第1部 第3章 第2話 銀髪の美少女(=変身した私です)を探すルシアン様
【読者の皆様へ】
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~『死の森』で、古代の遺物『幻影の三面鏡』を拾ったアリス。それはなんと、思い描いた通りの姿へ変身できる神の道具だった!
(どうしよう……! )
アリスの正体がバレて、大惨事になりそう。素顔のアリスと、変身後のアリス。
イケメン竜騎士団長とアリスの、奇妙で歪な関係が本格的に動き出そうとしていた。~
「……じゃあな。夜風に当たりすぎて冷えないように」
ぽんと私の頭に軽く手を置くと、ルシアン様はそのまま寂しげな背中を向けて、暗い路地裏の奥へと消えていった。
(あ、頭ポンポンされた……!? いや、そんなことより!)
残された私は、自分の胸を両手で押さえながら呆然と立ち尽くしていた。
(『竜の血の呪い』で『運命の番に出会わなければ狂い死ぬ』って……何よその少女漫画もびっくりな重すぎる設定はーっ!!)
ただのイケメン妄想野郎だと思ってバカにしていた自分が恥ずかしい。彼は本気で、自分の命と人生をかけて「銀髪の美少女(=変身した私)」を探していたのだ。
(どうしよう……! 命の恩人として助けてあげたのはいいけど、まさかそんな重大な生存フラグを建てちゃってたなんて! でも、『実は私、変身道具で化けてただけの追放孤児アリアです!』なんて口が裂けても言えないわよ! 夢を打ち砕きすぎて、ショックでそのまま狂い死んじゃうかもしれないじゃない!!)
頭を抱えて路地裏で転がり回りたい気分だった。
自分の不用意な変身と気まぐれなヒーローごっこが、とんでもない大事態を引き起こしてしまったのだ。
トボトボと宿屋の自分の部屋に戻り、ベッドに倒れ込む。
皮袋から【三面鏡】を取り出して月光にかざしてみる。中央の鏡には、垢抜けない素顔の私が、不安そうな顔で映っていた。
「……三面鏡さん。私、これからどうすればいいの? 素顔の私は『平庸な町娘』で、変身した私は『運命の番』……。こんなの、絶対にバレちゃダメなやつじゃないの」
問いかけても、三面鏡は静かに淡い光を放つだけだ。
当然返事などあるはずもない——と思っていた、その時。
『——警告。異界の不条理を検知』
「ひゃい!?」
頭の中に、突然三面鏡の厳かな声が響いた。いつもと違う、切迫したトーンだ。
『覇王の血を引く者を追い、魔界の追跡者がこの次元へ接近中。持ち主よ、警戒されたし』
「は、覇王の血……? 魔界の追跡者……!?」
意味が分からず目を白黒させる。
修道院を追放されたただの孤児に、魔界だの覇王だのと言われてもスケールが大きすぎてピンとこない。
(な、なにかの聞き間違いよね? 鏡の故障かしら? 覇王なんてお話の中の怪物、いるわけが——)
そこまで考えた瞬間、ズシン……と、街全体を揺らすような地鳴りが響いた。
先ほどの魔狼の襲撃とは比べものにならないほど不吉で、ドロリとした重苦しい圧迫感が空気を支配する。
窓の外を見ると、夜空に突如として「真っ赤な亀裂」が走り、そこから黒い霧が街へと流れ込んできていた。
「見つけたぞ……我らが覇王様の、愛しき幼姫のお命……」
地底から響くようなおぞましい声が、街中に響き渡る。
黒い霧の中から姿を現したのは、全身に鋭い角を生やした、異形の巨大な悪魔だった。
(嘘でしょ……!? 今度は本物の魔界の悪魔!?)
宿屋の窓ガラスがバリンと割れ、強風が部屋の中に吹き荒れる。
素顔のアリアのまま震える私の胸の中で、三面鏡がこれまでで最も強く、激しい紫色の光を放ち始めたのだった。
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地底から響くおぞましい声。黒い霧の中から姿を現したのは、全身に鋭い角を生やした、異形の巨大な悪魔だった。
(嘘でしょ……!? 今度は本物の魔界の悪魔!?)
素顔のアリアのまま震える胸の中で、三面鏡がこれまでで最も強く、激しい紫色の光を放ち始めたのだった。
【作者より】
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正体を隠したいポンコツ変身少女×一途すぎる最強竜騎士の、勘違いから始まる爆笑&胸キュンハイファンタジー・ラブコメ!
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