第20話 姉として
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今回はミーニャの独白回です。あと、”さま”と”様”で迷っていましたが”様”で統一して話を作っていきたいと思います。順次改稿し直していきたいと思います。また皆様の感想いかんでは変更していきます
私の名前はミーニャと申します。年の頃は恥じらう乙女の17歳でございます
私は裁縫屋を営んでおりました両親のもとに生まれました。その後3人の弟や妹が生まれましたが私が7つの頃に母が身ごもった時を同じくして父は流行り病でこの世を去ってしまいました
不幸は立て続けに起きるものですね
その年に母は出産をしましたが産まれてきた弟はその産声をこの世に響かせる前に天に召されてしまっていたのです
父や弟を失ったことで気力を失い出産直後で体力が戻っていない母はこれを機に店をたたみました
残ったお金でほそぼそと暮らしていましたが家族5人で生活するには全く足らず両親が貯めていた貯金はすぐに底をつきました
ですが神様はまだ私たちをお見捨てにはなっておられませんでした
身売りを考えるほど困っていたところウェイン様が乳母を探していると両親の古くからの知り合いが教えてくれたのです
まだお乳が出ていた母はすぐさま志願しました
そのかいあってか乳母として雇っていただくことができました。私も年が7つであることから一緒に奉公見習いとして雇っていただけたのです
母が乳母の務めの間は他の弟妹の面倒は両親の古くからの知り合いが快くみてくれました
その後、母はビット様が大きくなり乳母の務めを終えると弟妹達の面倒を見るためそのまま奉公せずに街で小さな裁縫の仕事の下請けをしながら生活をしております
私もお給金の大半は仕送りしております。たまに街に出ておいしい紅茶とお菓子をいただきに行くくらいはいいですよね?
小さいころのビットさまは、それはもう可愛らしく絵本を読んであげたり一緒に遊んであげたりしました。どこにいくにも私の後ろをついてきて・・・
ふふ、とても愛おしい弟のような存在です
ビット様は6歳になると貴族の学校に通うになられました
その頃からビット様はだんだんと感情を隠すようになられました。お父上であるウェイン様は気づいておられたようですが特に言われることもなく腫れものを扱うようになっていったのです
ですがウェイン様の妹君のイリア様だけはビット様をいつも気にかけておられました。いつも気にかけてくれる優しいイリア様をビット様は本当のお母さまのように慕われておられます
あれから4年、ビット様は立派な男の子になられました
毎晩のように絵本を読んであげたことは懐かしい思い出でございます。私はビット様の手が離れるとビット様のお世話係からイリア様付けの侍女となりました
イリア様付きの侍女になってからイリア様には嘘をついてる人間を見破るスキルをもっていることがわかりました。もちろん他言無用を申し付けられたのは言うまでもありません
イリア様はとても美しい方です。あの腰まで伸ばしたあのさらりとしたブロンドの髪、切れ長の瞳に鼻筋の通った整った顔立ちが涼やかな印象を与えますがそのエメラルドを思わせる瞳が美しくイリア様とお近づきになろうとする殿方は数多くおられたそうです
ですが前々から嘘にまみれた世界に辟易としていたイリア様はいつしか社交会にでなくなりました
私がイリア様付きの侍女となってからもそれは変わらずイリア様は今年で23歳になられました。あまり言うことが憚れますが貴族の女性で23はかなりの高齢です
私も心配していたのですがちょうどそのくらいの時にウェイン様がお客様をお連れになられました
そのお客様は黒目黒髪という大変珍しい髪と瞳の色をしておられました
大きな瞳と整った顔立ちで美少女にも美少年にも見えるお方でした。身に纏う服もここらではみない白い服にズボンを身に纏い変わった剣を持っておりましたが旅をしてきたのか砂埃や汚れなどがついておりその晩にイリア様の手によってすぐに回収されました
あとからイリア様からうかがった時に男の方だと知って大層おどろいたものです。名前もその時に清十郎様と伺いました
翌朝、イリア様と共に部屋へ行くと既におられませんでした。すぐに使用人たちに話を聞くと庭にむかったとのことで私とイリア様は庭に向かったのでございます
そこでは剣を振るう清十郎様がおられました。
ひとつひとつの動作があまりにも綺麗で美しくその舞うような所作に私は不覚にも目を奪われてしまいました。しばらくて私は正気にもどるとイリア様のお顔をうかがいました
