第24話 清十郎ミスリルを試す
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ミスリルの表現を訂正しました
清十郎とミーニャが一旦、汗を拭きにそれぞれが部屋へと戻り着替えをして食堂に向かうとすでにウェインをはじめ清十郎以外の全員が椅子に座って待っていた
「おそいよ、師匠!」
ビットが清十郎を見つけると非難気味に声をあげる。バツが悪そうに清十郎は謝った
「これはすまぬ。だいぶ待たせてしまったみたいじゃな」
「はは、いいよ。今日のことをいろいろビットと聞いて楽しんでいたから気にしないでよ」
ウェインがそういうとイリアも柔らかい笑みを浮かべる。ビットは胸をはってなぜか偉そうにふんぞり返っている
(あるべき家族の在り方に戻ったようじゃな)
清十郎はビットが胸をふんぞり返っているのを見やりながら案内された椅子に座りどこか今朝までと違う夕食の雰囲気に笑みがこぼれる
「特にビットがやたらと清十郎を持ち上げてね。師匠、師匠うるさいんだよ。明日から師匠に恥じない行動をしないとね」
「なっ・・・」
ウェインが清十郎をからかいにかかるとイリアがクスリと笑う。どこか気恥ずかしさを覚えながらも清十郎はジト目をビットに向ける。ビットは口笛を吹くように両手を頭に組み横を向いて目をそらすが音はヒューヒューいうだけで吹けていない
ところでとウェインは清十郎に尋ねる
「清十郎、離れはどうだい?」
「うむ。大変、気に入ったぞ。しかし良かったのか?先代殿の使っていた家ときいたが・・・」
「うん。でももう父上が亡くなられてだいぶたつし物置代わりに使っていたからね。気にせず使ってよ。使ってくれた方が父上も喜ぶと思うしね。すでにイリアが手を入れさせてくれたけど何か必要なものがあったりしたら遠慮くなく言ってほしい」
「そうか、それならいいんじゃ。しかと使わせてもらおう」
清十郎が言ったところで食事が運ばれてくる
「あれ?ミーニャがどことなく疲れているけど大丈夫かい?」
給仕をするミーニャの疲れた様子にウェインが声をかける
「え、ええ・・・大丈夫でございますよ。ただ、清十郎さまが休ませてくれなくて・・・」
ミーニャは頬に手を当ててほうっと艶のある溜め息を吐く
その瞬間、暖かい雰囲気だった食堂の温度がイリアを中心に急速に下がっていく。その様子を見たウェインがにやりと笑う
「もしかして・・・清十郎、君ミーニャに手をつけたのかい?」
ウェイン必殺の爆弾投下
「な!ウェイン、ば、馬鹿を申す出ない!」
「どういうことですか?」
イリアは笑っている、笑っているが目が笑っていない。涼やかな顔も相まってその雰囲気はどこまでも冷えている。有無を言わさぬその言葉に清十郎は固まる
ビットは普段見せないイリアのその雰囲気に恐れのあまりにおろおろとしウェインとミーニャはイリアから見えない位置からにやにやとその様子を面白がっている
(こやつら~~~!!!)
