街を目指して
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遠征22日目 夜 平原
今日の新人教育はおばさんだ。
俺はおばさんをできる限り丁寧に扱いいつものように見張りにつく。
そしておばさんと面談を開始する。
今回の情報収集の趣旨はお兄さんは囚人役、おばさんは看守役のコンセプトなのだ。
あのよくあるやつな。
今日もおばさんは後ろから引きずられないように必死でついてくる顔面のつぶれた元イケメソを馬車の中から眺めていただろう。
俺がそうなるように馬車におばさんを固定しているからだ。
イケメソがこけて死にそうになるのを死なないようにするのとイケメソに隠れておばさんに餌付けするのがなかなかめんどい、イケメソはなんでもしゃべってくれるしね。
そんな感じでおばさんにはしっかりと食事を保証する旨をいい、おばさんのケガも引き続き治療することを約束した。
遠征23日目 昼 村はずれ
目の前に村がある。
これがタールアッパーもしくはリンベルなのか?
部隊も停止し、作戦会議がはじまる。
俺はてっきり突撃すると思っていたので拍子抜けだったりする。
「目の前の敵の集落を攻撃する!!おそらく仲間の長命種がいるはずだ!!よってしっかりと相手を見極めよ!!!」
なんと、女王が真面目なこといってた!!!
おれもびっくり!!!
一同うなずく。
もはや村の名前なんてどうでもよかった。
不思議なのは俺たちの接近にも関わらず敵が一向にこないことだった。
俺たちは会議の後すぐに準備を終えて突撃を開始する。
のろい馬車は放置し走る!
遠征23日目 昼 村
一言で言えば悲惨だった。
村の中央に長命種のおっさんが磔にされており、鳥に襲われていた。
それ以外には人気がなかった。
俺たちはすぐにおっさんを救出したが意識がない。
馬車を回収し今日はこの村にとどまることになった。
だが俺はきっとこの村に軍勢が来ると思っていた。
今夜バイト達は脱落するかもしれない。
遠征23日目 夜 村
イケメソの話では俺たちが仲間を見捨てないことと素直なことからおっさんを足止めのために半殺しにして放置して撤退したとのこと。
ひどいことしやがる。
村には食料の類は一切なく、井戸の水もだめになっていた。
というのも、井戸の水を飲んだおばさんが残念なことに泡を吹いてバックレてしまった。
もったいないので見張りの時に検分することにした。
また会議で俺たちは明日も1日おっさんの回復を待つことにし、おそらく襲撃が来るので返り討ちにすること、火をかけられた場合ばすばやく逃げる旨を打ち合わせた。
俺は見張りの時間を動かなくなってしまったおばさんを検分しつつイケメソに体の構造を説明させ、再生魔法の練度を高めることに努めた。
バラバラになったおばさんの体は腐るまで俺の再生魔法のイメージアップのため取っておく。
病気に気をつけねばならない。
朝をむかえた。
翌日、一日一食の粗末な食事と毎日馬車にひかれているのに加えて昨日も俺のせいでほとんど眠れていないイケメソはみるからに消耗していた。
俺は襲撃があるかもしれないのでイケメソにかまってる余裕がなかった、なので見張りの時にはイケメソを散歩させに歩いたが、それ以外は休ませてあげた。
夜になっても襲撃はなかった、今日は休ませたからエサはあげないつもりだったが、一食だけ食わせた。
遠征25日目 朝 村
おっさんは意識を取り戻さない、だが俺たちは予定通りに出発することになった。
おっさんは馬車の荷台に乗せる。
準備していると敵が村を囲みつつあった。
いやな予感がする。
「(もし俺が敵ならまずは火攻めするな、だって井戸すらつぶしているんだから、もしそうなったら全力で逃げるっていう話だし今回は大丈夫か?だが火攻めはいやだな、やっぱ。あと長命種に俺みたいな個体がいるってことを知られたくないな。短命種には長命種はいつも汲みやすい善人っていう認識でいてほしい。イケメソはここまでか・・・)」
俺はぼそぼそ心の中でつぶやく。
ビュッ!!ヒュッ!ヒュッ!ヒュッ!
青空が一気にオレンジ色になる。
火矢が一気にきた。
俺たちは予定通り逃げる、一点突破だ。
同時にイケメソとのお別れが決まった。
俺たちはおっさんを守りながら、それぞれ敵から奪った物資を詰めたリュックをもち女王を先頭にして突破をはかる。
殿はバートンさん1300歳だ。彼の左手はグーしかできない。
正直リュックは短命種の物なのでいつもきついのが難点だ。
一点突破は簡単に成功した。
やはり矢をどんだけ射かけても槍や斧、剣を周囲に展開していると抜けようがないし、こちらの武器が消耗することもすくない。むしろ石のほうがいくらかうっとうしい。
だが物資は非常にもったいなかった。
俺が逃げる間際に振り返るとイケメソがハリネズミになり燃えていた、証拠が消えることを願う。
突破は容易に成功したが、ここからは追撃を振り切らないといけない。
だがこちらは徒歩、むこうは馬だ、いくらやつらの馬が俺たちからしたらポニーでも体力の関係上永久に逃げることはできない。
俺たちは村を抜けるとすぐに反撃にうつる。
俺たちを追い、矢じり隊形になっている敵に俺たちは反転した女王を先頭に突っ込む!
だいたいこのパターンだ。
そして敵の悲鳴と女王の高笑いその後に防具に守られた敵の胴体だけが舞う。
ある意味敵は失策したと思う。
村に火をかけたことで、敵は自らの背後に火を背負い、正面にはバケモノ。
背水の陣を超える背火の陣でもってどんだけ必死になっても竹槍でB29は落とせないのだ。
一方的な殺戮が続いた。
辺りは夕暮れになっていた。
「(もうだめだ・・・くたくただ・・・)」
疲れすぎて俺は倒れそうだった。
なんで女王たちはあんなに暴れまわったあとなのに清々しくしていられるのかわからない。
俺は最近単独行動が多かったせいもあり改めバケモノたちの戦いぶりを目の前にして、ただ恐怖するのだった。
遠征26日 朝 村はずれ
昨日の戦闘でくたくたになるまで戦ったが、寝過ごしを防ぐため、横にならずに休んだ俺は今日も体調が万全でないまま進むのだった。
遠征36日目 夕暮れ 郊外
イケメソが燃えるハリネズミにクラスチェンジしてから、2つの村の守備軍とたたかい同胞を救出して俺たちはとうとうタールアッパー目前にまできた。
ここまで大変だった。
戦闘は全く大変ではなかった。
村の守備軍は人員が全くおらず、残っていたのは明らかに逃げ遅れた老人や子供、奴隷の長命種だったからだ。
やつらは奴隷を人質にとるが動揺する仲間を無視して俺が速攻でナイフを飛ばして防いだ。
何人か人質が死んだが仕方なかった。
俺は戦友や家族が人質に取られれば躊躇するかもしれないが、見ず知らずの現地人が人質にとられれてもなんとも思わないタイプだった。
そんなさびれた村だったので物資もほとんどなく、人員が増えたことで俺たちの回復に影響を及ぼしていた。
加えてなんの罪もない兵士でもない置き去りにされた短命種の子供が仲間たちに惨殺されていくのを俺は耳をふさぎ目つぶって耐えるしかなかった。
明日攻める街の壁は高く。固定###と思わしき穴が無数に設置されていた。
正直攻略の糸口がみなかった。
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