第54話 Dランク試験について
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翌朝、バングリーは何事もなかったように起きてくるとアンナの作る量の多い料理をぺろりと平らげていた。清十郎も腹いっぱいに食べさせてもらいアンナに礼を言ってバングリーについて冒険者ギルドのギルド長室へ向かっているところだ
なんでも少し話があるいという
朝、一番ということもあって冒険者ギルドのロビーは混雑していたが清十郎が入るとロビーが静かになり視線が集まる
(やはりやりすぎたか)
と思っていると一人の男が話しかけてきた
「よう!清十郎、昨日はやらかしたらしいな」
アンガスだ。その後ろを見ると精霊の宴の面々がこちらを向き手を振っていたので苦笑いしながら手を振り返してやる
「うむ。昨日はしっかりとバングリーに叱られたわい。あんな痛い拳骨は久々じゃったな」
「うげ!あれを食らったのか。お前なら避けれるだろうに」
「反省の意味も込めて甘んじて受けたわ」
「そうだ!お前も清十郎のように反省の心を持て馬鹿者が!」
そんなやり取りをしているうちに徐々に視線が薄らぎ依頼書の奪い合いが再開されにぎやかなロビーになっていった
「まぁ、なんだ。みんなお前の強さに不信感を持っていたのは事実だ。けど、昨日やらかした奴らは最近、この街に移ってきたやつらでな。なにかと問題を起こしていて、いい薬になったと思うぜ
お前の強さも知らしめることもできたしな。恐れられることはあっても絡んでくる奴はいないはずだ」
「だから俺はデュークの奴と清十郎を試合させたかったんだ」
アンガスの言葉にバングリーが溜息を吐く
「そうだ、爺。デュークの奴は?」
「依然、行方を眩ませたまま音信不通だ。なにをやっているんだか」
「で、清十郎は今度は何をやらかすんだ?」
「やらかすって・・・。儂、そんなに問題児か?」
「「今更何をいってやがる!」」
清十郎のぼやきにアンガスとバングリーは同時に突っ込む
「そうだった!お前にも関わる話だから一緒に来い!」
「はっ?ちょ、おい爺まてって!」
落ち込む清十郎をよそにバングリーはアンガスに言い残すとすたすたと階段を上っていった
「まったく、あの爺は・・・。とりあえず俺はあいつらに言ってから行くわ」
「ああ」
アンガスはまたあとでなと精霊の宴の面々のところに戻っていった
「さて、儂もいくか」
清十郎はそう呟くと階段を上りバングリーの後を追った
「お?やっときたか」
「お主が置いていくからじゃ」
ギルド長室に入るとバングリーがソファーにドカリと座っており清十郎が入ってくると遅いと言わんばかりの態度だ。清十郎も対面に座るとすぐ後からアンガスも入ってきて清十郎の横に座る
3人揃ったところでターニャが紅茶を淹れて持ってくると湯気の立つ紅茶をそれぞれの前に置き一礼して下がっていった
紅茶に口をつけるとバングリーは口を開いた
「さて早速、本題に入るか。まず清十郎、お前には役不足だが本来のDランク試験をうけてもらう」
「ほう」
「例の戦う予定だった奴がいまだに行方を眩ませたままで本部の連中がこのままだとお前をDランクとしては認められんとうるさく言ってきやがったんだ
頭にきたもんだからよ。俺はそこまで言うならギルド長を辞めてやると言ってやったら渋々、妥協案としてDランクの試験を受けてもらうならってことで落ち着いたんだ」
「はぁ。相変わらずだな、この爺は。で、それと俺とはどうつながるんだ?」
アンガスは溜息を吐きながらバングリーを見る
「せっかちな奴だな。まだ話が終わっとらんというのに。まあいい、お前というよりはアルムだ」
「ああ、そういうことか」
「うむ。あいつはまだEランクだろ?