「清十郎様、ここにはビットもいるのです。もっと、慎みをもった行動をしていただけなければ困ります」
清十郎がウェインとミーニャを呪う間にもイリアが虫けらをみるような目で清十郎をみながらイリアの説教はたんたんと続く
「ましてミーニャは嫁入り前の大切な身体、それを・・・それを・・・」
イリアがテーブルクロスを両手で握りしめながら下を向きプルプル震えながら今にも怒りだしそうな雰囲気に清十郎はイリアの背後に般若を見た
「ぷっ・・・もうだめ・・・ふふふ」
「僕も・・・あははは」
イリアの怒りがついに爆発する寸前、ウェインとミーニャは声をだして笑いだす。その笑い声でイリアはぱっと顔をあげるとウェインとミーニャを交互に見ると2人の悪ふざけであったことに気づく
急転直下、イリアの怒りは2人に向く
「お兄様、ミーニャ、あとで覚えておきなさい。しっかりと説明していただかなくてはなりませんわ」
怒髪天を衝くとはこのことだろうかと清十郎は誤解がとけて安堵する反面、目の前で慌ててイリアをなだめる2人をみて自業自得だと呆れ果てた
自体の急転について行けないビットと視線が合うと清十郎は肩をすくめるのであった
食事が終わり早速とばかりに離れに移動する。扉を開くと中央に輪切りした丸太を縦にして金床を置きその前にも同じように座る用に丸太を縦においてある
こ れは炉がないため鍛冶が出来ないので細工用に設置した形だ
部屋の端には作業台とイスが置いてあり作業台はミーニャと一緒に余った机やらを改造して作り上げた特別製だ。清十郎は部屋へ入ると部屋の隅においてあった木箱からミスリルのインゴットと鏨と金槌を取り出し丸太の前に座り早速とばかりに金床にインゴットを置くと鏨で一部を切り出そうと試みる
まずはミスリルの特性をつかむため加工したものにいきなり取り掛かるのではなく試しを行うためだ
鏨をインゴットの端に合わせると金槌でたたく。カーンカーンと心地良い音が部屋に響く
(うむ・・・やはり想像以上に堅いな。このままでは道具がやられる。どうしたものか)
実際にミスリルをたたいてみて疵一つないミスリルに舌を巻く
(そういえば、ミスリルを加工する術を聞くのを忘れておったな)
清十郎は今更ながら思い出す
(そういえばミスリルの特性に魔力を通すとか言っておったな。儂も吸い取られたようだし異世界から来た儂にも魔力とやらは備わっておるようじゃ。ならば道具にも魔力とやらを通すことができるか・・・)
昼間に起きた一連の出来事を思い出しミスリルにできて他の金属にできないわけがないと清十郎は道具に魔力を流すイメージをしてみる。すると道具に自分の手足のように血が巡るような感覚がしてくる
(おっ、なにやら感覚があるな)
清十郎はそのまま試しに魔力を通した感覚の鏨をミスリルのインゴットに当て金槌でたたいてみる。するとカンッと一際、甲高い音とともに鏨がミスリルに食い込む感触がする
(うむ!これはいけるかもしれぬ)
清十郎はその感覚を頼りに試し続けるとインゴットの半ばまで食い込んだ所でガキンという音と共に鏨が割れる
(むぅ、道具が先にダメになりおった・・・)
しばらく清十郎は考えたところでイグリットが言っていたことを思い出した
(たしかミスリルは魔力の通りがいいと言っていた。そうなると他の金属は魔力の通りに良し悪しがあるのかもしれん。先ほどから儂は道具に魔力をずっと込めていたから耐えられなくなって鏨は割れたかもしれんな・・・
焼き入れも過ぎたると歪や割れを引き起こすからそれと一緒かもしれぬ)
清十郎はそう考えに結論をつけると今度は別の鏨を持ってきて魔力を一定量になるように調整しながらインゴットを削り出してみる
(ふーむ・・・切れ味は落ちるが一応削れるようじゃ。しばらくこれで試してみるか)
1時間くらい打ち続けたところでインゴットの削り出しに成功する
(よし、今度はうまくいったな)
鏨を確認しながら割れていない事に満足感を覚えるが若干、鏨の先端が丸くなっているのに気づく
(うーむ、今度は鏨の先端がやられたか。これは叩き直して研がねば無理だな。とりあえずこやつには休んでもらって削り出したミスリルでいろいろ試してみるか)
清十郎は削り出したミスリルに魔力を込め続けてみる。削り出した量は小指の先端ほどならば大丈夫かと試してみる気になった。魔力を込めること数分、銀色の輝きが一層強くなると部屋をミスリルが発する霧のような白いオーラがキラキラと光りながら揺れ照らす。ひとしきりその状態で魔力を抑え魔力が抜け切る前に金槌でたたいてみる
ガンと低く鈍い音がする
(これは相当、固くなっておるな。確かにこれを刀剣にして魔力を込めると折れず切れる刀になるやもしれんな。ふむ、面白い金属じゃ)
ひとしきり試したあと清十郎は作業台の上に置いてある加工してもらったミスリルの円盤を持ってくると金床に置いた
(さて、ここからが本番じゃな)
清十郎は息を整えると鏨を選びミスリルを打っていく。カンカンと小気味いい音が部屋の中に響き夜は更けていった
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