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【オリジナル/本編】高身長ショートカット38才シングルマザーが、プロ野球入りを目指す高校3年生のぼくを好きになった  作者: @FITabc


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12/22

名門社会人野球チーム監督が見つけた才能

2回戦の外海大学附属高校戦をバックネット裏で見ていた人物がいた。 


ユージの全得点を叩き出す勝負強さ。高校生離れしたヘッドスピード。セカンドの守備で見せる俊敏さ。そして、俊足。

まだまだ荒いが、いやこのコはまだ伸びるとみた。


その男は、日本の経済を担う大企業、NNSの東海支社(エヌエヌエス東海)野球部監督、長田ヒロシだ。


エヌエヌエス東海は過去、社会人都市対抗野球選手権で、2度優勝経験のある名門だ。

日本のプロ野球だけでなく、日本代表、アメリカ大リーグに何人も送り出している。


地元の無名選手を育て、最強軍団を作り上げてきた地元密着型であるが、その強さは全国区のスポーツチームだ。地元の誇りである。だが、最近は低迷しているらしい。


そんな事情もあり、立て直しに白羽の矢が立った長田監督が、姿を消す前の地元の逸材を自らリクルートしているのだ。


長田監督が、目を奪われたのは、ユージの武士のような佇まい。ホームランを打っても、凡退しても、それを受入れ、表に出さない。

相手から尊敬され、味方からは慕われているのは、直ぐに、分かった。


「うーん、ウチの立て直しに必要な選手になる。是非欲しい。なんとしても。だが、残念ながら、プロに行くだろうな。」


この長田監督は、野球に関しては熱くなるが、面倒見が良く、日頃は吉本新喜劇を愛する可愛らしい人物である。



話をユージたちの予選に戻す。


時は7月11日梅雨明け前のどんよりした空。湿気が多い。


いよいよ3回戦。相手は、古城東高校。ここまで来る高校は、そこそこチーム力がある。

古城東高校は投手がいいので、そう簡単に勝たせてはくれないだろう。


中野高校の先発は中井。アキラが投げるときは、ファーストに入っている。中井もいいピッチャーだ。アキラはファーストに入る。5番バッターとして打つほうにも貢献してもらう。


これは、ラブコメであって、野球漫画ではない。

少しばかり、急がせてもらう。


先攻は、古城高校。中井の立ち上がりを攻め、1回表に1点先行。


4回に中野高校が、今大会絶好調の2年生蟹江が、タイムリーヒットで1対1。


その後、一進一退で7回表に中野高校はワンアウト満塁のピンチ。12塁間を抜けると思われるヒットをユージが追いつきファーストへ投げアウト。

しかし、その間ランナー一人が帰り、1対2でリードを許してしまう。ここでリリーフの水野に交代。

後続を抑えた。


しかし、中野高校は、相手の緩急織り交ぜる技巧派のリリーフにタイミングがあわず、1対2とリードを許したまま、9回裏を迎えた。


バッターは、ユージ。

いつもの通り、静かに打席に入る。

ピッチャーが投げた内角の3球目。コンパクトに振りぬいた打球は、キャンと音をたて、レフトスタンド最前列へ飛び込んだ。


今日一番の黄色い歓声があがる。


2対2同点。


次の打席は5番のアキラ。

打席に入り、コンコンとベースを叩き、バットを担ぐ。

ピッチャーがモーションに入ると、バットを立て、そこから振りぬいた。

ユージのような重量感はなく、軽く振っているような感覚。

カッキーンと甲高い金属音。ジャストミート。

打った瞬間にピッチャーは振り向きもせず、手を膝にやった。


サヨナラホームラン!


記録員としてベンチに入っているカナは?

私情を捨てて、さすが冷静に仕事をしている。


アキラが帰ってきて、みんな抱き合って喜んでいるが、ユージだけ輪の外。


整列と礼、握手が終わって、ユージは再び相手ピッチャーへ頭を下げた。


スタンドで今日の試合を見ていた奈央子と川伊家。

頼もしい二人の息子を見て、大はしゃぎすると思いきや、

「いい試合だった。奈央子さん、こうやって息子たちは成長していくんですね。」

と、しんみり話すユージの父、賢一。


奈央子も

「ええ、今日は本当にそれが実感できました。あの子たちは幸せです。」


美香が、

「パパ、奈央子さん。明日は休みだし、これから連戦が続くので、我が家でご飯にしましょう。」


「いいね。奈央子さんとアキラ君に是非来てほしい。」


「川伊さん、甘えます。」


「たくさん食べたらいい。あ、あと鈴木さんにも来てもらいましょう。」


「まあ、カナちゃんもアキラも大喜びしますね。ありがとうございます。」


さあ、試合を前にして、川伊家、水島家、カナんとこの鈴木家でご飯を食べることに。どんな展開になることやら。


そして、ユージ、アキラの人生を変える長田監督はもう少し後に登場しますよ。



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