この機にあいつにも一緒に試験を受けてもらおうと思ってな」
バングリーがそこで清十郎に目を向ける
「こいつもいるし安全だろ?」
「たしかにな」
アンガスも頷き清十郎を見る
「というわけだが、お前、聞いていたか?」
「何がじゃ?」
アンガスの問いに美味しそうに目を細めて紅茶を味わっていた清十郎は顔をあげる
「「やっぱりこいつ、聞いてなかった!」」
アンガスとバングリーはがっくりと項垂れる
「ど、どうしたんじゃ?」
「どうしたじゃないわい!お前とアルムにDランクの試験を受けてもらう!いいな!」
「お、おお。バングリーが何を怒っておるのか知らんが顔を真っ赤にしすぎじゃ。倒れるぞ」
「誰のせいだ!誰の!」
バングリーはそこまで言うとはぁーとため息を吐く
「くくく。爺も形無しだな」
笑うアンガスをひと睨みすると清十郎に説明をし始める
「とりあえず急で悪いが明日に試験がある。予定は1週間、ゴブリンの小規模な集落の殲滅だ」
「はぁ!?明日ぁ!」
「うるさいわ馬鹿者!」
驚くアンガスにバングリーは一喝する
「明日、受ける試験が人数的に心もとないってターニャから相談を受けていてちょうどいいんだ。お前のところ装備を新調中だし暇だろ?」
「暇じゃねえよ。とりあえず今後の方針を決めようって打ち合わせで集まってたんだよ」
「なら、暇と一緒じゃ。とりあえずアルムをそれに入れとくぞ」
「まったくこの爺は人の話を聞いてねえし。ったく、分かったよ。アルムに言っとく」
バングリーはアンガスへの話は終わったとばかりに清十郎に目を向ける
「で、清十郎はどうだ。その一週間の間に昨日打ち合わせた工房の件をウェイン殿と進めておくように計らっておくぞ?」
「うむ。それなら儂もかまわん。どうせ今のところ予定は無いしな」
「よし、なら決まりだ!アンガス、清十郎は初めての依頼になるから準備に付き合ってやれ」
「あぁ、言われんでもそのつもりだ」
「わかってるならいい。よし用件は済んだ。もう帰ってもらっていいぞ」
バングリーはそう言うとソファーから立ち上がり執務室の椅子に座り直す。目の前に書類の山がありバングリーは早速とばかりに目を通し始める
その様子を見てアンガスと清十郎は部屋を出ようとした時に後ろから声がかけられる
「ああ、言い忘れておった。集合は明日の朝9時だからな。遅れるなよ」
そう言うと今後こそ終わりとばかりに書類に目を通しながらバングリーは手を振った
「よし清十郎、行くぞ」
「ああ」
ギルド長室を出てロビーに戻ると精霊の宴の面々のところにアンガスは向かう
清十郎も一緒に向かうとみんな笑顔で迎えてくれた
ロビーではすでに依頼に向かったのか冒険者の数が半分ほどになっていたが清十郎に目を向けることもなくなっていた
「そう気にするな。昨日みたいなことは稀だが結構、喧嘩はあるからな。みんなすぐ忘れるさ」
アンガスは周囲を窺う清十郎の肩を叩き言葉をかけるとアルムに目を向ける
「さて、アルム」
「なに?アンガス」
青い髪の少女は首を傾げる
「お前、明日Dランクの試験に参加な」
「えぇ!?」
驚くアルムをそのままにアンガスは話を進める
「爺から言われたんだよ。強制参加。明日の朝9時集合だから遅れるなよ。あ、内容は一週間の行程だからしっかり準備しろよ」
「げぇ!時間ないじゃん!早く準備しないと・・・。今から準備に向かうからみんなまたね」
アルムはそういうと手を振り颯爽とギルドを出ていった
「さて、清十郎、俺らも行くか」
「うむ」
アンガスと清十郎も精霊の宴の面々に挨拶を交わすとギルドを後にした
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