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【オリジナル/本編】高身長ショートカット38才シングルマザーが、プロ野球入りを目指す高校3年生のぼくを好きになった  作者: @FITabc


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カップルが結ばれる南京錠の伝説

今日、奈央子とユージは、知多半島をドライブデートだ。


そして、美浜ビーチランドの水族館を見ている。

奈央子は、ユージの人差し指を、親指と人差し指でつまみ、

二人並んで歩いてる。


突然、

「ユーちゃん、手、繋ごっか?」


ユージ

「うん」


二人手を繋いで歩き出した。

急にユージが、奈央子の手をユージの胸のところに持ってきた。


奈央子が、え?ユーちゃん何?ドキドキする奈央子。


すると、

「奈央ちゃん、手が大きいね」


まあ、女の人にそうゆうことを言ったらだめよと言おうと思ったら、


ユージ

「いいな。大きな手で。

ぼく、中学で野球始めたとき、ピッチャーやりたかったんだけど、手が小さいし、身体も小さいし、やせていたから、先生にセカンドやれって言われたんだ。

だから、アキラが羨ましかったし、特別な人しかピッチャーは出来ないのかなと思ったよ。

野球の神様は僕には味方していないって思って。


今度は、神様が僕から野球を奪うのかな?」


ユージは、静かに言った。

奈央子は、胸が締め付けられた。


試合ではあんなに輝いていたユージも野球のスタートはそんなことがあったんだ。

それから頑張ったんだね。並大抵な努力ではなかったはず。


奈央子は、

「ユーちゃん、野球の神様はいい人よ。そう、信じましょう。」


ユージ

「ん?」


奈央子

「え?」


ユージ

「ねえ、野球の神様って人?人間?

だっていい人っていうから。」

と声をあげて笑った。


奈央子も一緒に笑った。


それから、ずっと手を繋いで歩いた。


海鮮フライを食べて、イルカのショーを見た。

イルカに触れたり、ペンギンに触れたり。2人とも楽しかった。



「次どこに行く。」


「海行きたい。内海海岸へ行こうか?」


「いいわね。海の家で海風にあたりながらゆっくりしましょうか?」



内海海水浴場は、千鳥ヶ浜とも呼ばれ、広い砂浜で、夏は海の家・シャワーなど設備が充実している。

日はまだ高いが、広い砂浜が開放的で、二人を海岸へ誘った。


波が海岸に打ち寄せる音。 


奈央ちゃん、野茂やって!

野茂?どうやるんだっけ?

こうだよ。

こう?

そうそう。

じゃあ、ぼくは立浪ね。野茂対立浪。

そういえば、アキラとよくやっていたわね。

奈央子と野球の真似事をするユージ。


しばらくして、立浪の真似をしていたユージが急に「ん~」と何かを考え始めた。真剣な顔で。


奈央子が驚いて、どうしたとユージを覗き込む。


「奈央ちゃん、ぼく復活出来るかも。」


「え?」


「立浪さんみたいに左で打つ練習する。右がなおればスイッチヒッターになれる。」

多くは語らなかったが、強い意志をかんじる。


「難しいことはわからないけど、野球の神様からお告げがあったの?」


「違うよ。ぼくの女神様。」

とにっこり笑った。



日も落ちてきた。奈央子とユージは、野間埼灯台のカフェにいる。

白い灯台と海の景色が美しい人気スポットである。夕方は特に雰囲気が良く、休憩に最適。砂浜もあり、軽く海辺で遊ぶこともできる。


「ユーちゃん、私ね、ちょっとしたことだけど報告があるの?」


「なになに?」


「今務めている会社ね、小さいけど業績がよくて。総合職が必要ということで、一般職から総合職に職種転換する募集があって、それに受かったの。」


「総合職?それって社長になれるの?」


「アハハ。まあ、可能性は高くなるかな?でも、お給料は上がるのよ。」


「わー、よかったよかった。」


「私ね、最初は家計の足しにと思ったの。でも、そう思うと、プレッシャーきつくて、最初の1年はダメだったの。つまらないし。

でもね、ユーちゃんやアキラ見ていたら、少しずつでも積み重ねればできるかなと思ったわ。少しずつね。そして、気がついたら、上手くいったの。近くにユージという良い見本がいたの。ありがとう。」


照れるユージ。

奈央子がそう言ってくれて嬉しかった。


日もだいぶ低くなってきた。


「ユーちゃん、ここから外に出て、灯台に行こうよ。」


「うん」


そこには、モニュメントがあり、南京錠をかけると、カップルは結ばれるという伝説がある。


「ユーちゃん、知ってた?」


「知らない」


奈央子は、少し間を置いて、

「どうする?」

 

「鍵かけたいかな。」

すごくかけたいのに、わざと控えめなふりをするユージ。


「わかったわ。でも、2人だけの秘密よ。いい?」


「うん。」

 

二人の秘密。ユージは嬉しかった。

奈央子がいままで以上に近く感じた。


時間も夕刻。夕陽がだいだい色に輝き、空が同じ色に染められる。海もキラキラと輝いている。船が遠くに見える。


「綺麗ね」

奈央子が夕陽に染まる空の海を見て思う。


ユージは明日からまた、夢に向かって走り出すだろう。 

手が小さいと言われて、ピッチャーを取り上げられ、野球まで取り上げることは、野球の神様とはいえ、私が許さない。 


そして、夕陽を見て何かを決意しているようなユージ。


奈央子がユージを意識するようになってから、少し大人びたように見えるユージ。

ホームランを豪快にかっ飛ばしても、相手を優しく思い遣るところ。

デリカシーの無い物言いで、笑わせるところ。

そして、野球の神様は、ぼくに味方しないのかな、と奈央子にだけ見せる切ない表情。

ユージの全てが愛おしい。


ユージ

「見ててね。これからも、ずっと野球をがんばる。野球が大好き。」


それを、聞いた奈央子は、思わずユージを抱きしめた。



この章はここまでです。読んでくれてありがとうございます。


次の章から

ユージもアキラも、人生の分かれ道に差し掛かります。

新ライバルの小谷くん、社会人野球チームの長田監督が登場します。


お楽しみに。




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