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【オリジナル/本編】高身長ショートカット38才シングルマザーが、プロ野球入りを目指す高校3年生のぼくを好きになった  作者: @FITabc


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(最終章)ユージのプロポーズ。そして4年後。

ユージは卒業し、6章でリコにからかわれた思い出のウオン小高のジュエリーショップ。

入社式前のユージが、奈央子の手を引っ張って店に入る。


「ユーちゃん、どうしたの、急に。」


「いいからきてよ。指輪選んで。二人の結婚指輪買おうよ。」


「え?」


店員

「お客様から、この中から選ぶから、準備しておくようにと申し受けております。」


ユージ

「奈央ちゃん、結婚するから、指輪ないとね。」


突然のことに驚いた奈央子。

「順番ぐちゃぐちゃ。まだ、私たち、正式にお付き合いもしていないし、プロポーズも受けていないわよ。」といったものの、

胸がいっぱいになり、涙が溢れたが、すぐに拭った。


涙を流すのは、ユージのプロ入りが決まった時と決めていたからだ。

 

「そんな手続きがなくても、この1年、ぼくらは誰にも恥じることがない関係を築いてきたし。」

野間の灯台での約束だって、それをしっかり守ってきたよ。」


野間の灯台での約束は7か月前に18章の中で奈央子と交わした大切な思い出。

振り返ると次の通り。

奈央子は、思わずユージをぎゅっと抱きしめた。

ユージも奈央子を抱きしめた。


「奈央ちゃん、今日はありがとう。

このままずっと、出来れば朝までこうしていたいけど、アキラもパパもママも、奈央ちゃんを信頼している。

それを裏切ると奈央ちゃんがどこかに行っていなくなる気がする。それだけは絶対に嫌だ。」

と。


二人は7か月前の、この約束をきっちりと守った。


「そうね。」


奈央子は、

19章でのデートの帰りの車中で、聖子ちゃんのPresentプレゼントという曲を聞きながら、やりとりを思い出していた。


♪リボンをほどいたら金の細いネックレス。安物さと照れた彼。嬉しかった。バイトしてると聞いてたわ。私のために無理させてごめんね。(作者解釈)


その時の二人のやり取りは、

「ぼくは、まだ奈央ちゃんに何もプレゼント出来ないね。」


「いえ、たくさんプレゼントもらってるわ。

身の丈と言う言葉を知ってるでしょ?

できる範囲でいいのよ。」

であった。


すると、

この曲が頭の中を再びぐるぐる回り、1年の思い出が走馬灯のように走り抜けた。

怪我などのつらいこともあったけど、楽しいことのほうが多かった気がする。

ユージとなら今後楽しいことばかりだろうな。

と、思ったらもう我慢が出来ず、拭っても拭っても涙が止まらなくなっていた。

ユージと堂々と結婚し、ずっと一緒にいられることが、本当に嬉しかった。


恋愛すれば辛いこともある。しかし、それ以上に楽しいことのほうがはるかに多い。



さて、

ユージとアキラは、エヌエヌエス東海に正式に入部した。

アキラは、トルネード投法を完成させた。球速は軽く150キロ台が出るようになった。

アキラ本人が気が付いていなかった関節の柔らかさが、この投法にあっていたのだろう。

変化球は野茂さんと同じフォークを決め球とした。

中西マネージャーから、常に指にボールを挟むようアドバイスされ、ハンググリップで握力を鍛えた。

2年目からは先発も抑えもこなすチームには、なくてはならない存在に。


ユージはというと、

2年目の都市対抗では、守備要員であったが、その後、打棒が開花。

都市対抗後の社会人野球選手権では、2番セカンドで先発、ベスト8入りに貢献した。

ユージはスイッチヒッターとしての地位を完成させつつあった。肩の心配も全くない。

相変わらず筋トレをしているが、怪我の予防と左打席の不利を解消するため、コンパウンド種目(1種目で多くの筋肉を刺激する)トレーニングに力を入れている。

そして、立浪さんのフォームをまねて、インパクトまで最短距離で、かつ最大スピードが出ることを意識してたどり着いたフォームの結果、スイングはコンパクトだが強い打球が飛ぶようになった。


