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お喋りすぎた追放聖女、実は魔界を統べる神の愛娘でした〜姿を変える呪宝で理想の美少冷酷な竜騎士団長に「俺の番(つがい)を見つけた」と溺愛されています〜  作者: インフィニティ・G・イプシロン


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第1部   第3章   第1話  高濃度魔力の正体は私です……

【読者の皆様へ】

ご訪問ありがとうございます!


~『死の森』で、古代の遺物『幻影の三面鏡』を拾ったアリス。それはなんと、思い描いた通りの姿へ変身できる神の道具だった!


「待ってくれ! 我が番ーーーっ!!」

背後から響く、竜騎士団長ルシアンの必死の叫び声を振り切り、アリスは暗闇の中に飛び込んだのだった。~

「ハァ……ハァ……! ここまで来れば……っ!」


表通りの喧騒から離れた路地裏の物陰に滑り込んだ瞬間、私の限界が訪れた。


『——限界時間を超過しました』


頭の中で冷たい声が響くと同時に、体に纏っていた紫色の光が弾けて消える。

ふっと視界が下がり、ずっしりとした重力感が戻ってきた。手を見れば、泥と汗で汚れた「素顔のアリア」の小さな手だ。着ているのも、いつもの修道院のだぼだぼな服に戻っている。


「はぁ〜〜〜っ! あ、危なかった……! あと数秒遅かったら、あのイケメン団長の前で『ぽん』って元の姿に戻るところだったわ……!」


壁に背中を預け、ずるずるとその場に座り込む。

急激な魔力酔いと疲労感で、全身の力が抜けていくようだ。変身中の私はあんなに圧倒的な魔法を使えたのに、今の私はただの貧弱で腹ペコな17歳の女の子。このギャップはさすがに身体にこたえる。


(でも……なんとか街を守れてよかったわ。あのお母さんと子供も助かったし……)


荒い息を整えながら皮袋から【三面鏡】を取り出す。

中央の鏡は少し曇っており、右側の鏡には『魔力充填中』という文字がうっすらと浮かんでいた。どうやら一度大きな魔法を使うと、しばらくは再変身できないらしい。


(危ない危ない。計画的に使わないと、いざという時に痛い目を見るわね)


その時——路地の入口から、ガチャリと重い甲冑の音が響いた。


「……誰だ。そこにいるのは」


(ひぇっ!??)


身体が硬直する。

暗闇の中から姿を現したのは、先ほど私を抱きかかえていた竜騎士団長——ルシアン様だった。

手には銀の長剣が握られており、そのエメラルドグリーンの瞳は鋭く暗闇を射抜いている。逃げた「銀髪の美少女」を追って、この路地まで探しに来たのだ!


(ヤバいヤバいヤバい! 隠れる場所がない!!)


「な、なんでもありません! ただの通りすがりの、お腹を空かせた町娘です!」


私は慌てて頭を抱え、必死に小さくなった。

ルシアン様は警戒したままゆっくりと近づいてくると、剣を引いて私の顔を覗き込んだ。


「……お前は。昼間、街で会った娘か?」

「へ? あ……はい! 団長様に『どこにでもいる素朴で平庸な娘』って言われた者です!」


思わず皮肉が口をついて出たが、ルシアン様は怒る風でもなく、拍子抜けしたようにふっと息を吐いた。


「すまない、脅かすつもりはなかった。……怪我はないか? 先ほどまで、この付近に恐ろしいほどの高濃度魔力が渦巻いていたのだが……見ていないか?」


(高濃度魔力の正体、目の前に座り込んでる私です!!)


「い、見てないです! 私、怖くてここでじっと縮こまってただけで……!」

「そうか……無理もない」


ルシアン様は剣を鞘に収めると、私の前に片膝をついた。

月光に照らされた彼の横顔は、疲労と……そして深い落胆に彩られていた。昼間の冷酷で威厳ある団長の姿とはまるで違う、傷ついた一人の青年の顔だった。


「……また、取り逃がしてしまった」

「え……?」

「俺の『番』だ。あの素晴らしいお方は、俺を助けたあと、またしても煙のように消えてしまわれた……。俺の力が足りないばかりに……」


ルシアン様は頭を抱え、深々と溜め息をついた。

その背中は、驚くほど小さく見えた。


(え、えぇ……? この人、さっきまで無敵の強さで魔物の群れを薙ぎ払ってたのに……私(変身後)に逃げられただけで、こんなに落ち込んでるの……!?)


「団長様……その、そんなに大事な方なんですか? その銀髪の女の人……」

「大事、などという言葉では言い表せない」


ルシアン様はまっすぐに私(素顔)の目を見つめてきた。その熱量に、私は思わずドキンと胸を打たれる。


「俺の家系は『竜の血』の呪いにより、運命の番に出会わなければ、いずれ魔力が暴走して狂い死ぬ運命にある。……だが、それ以上に。あのお方の放つ温かく力強い光に、俺の魂は一瞬で救われたのだ。あのお方こそが、俺の生涯の光なのだと」


(呪い!? 狂い死に!? ちょっと待って、そんな重すぎる裏事情があったの!??)


ただのイケメンの妄想癖だと思っていたのに、まさかの「命がけの切実な事情」が発覚してしまった。


「……すまない、見ず知らずの娘に重い話をしてしまったな」

「あ、いいえ……」

「夜道は危険だ。街の騎士に命じて、宿まで送らせよう。……俺は、もう少し彼女を探す」


そう言って寂しげに立ち上がるルシアン様の背中を見つめながら、私は複雑すぎる感情で頭がいっぱいになっていた。


(どうしよう……! 私が「あの時の銀髪の美女」だって言ったら、この人の命は助かるの……? でも、言ったら言ったで正体が「追放されたポンコツ孤児」だってバレて、大惨事になりそうだし……!)


素顔の私と、変身後の私。

重すぎるイケメン竜騎士団長と私の、奇妙で歪な関係が本格的に動き出そうとしていた。


©2026 [インフィニティ・G・イプシロン]. All rights reserved.

~正体が「追放されたポンコツ孤児」だってバレて、大惨事になりそうなアリス。

重すぎるイケメン竜騎士団長と私の、奇妙で歪な関係が本格的に動き出そうとしていた。~


【作者より】

最後までお読みいただき、ありがとうございます!


正体を隠したいポンコツ変身少女×一途すぎる最強竜騎士の、勘違いから始まる爆笑&胸キュンハイファンタジー・ラブコメ!

「面白い!」「続きが気になる!」と思ってくださった方は、

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続きはこの後、本日、18:30 にお届けする予定です。

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