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第13話 冒険者ギルド

 ウェインの屋敷から出ると道には石が敷かれており石畳となっていた

 清十郎は屋敷からでると石畳に続く屋敷街の景色に感嘆する

 手入れされた庭と屋敷が石畳の道を挟んで道沿いに並んでいる景色は情緒を感じさせた


 しばらく歩くが人通りが少なくたまに馬車とすれ違うだけの静かな時間が流れていく

 時折すれ違う人は執事とメイドが多かった


「なぁ、アンガスよ」


「どうした?」


「ここらは金持ちが多いのか?」


「ああ、ここら辺は貴族の屋敷やら商家の屋敷が多いな

 あとアボルグは最北に位置するから夏は涼しいし避暑地として別荘として使われる屋敷もあるぞ

 いまは秋だし別荘に使われる屋敷には管理人以外、人がいないけどな」


「なるほど、だからすれ違う人々が少ないのか」


 アンガスと話しながら歩いていると目の前にアーチ状の門とそこをつなげるように長い城壁が見えてきた

 外壁ほどは高くないが高さは3mくらいあるだろうか


「あれは?」


「あぁ、そういえば清十郎はウェインの屋敷に行くときは馬車だったな

 あれはここらへん上層区と中層区をわける門だ

 清十郎の身分はミーニャが証明してくれるから心配するな」


 アンガスは門に近づく

 門そばにはプレートアーマーを身に着け槍を持った兵士が2人立っていた


「止まれ」


 兵士の1人が清十郎たちに静止を促し清十郎たちも足を止める


「身分証を」


 言葉短めに兵士は身分証を求める

 アンガスは腰鞄から冒険者証を取り出すと兵士に渡す

 兵士は冒険者証を確認すると頷きアンガスに返す

 兵士が清十郎を見る


「こいつは清十郎というのだが身元引受人はウェインだ

 メイドのミーニャが身分証明してくれるぜ」


 兵士が清十郎に身分証を求める前にアンガスが説明する


「私はウェイン=ハーミットさまにお仕えするミーニャです

 こちらの指輪が私の身分証となります

 清十郎さまはハーミット家にとって大切なお客様でございます

 どうぞご確認くださいませ」


 ミーニャはそういうと上品に右手を差し出し人差し指にはめてあった指輪を兵士に見せる

 兵士は指輪を確認すると頷いた


「確かにハーミット家の紋章を確認いたしました

 どうぞお通りください」


 兵士はそういうと2人そろって道をあけピシッと音がなりそうな動作で槍を持っていない右手で拳を作り胸に持っていき敬礼する


「よし、いくぞ」


 アンガスの掛け声で門をくぐる

 目を上にむければ門の内側と外側にそれぞれ鉄柵がついていた

 5mほどくぐると目の前に幅30mほどの水路が流れており水路には橋がかけられていた

 橋を渡りきったところで兵士二人が敬礼し清十郎たちを通す


 通ろうとした時に兵士が清十郎たちに声をかける


「夜8時になると門は閉まり橋があげられます

 朝5時になると橋が降ろされ通れるようになりますが緊急時以外は身分例外なく

 お通し致しませんので時間には気を付けてください」


「あぁ、分かった」


 アンガスは片手をあげて了承すると兵士の目の前を通過する


「ふむ・・・やけに警備が厳重であったな」


「まあな。上層区は貴族の屋敷や商人の屋敷が多い上に領主の館がある

 警備が厳重になるのもしかたがないだろう」


「しかし、橋があがるのか」


「おう。橋があがる瞬間を見にくるやつらもいるくらいだぜ

 アボルグの観光名所の一つだな

 夜になると見物客が増えるしそれ目当ての屋台もでるぞ

 なかなかにぎやかになるんだ」


「ふむ。それは見応えがありそうじゃな」


「まあ、橋の話はここら辺にしてさっさと行こうぜ」


 橋に興味が尽きない清十郎を促しアンガスは歩き出す

 清十郎とミーニャもそれに続く


 上層区と違い中層区にはいると建物も3階建てのレンガ造りのアパルトメントが多くなってきた

 すれ違う人々も多くなりしきりに馬車が通り、人も多くなっていく


「清十郎、ここらへんから人が多くなるからな

 離れずついて来いよ。あと路地にはいるな

 入り組んでいるからあっという間に迷子になるぞ」


 アンガスが後ろに目をやり清十郎に注意を促す

 その間にも人とすれ違うがアンガスは器用にすり抜けていく

