないのか?」


「うむ。儂も動きの邪魔にならないものが良かったからのう。それで構わん」


「ふふ。あなた面白い人ね。名乗りが遅れたわ。私の名前はマリアンヌ。でも親しい人はマリー

と呼ぶの。あなたもマリーと呼んでいいわよ」


「そうか。ならマリー殿と呼ばせてもらおうかのう」


「じゃあ、いまあなたの体形に見繕ったものを持ってくるからちょっと待っててね」


 マリーはそういうと店の奥に入っていく


「なあ。アンガス」


「ん?」


「マリー殿は不思議な御仁じゃな」


「ああ。マリーを初めて見る奴はみんなそういうな。そうだ、後で面白いことを教えてやるよ」


 アンガスはニヤリといたずらっぽく笑う


「面白いこと?」


「ああ、マリーの秘密ってやつだ」


 アンガスと話しているとマリーが両手に皮鎧や腕あて等を抱えて持ってきた


「じゃあ、清十郎さんこれを着ていってみて」


 マリーは早速とばかりに清十郎に勧めてくるので指示通りに装着していく


「ふむ。これは動きやすいな」


「うん。見立て通りよさそうね」


 清十郎は皮の鎧を身に纏い腕あてと脛あてを嵌め最低限の急所だけを守る装備にしている


「なかなか似合うじゃねーか。でもそれだけの軽装で大丈夫か?」


「これを中に着込めばいい」


 アンガスの心配にマリーはそんなもの無用とばかりに上下の一着の服を清十郎に手渡す

 一切の装飾をなくし服としては華美に欠けるが手触りがよく細かく編み込まれていることがわかる服だ


「タランティーネの糸を幾重にも結ってその上から加工を施したもの。少しくらいの刃物なら切れないし耐火性もあるからこれを中に着込めばいい。通気性もあるから遠征にいくならこれほど適したものはない」


「ふむ。ならこれもよろしく頼む」


「よし、これで全部そろったな。マリー、全部でいくらだ?」


「清十郎さんとは今後とも深い付き合いになりそうだから全部で金貨50枚でいい」


「マリー殿、手持ちがない故、証書取引でも大丈夫か?」


「大丈夫。冒険者ので良かった?」


「うむ。それで頼む」


 マリーはそういうと店のカウンターへ向かうので清十郎も後に続いたところでアンガスが清十郎の手首を持った


「む・・・何をする?」


「いいから。おいマリー!」


 アンガスの顔はニタニタと笑い清十郎の直感が嫌な予感を告げる


「なに?」


 振り向いたマリーの股間にアンガスが清十郎の右手を押し当てた。柔らかく弾力のある温かい感触が清十郎の掌に伝わり思わず揉んでしまう


「・・・・」


 本来、女性にはついていないもの。それがついていた事実に清十郎の頭は追いついていない


「・・・えっち」


 茫然と固まる清十郎にポツリと呟くマリーは顔を赤らめ恥じらいの表情を浮かべた


「わはは!触ったうえにこいつ揉みやがった!」


 その横ではイタズラ大成功とアンガスがげらげらと笑う


「・・・マリー殿は男じゃったか」


 その言葉を最後に清十郎はその場に崩れ落ちた

 精神的ダメージは推して図るべし


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