その時、私はやられたと思いました。イリア様のその瞳は恋する乙女になられておられたのです
すべての朝の訓練が終わった清十郎さまはにこやかに挨拶をしながらこちらに参られました
イリア様は普段通りに清十郎さまに接したつもりだったようですが普段からイリア様と一緒に居る私にはわかりました。イリア様は清十郎様とお話されている間、他の殿方にみせたことがないような華やかな表情をなされておられました
そんな清十郎様が気に入らなかったのでしょう
ビット様が屋敷の角から見ておられたのを清十郎様が気づかれ私が連れてきたまではよかったのですがかたくなに挨拶をしようとしません。なので、私が挨拶を優しく促すと清十郎様に渋々ながらも挨拶をなされました
若干、悲鳴らしきものが聞こえましたが猫が鳴いていたんでしょう・・・
ええ、きっとそうにちがいありません
ですがそのあとがいけません
清十郎さまに罵声を浴びせると走り去ってしまわれたのです。イリア様を取られるかもしれないと思ったのでしょう
ですがそのような状況の後にも関わらず私の目の前でイリア様と清十郎様はあろうことかキ、キッスをするところでした。わ、私だってまだしたことがないのに・・・そんな私の前で・・・
コ、コホン・・・話がそれました
その時はわざとらしく2人に聞こえるようにせき込みました
清十郎様とイリア様は慌てて距離をとっておりましたがビット様が憤慨することやるかたなしと思ったものです
その後、イリア様はウェイン様にからかわれたことで恥ずかしさのあまり清十郎様の面倒を私に任せて部屋に閉じこもってしまわれました。清十郎様に勉強を教えたり街について行ったりしましたが清十郎様はどの方にも優しく接しておられました
清十郎様について2日目についにあの現場を見てしまったのです
オーダーメイドの防具店へ向かう道すがら争うような声が聞こえてきたのです
清十郎さまとともに街角から声がする方の様子をうかがうと領主様のご子息のゴルド様といつもそばにいる側近2人がビット様を囲み暴力を振るっているではありませんか
やがてビット様がたまたま出した手がゴルド様に当たることになって事態は緊迫したものになってまいりました。止めようと飛び出そうとしましたが清十郎さまが手で私を押しとどめて行かせてはくれませんでした
ビット様の心の叫びそれを聞き私は奈落の底に突き落とされた気分になりました。きっと今日だけではなく前々からずっとこのような状況におちいっていたのでしょう
怒りに我を失ったゴルド様が落ちていた角材でビット様を殴りつけようとしたところで清十郎さまが動かれました
あっというまにゴルド様を投げ飛ばし壁にたたきつけられたゴルド様は意識を失い側近の2人に連れていかれました。清十郎様はそちらを一顧だにせずビット様の怪我の確認をするとビット様を背負い歩き出したのでございます
私は道すがら清十郎さまを責めました。なぜすぐに助けなかったのかと
清十郎様はしばらく何もいいませんでしたがぽつりぽつりとご説明くださりました
もしあの時、私が助けていればきっとビット様は一人で立ち上がれなくなるだろうと
その言葉を聞いた時、正直、私はその意味が分かりませんでした。後々その言葉の持つ意味が分かるのですがその時分かったことはこの人は優しい人だけど厳しい人でもあるのだとそう思ったのでございます
冒険者ギルドのベッドで目を覚まし一連のことを知ったビット様は悔しそうにしておられましたが清十郎様に言われた言葉に思うところがあったのか考え込む様子でした
その後ウェイン様が入ってこられると人目を憚らずにビット様は泣きじゃくりました
ウェイン様を今まで馬鹿にされて悔しかったことそしてついにゴルド様に立ち向かうことができたと
そのことを泣きながらウェイン様に訴えられました。ウェイン様は泣きじゃくるビット様を優しく抱きしめると一言よく頑張ったとおっしゃられました。その時に先ほど道すがら清十郎様が言っていたことが分かったのでございます
その後のビット様は憑き物がおちたような晴れやかな顔をされておりました。きっとご自分の心に一区切りついたのでございましょう
すべてが終わり帰りの馬車でビット様があれほど嫌悪されていた清十郎様に弟子入りを志願された時にはさすがに驚かされましたが・・・
でも、姉としてビット様が元気を取り戻し今までの鬱屈とした表情がなくなったことに嬉しく思うのです。どうかビット様、強く優しいお人に育ちください
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