第45話 いつもの朝
いつも読んでいただきありがとうございます
今回はちょっと短めになっています
昨夜は招かれざる客をポーラに手当してもらおうと呼びに行ったら夜這いですか~うふふ。とからかわれ精神的な疲労をしっかり背負ったがポーラの手当ての甲斐あって少女は無事に一命をとりとめた
清十郎は精神的な疲労はあっても満足感を得ているので後悔はしていない。しかしそれは少女を救えた思いからでは決してない。正直、見ず知らずの人間の命など清十郎の死生観において塵芥と一緒だ。満足感の元は目の前で椅子に座り手で引っ掛けたペンダントだ
「師匠、朝だよーって・・・何してんの?」
「なんじゃ、ビットか」
「なんだとはひどいじゃないか!」
「で、何用じゃ?」
「しかも、聞いてない!朝だから鍛錬にいこうよ」
ビットに言われて窓の外を見るとすでに空は明るくなっていた
「ふむ。では行くとするとか」
清十郎はペンダントを丁寧に布に包むと作業台に置き朝の鍛錬へと向かった
いつも通り丹念に体を伸ばすと素振りを行う。その間ビットは庭を回りながら走る。やがて素振りを終えると今度はビットが素振りを行う番だ
ここ一週間ビットにはしっかりと素振りのコツを叩きこんだ。長剣と刀では重心も違うため、清十郎の型を教えるわけにはいかない
なので無駄と思われる動きを指摘しては直させ素振りをさせたおかげでビットの一振り一振りはかなり鋭いものになっている
「ふむ。ビットもなかなか上達したな。そのまま精進いたせ」
「はい。師匠!」
素振りをしながら答えるビット。無駄口はたたかない
(さて、儂もやるか)
清十郎は清丸を抜くと目の前に幻影を作り出す
しかし今までと違うのは幻影が本物の人間そっくりの形で現れること、そして自らの思考回路をもっていることだ。ポーラはそれを見てシャドウソウルの魔法を使えるなんてとんでもないわねと言っていた
清十郎としてはただ幻影に魔力を与えたらどうなるか試したら命令する通りに動き出したので自分を敵とみなし攻撃しろと命令したら良い稽古相手になったのだ
今までのようにイメージで作り上げたものではなく本物さながらに技を繰り出してくるし怪我をすれば今までのようにミミズ腫れだけではすまない
当然、死の危険が付きまとう危険極まりない稽古だが清十郎にとってそんなものは些事だ
常在戦場の心は常に持っている
清十郎が正眼に構えると相手は上段に構える。じりじりとお互い間合いを詰めながら動く
相手が声なし裂帛のもと目のも止まらぬ速さで振り下ろしてくるのをうまく刃を宛がうと流れるように受け流し薙ぐように斬り返す
相手は受け流されるとみるや一歩下がり薙ぎを回避するとそのまま下段から切り上げる
清十郎は左半身半歩さがりながら肩口を少しばかり斬れらるがそちらに構わず上段に無駄なく構えると返す刀で相手の右半身袈裟切りにした。相手が斜めにずれ込み上半身と下半身が泣き別れると光の粒子となって消えていく
ふーっと息を吐くと納刀する
「すげー!師匠!誰いまの?」
「見ておったのか、素振りは・・・まあ良いか、今のは儂の友だ」
「友達?でも、まったく動きが見えなかったよ!」
ビットは喜びはしゃいで清十郎にせがむ様子にやれやれといった具合で素振りを続けるように命じるとそうだったと言わんばかりに再度素振りを始めるビットを見るとイリアの元に行く
「清十郎様、大丈夫ですか?」
斬られた肩口をみながら心配そうに声をかけるイリア
「はは。心配かけてしまいましたな。大丈夫ですぞ」
肩を回し無事をアピールする清十郎
「ならいいのですが・・・」
斬られた肩口をみながらイリアは心配そうにするものの言葉を続けなかった
清十郎は戦いが終わるとするにヒールを発動し怪我は治したが服までは直らないためそのままになっていたのでイリアに心配されたのだ
とりあえずといった感じでミーニャが渡すタオルに顔をうずめるとビットの様子を見る
「ビットは成長しましたな」
「はい。この一週間でメキメキと力を伸ばしておりますよ」
清十郎にイリアがにこやかに答える
「この間も貴族学校で勝てなかった相手に勝てるようになってきたと嬉しそうに教えてくれました」
「そうか。それなら儂も鍛えた甲斐があったというものじゃな」
「これからもよろしくお願いしますね」
にこやかに笑うイリアに清十郎は頷いて答えるのであった
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