 やがてついていった先に大きな通りが現れた

 馬車がすれ違ってもまだまだ余裕のある大きな通りだ

 これには清十郎も驚いた


「ここは・・・」


「こいつは北門と南門をつなぐ大通りだ

 で、ここが街の中心部だな

 さてと、清十郎、目的地はここだ」


 アンガスはそういうと角地に立つ一軒の建物を指さす

 そこは3階建ての建物で出入り口の上には羽のマークと冒険者ギルドとかかれた看板が掲げられていた

 そこには装備を整えたいかにも冒険者と言われる人間が出入りをしていた


「おおきいのぅ・・・」


 清十郎は建物を見上げる


「ははは。どうだ、驚いたろう

 王都の冒険者ギルドほどじゃないがここもなかなかのもんだぜ」


 そういうとアンガスは慣れた様子で中に入っていった

 清十郎もアンガスについて中にはいる


 中にはいると広いロビーと入ってすぐ左側にカウンターテーブルがあった

 アンガスはカウンターテーブルで眼鏡をした三つ編みの女性に話しかけていた

 なにやら話し込んでいる様子なので清十郎はあらためてロビーを見渡す


 ロビーの方はテーブルと椅子が各所に設置され冒険者が雑談をしたり、突っ伏して寝ていたり自由に過ごしていた

 壁際には何人かの冒険者が壁際に張られたボードを見て紙をはがしてカウンターテーブルの方へ持っていく様子が見られた


「ふむ・・・

 あそこで依頼が張って合ってあそこの受付で依頼を受けるのか

 おもしろいのう」


 と、清十郎があちこち見渡しているとテーブルに座っている青い髪の少女と目が合った

 少女は清十郎を見つけるなり椅子を蹴倒すように立ち上がると素早い身のこなしで清十郎に抱き着いた


「なっ!」


「せいじゅーろーくーん!あいたかったよー!

 くんくん・・・いいにおいが・・・あたっ!」


「やめんか!アルム

 清十郎殿が困っておられるぞ!」


 清十郎が抱き着かれて固まっていると後ろから見慣れた銀髪長身の笹穂の女性が

 アルムと呼ばれた少女の頭をひっぱたく


「いたいよ!エリザ!」


「しかたがないだろう

 お前はいつも周りが見えなくなるとああでもしないと止まらないからな」


 見覚えのある銀髪の笹穂の女性が清十郎の方を見ると頭を下げる


「すまないな。清十郎殿

 アルムはいつも熱くなると周りがみえなくなるんだ」


「いやいや

 気にするでない。それよりも久しいなエリザ殿」


「ああ、久しぶりだな、清十郎殿」


 エリザと清十郎はにこやかに挨拶すると握手を交わす


「で、清十郎殿あの時は意識がなかったがこいつがアルムだ

 まぁ、適当に付き合ってやってほしい」


「適当ってなにさ!

 あらためてアルムです。清十郎君よろしくね!」


「あぁ、アルム殿もよろしく頼む

 しかしよく儂がわかったな」


 アルムとも握手を交わしたところで清十郎は首を傾げる


「うん。エリザから外見を聞いていたから

 ここら辺ではみない黒髪、黒目で幼い感じで後ろで髪を束ねている少年だって」


「少年か・・・たしかにここらの者に黒髪黒目はいないようじゃな」


 少年という言葉にくつくつと笑いながら清十郎は答える


「そんなわけで一目見た時に清十郎君だってわかったんだ

 ほんと、かわいいよね!」


「か、かわいい?」


「おい、アルム。その辺にしておけ

 清十郎殿が困っておられる」


 困惑する清十郎を見かねてエリザが話に割って入る

 そこで清十郎はトドルとトリビスの姿が見えないことに気づいた


「むっ、トドル殿とトリビス殿がおらぬな」


「トドルのやつは多分、いきつけの酒場で大剣が壊れた鬱憤を晴らしているだろう

 トリビスはまぁ、なんだ、女のところだな」


「そうか、会えないのは残念じゃが、よろしく伝えておいてくれ」


「あぁ、清十郎殿がよろしくと言っておいたことを伝えておくよ」


 と挨拶がひと段落したところでアンガスが清十郎に声をかける

 アンガスの方も話が終わったらしく、こちらの話がひと段落するまで待ってくれていたようだ


「よし、清十郎、話もおわったみてーだしついてきてくれるか」


「うむ。ではエリザ殿、アルム殿またの」


「ああ、またな」


「またねー!」


 清十郎はそういうとアンガスを追いかけその場を後にした



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