第21話 レギウス=ポートウェル
ブックマークの登録に評価をしていただき本当にありがとうございます!
これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします
燃えるように赤い髪を逆立て角ばった顔を覆うように生える髭と目つきに鋭さが残る男が意匠を凝らした椅子に座りグラスについだワインを一気に飲み干すと息を吐いた
部屋には椅子と同じように手間暇をかけて職人が作ったと思われる数々の調度品が置かれ気品あふれる豪華さをたたえているがこの男の圧倒的な存在感の前にはかすむほどだ
レギウス=ポートウェル。それがこの男の名前でありアボルグの街の領主の肩書を持つと同時に歴戦の将だ。左の額から右の唇にかけて切り裂かれた古い傷跡がその名残を残す
レギウスは数えきれない戦場で戦い続け数々の武功を打ち立ててきた。その褒美に子爵へ陞爵し北の領地を任されアボルグの街へ領主としてやってきた
レギウスは目の前の机に置かれた書類に目をやるとその燃えるような逆立てた太い眉を寄せる
「ゴルド」
レギウスは椅子にもたれかけたまま目の前で立ち尽くしている自分によく似た顔をした大柄な少年に声をかける。その野太い声にゴルドは体をビクリとさせる
「・・・はい、父上」
ようやく絞り出した声に昼間、ビットが怒鳴っていたような強気な態度は鳴りをひそめている
「ウェインが夕方にやってきてお前が気を失ったことについて謝りにきたぞ」
てっきり叱られるとばかりに思っていたゴルドは顔をあげる。その顔はさっきまで萎縮していた少年の顔ではない
「そ、それは」
「あぁ、謝りにきたがお前の今までしでかしたことについても証言を集めて持ってきたがな」
レギウスがゴルドを射るような視線で見ると手元にあった紙束をゴルドの前に放り投げる
ゴルドは体を震わせながら再び下を向く。戦場を駆け抜け生死の狭間を生き抜いた男の射るような視線は少年には到底たえられるものではない
「俺はいつもお前に何と言っている」
ゴルドは答えれずに震えて立ち尽くしている。レギウスの殺気が膨れ上がり何倍にも大きく見えてくる
「戦うならば男らしく戦えと教えなかったか」
一言一言に殺気が乗せられゴルドに畏怖の念が大きくなっていく。体はガタガタ震え歯がカチカチと部屋の中に鳴り響く
「3人で囲んでおきながらウェインの倅に素手で後れを取りあまつさえ武器を手に持ち殴りかかったそうだな」
「ち、ちちうえ、そ、それは・・・」
「違うというか!」
事実と違うとゴルドが言いかけた瞬間レギウスの怒気が膨れ上がる
「貴様が普段から何をしていようが構わん!だが男らしく戦えぬならば貴様に俺の後を継ぐ資格はない!」
レギウスの怒鳴り声にゴルドは足の力が抜け跪く
「あなた、それまでにしてくださいませ!それ以上はゴルドが可哀そうです」
ゴルドが気を失いそうになった時、扉が開きプラチナの髪をサイドで三つ編みにして編み込み後ろでヘアリングでまとめた髪型に意匠を凝らしたドレスを身に纏った女性が侍女を引き連れ部屋へと入ってきた。女性の顔をみたゴルドは涙目になりながら縋り付く
「母上・・・」
母上と呼ばれた目鼻立ちがはっきりとした顔の女性は穏やかにゴルドを見つめながらやさしく撫でる。その右目の下の泣き黒子が特徴的だ
「リリア控えろ、今はゴルドと話している」
「いいえ、控えません」
リリアと呼ばれた女性は顔をあげるとレギウスに真っ向から言い切る
その顔はゴルドを見ていたような穏やかな顔ではない。柳眉を逆立て冷たい表情でレギウルスを見ている
「まだ、この子は13歳です。あなたのような怒り方はよくありません」
レギウスはちっと舌打ちをすると横を向きワイングラスにワインを満たすと一気に飲み干す
そんな態度にリリアは嘆息すると足元の紙束を拾うとさらさらと読んでいく。紙束を読んでいくうちに細く美しい眉が形をゆがめていく
「なんですか!たかだか子供の喧嘩の範疇ではありませんか。ウェイン殿もこのような子供の喧嘩にでしゃばるような真似をして」
世の親の大半は常に子供を信じているが万が一間違ったことをした時に叱り諭すのも親である
だが中に正しい事実を突き付けられてもそれを認めない親もいる。特にこのリリアはその傾向が顕著だ
「ゴルドあなたはここに書かれたようなことはしていませんね」
「母上・・・」
「あなたは良い子です。この紙にかかれたことなど出鱈目ですよ」
「さぁ、もうお行きなさい」
「はい・・・」
読み終えたリリアは優しくゴルドに退出を促し侍女と共に部屋をでていった
「あなたの怒り方はゴルドがかわいそうです。ご自分の子供なのですからもっと可愛がってくださいませ」
リリアがレギウスに冷たい表情のまま言い放ったその時レギウルスから放たれた猛烈な威圧感がリリアに襲いかかる。リリアは顔を蒼白にし思わず跪く
「あ、あなた、なにを・・・」
「リリア、俺はお前のその態度を今まで大目に見てきたがこれより一切派向かうことは許さん」
レギウスは椅子から立ち上がり今も座り込んでいるリリアに近づいていく。その大きく鍛え抜かれた身体から放たれる威圧感が強くなっていく
下を向いて荒い息を吐くリリアのそばに来るとレギウスはしゃがんで下を向くリリアを見ると頤に指をあて顔をあげさせる。猛烈な威圧感にさらされリリアの額には汗が浮きプラチナの髪が張り付いている
「わ、わたくしに何かあるとお父様が黙っていませんよ!」
荒い息を吐きながらその柳眉を逆立てリリアはレギウスになんとか言い放つ
「ふはは!さすがだな、リリア!その気丈さだけは認めてやる」
レギウスはそういうとリリアの頤から指を離し威圧感を解く。重荷がはずれたイリアは息を吐くとレギウルスを睨む
「お前の親父になんとでも言うがいい。宰相殿はどうせ何もできん。それにお前は俺の女だ」
傲岸不遜に言ってのけるレギウスにリリアは一抹の不安を覚える
「あ、あなたは何を言っているの?今まで私にそのような事、言わなかったのに・・・」
リリアはその心の動揺を隠せず揺れる瞳でレギウスを見上げる。レギウスは何も言わずにリリアに背を向けるとアボルグの街が一望できる窓際に立つ
「戦場から離れ片田舎に追いやられて俺は死んだと思っていたが、やはり大人しくしてはおれん性分のようだ」
アボルグの街をみながら横目で机の上の紙を見る机の紙に一言こう書かれていた
”アボルグの街に異世界者が現れた可能性あり”
良いなと思いましたらブックマークの登録、評価を是非よろしくお願いします
感想もお待ちしております




