奈央子の大人なイメチェン
川伊家でのお食事会。
アキラとユージは焼き肉パーティーを所望したが、父賢一が、食べ過ぎて体調を壊してはいけないと、消化がよく、ビタミン、炭水化物、タンパク質がバランスよく取れる食事会になるよう提案した。
野菜やパスタ、鶏肉などを中心にしたメニューを考えて、美香、奈央子、リカ、カナが手料理を用意している。足りない分のお惣菜や牛肉は、男性陣が買いに行っている。
美香
「奈央子さん、髪形似合うわね。」
カナ
「服も似合います。スタイル良すぎて反則です。」
奈央子
「カナちゃん、はずかしい。」
リコ
「このパックのイチゴ牛乳おいしいわ。」チュチュ。
時間は、少しさかのぼる。
学校では、女子のユージ人気がピークになり、ユージのクラスに多くの女子が詰めかけるようになった。
野球部にとって、今は大事な時期なので、個人的な接触をしないよう、米村監督から各クラスに依頼が出ている。
さて、奈央子だが、長年アキラを育てるためにがんばってきた。
気が付けば40才手前の年齢になっている。
そこに現れた、ユージ。
正確にいえば、ユージのことは前から知っていたが、恋愛対象として、意識しだした。
年齢差という大きなハンデはある。
しかし、そんなことは関係なく、
自分を磨いて、ユージが好きになってくれる女性になりたい、
と奈央子は決めた。
奈央子は、食事会前に美容院に行った。
髪形を変えた。
後ろが短く、前に向かって少しずつ長く。
首元はスッキリ短めに。首が長く見えてスタイルが良く見える。
奈央子は背が高く、それがコンプレックスであったが、自分の体型を最大限生かすことにした。
髪色は黒。
リップは透明感のあるローズベージュだが、派手さゼロで、大人の肌に自然に溶け込んでいる。
自分らしくと考えた結果そうなった。
服は、白のノースリーブに、黒のワイドパンツをまとった。
話を食事会に戻すと、
男性陣は、お惣菜の他、タオル、日焼け止め、テーピング・バンテージ、消毒スプレー・絆創膏なども買ってきた。
「ただいまー」
「奈央子さんが来てるわよ。」
奈央子
「おかえりなさい。お邪魔しています。」
賢一
「モデルさんがきているかと思ったよ。」
見とれるユージ。声が出ない。
奈央子がユージに近寄り、
「お惣菜を冷蔵庫に入れるから手伝って」
と近づく。
「う、うん。はいこれ。」
二人で冷蔵庫に向かう。
ピンポーン
誰か来た。
カナの両親だ。
アキラが少し緊張している。
「初めまして。鈴木です。ご招待ありがとうございます!」
「こんにちは!アキラです。お父さん、お母さん、いつもカナさんにお世話になっています。」
「きみにお父さんと呼ばれる筋合いはないぞ。」
一瞬静かになる。
美香
「ユージ!」ユージがそういったのだ。
皆、大爆笑!ユージの一言で場が大いに和んだ。
「アッハハハ。アキラさん、はじめまして。カナの父と母です。お父さん、お母さんでいいよ。我々も鼻が高い。これからもカナをよろしくお願いします。」
ユージとアキラの2者連続ホームランを、カナの両親も見ていたのだ。
そのヒーローが目の前にいる。カナの両親も誇らしかった。
その場は大いに盛り上がり、大騒ぎだ。
お皿を取りに行ったところで、ばったり会ったユージと奈央子。
「奈央ちゃん、今日は。あの。」
「今日は?どうしたの?」
にっこり微笑む奈央子。
ドキン。
「奈央ちゃん、あの」
「ん?」
「いい香りがする。」
プッと噴き出す奈央子。
と、唇をあてた指を、ほっぺたに当てた。
頭が真っ白になったユージ。奈央子が去ったあとに、にやにやしながら立っているリコがいた。
「なんだよ!リコ」
リコが唇に指をあて、その指で大胸筋を指した。
「変態筋肉だらけ!」
また見られた。
ユージは思った。
奈央ちゃん、まじで勘弁してよ。
リコの前でわざとやってるでしょ!
でも、ユージはうれしかった。
食事会が終わった。
今度は祝勝会ということで、それぞれ帰った。
さあ、いよいよ4回戦。まだ4回戦といっても、次の対戦相手は、優勝候補の知多医科大学付属高校だ。今年は私学四強のなかでも頭ひとつ抜けているという評判だ。その理由はピッチャーの小谷周平だ。188センチ85キロから投げおろす速球は150キロはでる。変化球もいい。高校生ではまず打てないだろう。
次回は、小谷くんの初登場。




