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【オリジナル/本編】高身長ショートカット38才シングルマザーが、プロ野球入りを目指す高校3年生のぼくを好きになった  作者: @FITabc


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15/22

診断結果は、左肩の棘上筋(きゃくじょうきん)部分断裂です

4回を終わって、1対3と2点をリードされた中野高校。


5回以降、中野高校は、小谷対策が功を奏し、ヒットも打つ。単発ではあるが。

アキラは、点を取られてからは持ちこたえ、無失点に抑えている。


6回表の中野高校の攻撃は、1アウトランナー無しでユージに回ってきた。

小谷は全て速球勝負。しかもコーナーを突こうなど考えてない。

それを全て振りに来るユージ。

ファールが6球続いた。


「タイム」

伝令だ。


「熱くならずに冷静に打ち取ろう。」

ごもっとも。   


頷く小谷。

それを見て、監督がほっと一息。


しかし、キャチャーのサインに3度首を振る小谷。

嫌な予感がする知多の監督。


ユージ

「ストレート勝負来いよ。小谷君。」とつぶやく


小谷が投げたのはド真ん中のストレート。

監督が思わず、あっと言って腰を浮かせた。


ズバーン!

空振り三振!


知多の監督は、

ハハハハハ、小谷、細川以来のライバルを見つけたな。川伊君の打席はノーサインにするから。好きに勝負しなさい。

と、つぶやいた。


子供を信じるとか、そんな綺麗事では無い。

野球人として、スポーツマンとして、小谷の純粋な勝負したいという気持ちがわかるからだ。

大人はその場を与え、子供の成長を見守る。勝ち負けなんて10年早い。


今回はユージの負け。これで2アウト。


ベンチに戻り、ユージは小谷を見た。

小谷もユージを見た。


ふたりとも楽しそうにしている。


ユージのファン、小谷のファンがキャーキャー騒いでいる。


お互いに譲らず、1対3のまま、

8回2アウトランナー1塁になった。


再びバッターはユージ。

一発出れば、同点。

応援団は、ユージに期待する。


ユージが打席に入る。

小谷がストレートを投げ込む。

空振り!


その瞬間、ユージの左肩に電気が走った。

「あっ!」と声を出して、肩を抑えた。


小谷が、ユージの異変を感じ、無意識に「タイム!」と叫んだ。


その直後、ユージがしゃがみ込んだ。


タダならない小谷とユージの様子に、敵である知多医科大付の監督が、大事をとって担架を要請。


中野高校の選手達が駆け寄ろうとする。


小谷が叫ぶ。「動かすな!」


ユージが痛みに耐えながら、

「あ、ありがとう、小谷くん。でも、大丈夫。」


「その状態で、オレのストレートは打てないだろ。」


「ソレもそうだ。イタタ。」


球場の職員、看護師も駆けつけ、応急処置を施していると、救急車のサイレンが聞こえてきた。

ざわめく球場。


ユージの母と奈央子はオロオロしている。

ユージの父が、

「命に別状はない。心配しなくていい。これ以上痛めた所を悪化させないよう、高校生の場合、救急車を呼ぶことは、珍しくないよ。」


リコが席に来た。「パパ、ママ救急車に乗って。」


ユージの父

「わかった。リコは残りなさい。奈央子さんを頼みますよ。」


奈央子

「私も行きたい。」


ユージの父

「ありがとうございます。でも、アキラくんも、カナさんも戦っている。残ってあげてください。」


そこに、カナの両親が駆けつけた。


ユージの父

「あー、よかった。奈央子さん、リコをたのみます。連絡先はリコに送ります。」


救急車で病院に搬送されたユージ。両親も一緒だ。

処置室に運ばれた。


両親は待合室で待っている。


ユージは治るのか?

手術しなければならないのか?

野球は出来るのか?


重苦しい長い時間が過ぎる。


「お父さん、お母さん、コンファレンスルームへ」


主治医は森田愛先生だ。女性だ。


ユージも処置が終わり、コンファレンスルームにユージが車椅子で入ってきた。


主治医になる森田です。

川伊さんの診断結果は、

左肩の棘上きゃくじょうきん筋(腱板)部分断裂(断裂寸前)です。肩甲骨と上腕骨をつなぐ4つのインナーマッスルの腱の複合体の異常です。


川伊さんの場合、右打者ですので、打つときのフォロースルーで左肩に強い負荷がかかります。

彼は特に力が強いので、その結果、腱板の一部が裂けかけました。


3人は、腱板の一部が裂けかけたと聞き息を飲んだ。

ユージは野球は?と聞いた。


森田先生は、わからないとのこと。


但し、完全断裂ではないため、手術をしないで済むかも知れないこと、リハビリ方法も確立されていることを話してくれた。

直って復帰した例もたくさんある。


一方で、治療の経過を見ながらの判断になるので、今は野球ができるようになるかはわからない、

また、再発リスクが高いことを知らされた。


少なくても、ユージの持ち味である、大きく振り抜くフォームには戻れない可能性が高い。


3人は言葉を失った。


リコから電話が来た。

試合は1対3で負け。

そして、奈央子、アキラ、リコ、カナ、米村監督が病院へ駆けつけるそうだ。


ユージは、試合が負けた実感が沸かない。野球が出来なくなるかも知れないショックも重なり黙り込むユージであった。


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