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【オリジナル/本編】高身長ショートカット38才シングルマザーが、プロ野球入りを目指す高校3年生のぼくを好きになった  作者: @FITabc


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野球少年のようにボールを追っかける幸せな日々

前章までは、

怪我を忘れさせてくれるイベントがたくさんあった。


奈央子とデートした。

手を繋いで水族館を歩いた、灯台で南京錠をかけた、そして二人の約束。


小谷君が道に迷いながらも泊まりに来てくれた。みんなの笑顔、小谷君たちとの恋バナ。


みんな、ありがとう。


アキラもユージも、エヌエヌエス東海の内定をもらった。

プロ志願は届は出さなかった。

ユージはプロ入りを目指していたから、忸怩たる思いはあったろう。

しかし、それは忘れた。

アキラとユージの大恩人、エヌエヌエス東海野球部を都市対抗野球で優勝するために貢献すること。

アキラと誓った。



早くも、10月中旬になった。


ユージは肩の痛みも取れ、筋力と柔軟性が左右均等になるようにトレーニングをしている。

そして、軽いキャッチボールから8割程度の強さでボールを投げている。

回復はかなり早い方だ。

主治医の森田先生によると肩周辺の筋力バランスもかなり改善されているとのこと。


ドラフト会議が終わることには、バッティング練習もできる。


左右両方打ちのことを先生に話をしたら、ナイスアイデアとのこと。推奨してくれた。

左打ちから練習するといいとのアドバイス。

まず、神経から筋肉へ指令を送る機能を回復させる必要があるが、右はすぐ戻る。左は一からの積み上げだ。



中野高校グラウンド。

ユージとアキラは一緒に練習している。ひとつひとつフォームや結果の確認と反復だ。


アキラ

「トルネードもだいぶコントロールがついてきたけど、まだ暴れるんだよ。」


ユージ

「カナに投球フォーム見てもらった?」


アキラ

「たまに足の位置がずれるらしい。フォームの再現性が落ちているみたい。練習しかないな。」

「ユージはどうなんだ?」


ユージ

「来週からボチボチ始めるよ。

いま、映像を頭に入れているんだけど、アキラ、これ見て。


左肩の棘上筋きゃくじょうきん部分断裂はほぼ完治しているみたい。

でも以前と同じようなフォームだと再発が怖い。


そこで考えたのが、左右打ちさ。スイッチヒッターてやつ。」


アキラ

「うん、うん。」


ユージ

「リコとカナがこれを見せてくれて。

トップが小さく、肩を大きく開かない。バットの軌道がスムーズで、腕に無理がない。肩周りの筋肉を固めないようにするんだ。

この要素が、再発を防げるらしい。

参考にしたのが、立浪さんのフォームなんだよ。これ。」


アキラ

「そうか。うん。いいと思う。一緒にがんばろう。」



10月23日。

明日から、100%でバッティング練習をしていいとの許可が出た。


そうだ、10月23日といえば、ドラフト会議。

井伊家と水島家、鈴木家も、水島家に集まりネットを見ていた。


小谷君は、もし指名されたら、どこの球団でも行くが、皆と近くにいたいから、できればドラゴンズがいいなとかわいいことを言っていた。しかも全国ネットのテレビで。

ほんとうはリコの近くが良かったということだが。


ドラフト会議が始まった!


第1巡選択希望選手、司会の声が響く。


中日ドラゴンズ、知多医科大学付属高校、小谷周平選手 投手、


読売ジャイアンツ、阪神タイガース、北海道日本ハムファイターズ、埼玉西武ライオンズと5球団が指名し、会場がどよめいた。


画面に小谷君のアップが映し出される。

大きく息を吐いている。


ただいまより抽選を行います。

抽選箱が運ばれ、代表者が前へ出る。

くじを開ける。


ドラゴンズの井上監督が肩を脱臼しそうな派手なガッツポーズ!!

ドラゴンズが交渉権を得た。すごいどよめき。中日ドラゴンズは地元のスター、小谷君を何としても欲しかった。


少し落ち着いて、井上監督のインタビュー。

「小谷君、待ってるよ!」


画面が変わって、小谷君のインタビュー

「うれへいです。ドラゴンズさんは地元のチームなので、みんなに愛される選手になりたいです。」


皆、顔を見合わせた。

「おい、周平、うれしいを、うれへいって言わなかったか?」

「いや、まさか。全国ネットだぞ。」

「あいつなら、わざともありだし、意図せずもありだぞ。」

「だから日本語勉強しろといったのに。」


真実はわからないが、皆が頭を抱えた。


少しして、ネットがざわめき始めた。

「うれへいってなに?」という投稿が一気に増え、トレンド入りした。


「うれへい」

「小谷うれへい」

がバズッた。




10月24日、今日からユージの本格的な練習だ。


ユージの左右打ちのフォーム改造メニューと、アキラのトルネードのブラッシュアップメニューも、リコ、カナが作った。自主練習メニューだ。


会社側は、入社前に怪我をさせたくない一方で、会社側が押し付けたとなると労働とみなされるため、あくまでも自主練習、無理をしないようにとの立場。

しかし、長田監督と中西マネージャー、知多医科大学付属高校の監督などは、リコ、カナの存在を認めており、いまや愛知県高校野球界の先駆け的アナライザー兼マネージャーとして知られ、教えを乞う高校もちらほらである。



アキラはピッチングとその土台となる足腰の鍛錬を。

ユージは左打ちの習得と右打ちのフォーム改造に地道に取り組む毎日。

しかし、二人ともそれを試練とは全く思っていない。


毎日二人で遅くまで、取り組んでいるが、小学生のころの野茂対立浪ごっこを暗くなるまで続け、中学生で初めて二人一緒に野球部に入って感じた幸せな日々。

それを思い出したかのように、いつまでも飽きもせず、ボールとバットで戯れていた。

日が落ちて、ボールが見えなくなるまで。

いつまでも。いつまでも。



ドラフト後、小谷君が家に来た。

「ユージ、ハッシュタグが自然発生してんだ。なんだこれ?」

 #うれへい、#小谷うれへい #小谷周平


しかも、うれへいTシャツまで出来ちゃって。


小谷君

なんでだよー


ユージ

いいじゃないか。開幕前に人気爆発で。うれへい誤算だろ。


この章はここまでです。


あ、大事なことを言い忘れました。

その後、愛知県民の一部の間では、うれへいが新しい挨拶になりました。(フィクションです。)



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