第19話 師匠と弟子
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今回は短めなので今日中にアップしました
話がひと段落したところで扉がノックされる
「失礼します。ミーニャでございます」
「ああ、開いてるから入っていいよ」
ウェインが入室を促すとミーニャがきれいな所作で入ってくる
「我が家の馬車が到着いたしました」
「そうか、なら僕は一度、ビットの顔を見てから仕事に戻るよ。どのみち領主にも話を通さないといけないからね。すまないが今日は清十郎もビットに一緒について帰ってやれるかい?
「ふむ。それはかまわんぞ」
内心、防具屋に行きたかったがミーニャがいなければ名前すら書けない。であれば、断る理由はなかった
「なら、また夜に屋敷でね」
ウェインはそういうと部屋を出て行った。ミーニャはウェインの後についていく
「なら、儂は一足先にロビーに向かうとするか」
清十郎はウェインたちのいる部屋を通り過ぎる時、ビットの泣き叫ぶ声が聞こえたが親子の話を邪魔するほど無粋な真似はしない。まっすぐにロビーに行くとターニャのそばに行く
「ターニャ殿、部屋の鍵を返しに来たぞ」
下を向き書類をせっせと書いていた緑の髪を三つ編みにした女性に声をかける
「あ、おわりましたか。カギをお預かりしますね」
眼鏡を直しながらカギを受け取るターニャ
さて用件は終わりとばかりにその場を去ろうとした清十郎にターニャが声かける
「清十郎様、少しお待ちください」
「何用であろう?」
「先日のギルド長のお話を憶えておられますか?」
「ああ、あのBランク冒険者との腕試しの話じゃな?」
「憶えておられて良かったです。それでその件ですが3日後の昼ではどうかと清十郎様の予定をお聞きするように言われておりまして、ご予定はいかがでしょうか?」
「ふむ、特に用事はないゆえ3日後の昼でかまわんよ」
「では3日後の昼にこちらにお越しください」
「あいわかった」
用件は終わりとばかりにターニャは書類仕事に戻る。目の前の紙束の量からかなり忙しいのだろう
ちょうどその時にウェインたちがやってきた
「清十郎、待たせたね」
「いや、ちょうど儂の用も終わったところじゃ」
「そうか、なら行こうか」
清十郎とミーニャとビットは馬車に乗り込みウェインと別れる
「なぁ・・・清十郎」
馬車の窓から見える流れる景色を眺めていた目元を赤くしたビットが清十郎に声をかける。そのまま景色を眺めながら清十郎の反応を待つ
「ビット殿、いかがいたした?」
清十郎も深くは言わない
「強くなるにはどうすればいい?」
「ふむ」
「俺は負けたくないんだ。もう父上のことで馬鹿にされたくない」
清十郎は黙ってビットの話を聞く。横に座るターニャも口を挟まない
「俺は弱い。だから奴らにやられるんだろう」
ビットの瞳から涙が流れる
「清十郎は、俺に負けぬ力を身につけろといった。お前は、俺の立ち向かう勇気を認めてくれた。あんなこといってくれるやつは今までいなかった。だから・・・」
そこまで言ってビットは清十郎を見据える
「俺は強くなりたい!負けない力をみにつけたい!」
「ビット様・・・」
ターニャが思わず口に手をやり顔を背ける。きっとターニャは泣いているのだろう
「なれば、明日の朝から儂と一緒に鍛錬をしよう」
「そうすれば強くなれるか?」
「すぐには強くはなれん。だが、やれば歩みは遅くとも今よりは強くなれる」
清十郎はそこまでいうとあとはお前次第だとビットの目を見る
「俺・・・やるよ。清十郎、俺は負けない力を身につける。だから頼む、いや教えてください!お願いします!」
ビットは清十郎に頭を下げる。いま目の前の子供は一人の男として覚悟を決め、頭をさげたのだ。清十郎はそのことに頷く
「あい、分かった。ただしいくら厳しかろうと儂がやることに文句や泣き言は言うでないぞ」
「わかったよ!師匠」
清十郎がそういうとビットは嬉しそうに顔をあげた
「し、師匠?」
「うん、清十郎は強くなることを教えてくれるんだろう?なら師匠だ!」
「う、うーむ・・・」
渋面を作り、腕をくんだまま清十郎は黙ってしまう。その後、屋敷に着くまでビットはキラキラとした瞳で清十郎を見つめミーニャはそんな様子を見て微笑でいた
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