長田監督は、想定以上の2人の成長に、驚愕し、

あの二人はよく練習する。

好きこそものの上手なれとはよく言ったものだ。

人は、好きなことには自然と熱心に取り組むので、上達も早いということなのだが、ユージたちがまさにお手本になっていると感心した。


ユージ、アキラ達の真摯にしかも楽しいながら野球に取り組み姿に影響を受けたのか、エヌエヌエス東海は、3年目から快進撃が始まった。都市対抗野球では準優勝。アキラが先発と抑えを両方こなし2勝をあげ、ユージも左右で2ホームランを放った。そして、公立中野高校の同級生コンビとして、全国にその名をとどろかせた。


小谷君は、ドラフト1位で中日ドラゴンズに入団したことは衆知のとおりだが、1年目は2軍、2年目の夏から1軍に帯同するようになり、その年は初勝利の1勝のみだったが、3年目はブレークし8勝3敗と好成績をあげた。

申し添えておくが、球団側は真面目に集客を狙って、小谷周平をうれへいで登録しようとしたが、小谷君が、そ、それだけは勘弁してくださいと球団に言ったとか言わないとか。今では都市伝説である。


その3年後のドラフト会議。

水島アキラは、小谷周平を追いかけるように、ドラフト1位で中日ドラゴンズに入団した。3球団競合の末、またしても井上監督が引き当てた。

ユージは、長田監督の約束を守るため、プロ志望届を出さなかった。


そして4年後・・・

都市対抗では見事にエヌエヌエス東海は優勝。アキラの抜けた後でも、戦力は全く落ちていなかった。というよりさらに底上げされていた。名実ともに、いまは日本一の社会人野球チームだ。大会でユージは5本塁打、打率5割を超えた。


ここは、ユージの自宅。(といっても社宅だが)

都市対応も終わり自宅でくつろぐユージ。

テレビでドラゴンズを応援している。


9月23日、首位の中日ドラゴンズと2位の阪神タイガースは、ゲーム差0.5の熾烈な優勝争いを演じていた。

この試合に負けると、首位が入れ替わる。


試合は、2対0でドラゴンズの投手リレーで完封勝利。


川伊ユージ

「奈央ちゃん、ドラゴンズ勝ったね!」


川伊奈央子

「ええ。子供たちも寝る時間だけど、今日は特別ね。」


ヒローインタビューが始まった。


双子の子供たちが叫ぶ。

男の子の名は優、女の子は菜緒。ユージと奈央子の子だ。3才になる。

「アキラお兄ちゃん、うれへい(呼び捨て)」

菜緒は喜んでぴょんぴょん跳ねる。


4年目の小谷君は、開幕投手を任され、14勝をあげるドラゴンズのエースに成長。

アキラだが、プロの道は甘くはなく、なかなか1軍に上がれなかったが、8月見事から急成長。投手の台所事情が厳しいため、大事な場面で今日プロ初登板だったのだ。井上監督の采配が当たった。


ヒーローインタビュー

「見事な完封リレーで、ドラゴンズの首位を守ってくれた二人に来てもらいました。

 小谷周平選手と水島アキラ選手です。水島アキラ選手は今日、プロ発登板、初セーブです。」


そう、ふたりはもはやドラゴンズの顔だ。ファンはアキラのトルネードを1軍でみることを渇望していた。

ものすごい歓声だ。二人ともイケメンなので人気もすごい。


インタビューが続く。

そして、

「水島選手、プロ初登板初セーブおめでとうございます。一言お願いします。」

「皆さん、ありがとうございます。まだスタート切ったばかりなので。でも、ここまで来れたののは皆さんのお陰です!最後にいいですか。メッセージを伝えたい人がいます。」


インタビュアー

「もちろんいいですよ。どうぞ!」


水島アキラ

「ユージ、そっちでテレビ見てるんだろ?こっちで待ってるよ。」


小谷選手

「あ、俺も言いたい。」

「ユージ、早くドラゴンズに来い。勝負だぞ。」


ユージ

「あちゃー、ドラゴンズに入団したらチームメイトになるから、勝負できないだろう。」


相変わらず天然は治っていない。


二人の子供

「お兄ちゃん、うれへい(呼び捨て)、パパ呼んでるねぇ」

優が奈央子を覗き込む。


ユージ

「あー、必ずまた3人で野球をやろうぜ!」とテレビに向かって語り掛けた。


おわり





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