無双は疲れる
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俺のはじめての警戒任務最終日の二日目。
勤務交代を目の前にして短命種の軍勢と思われるものを発見してしまった俺たちは、かつて逃げの一手とは真逆の徹底抗戦を選ぶのだった。
まだ敵とはかなり距離がある。
おそらく向こうからは見えていなかったんじゃないかと思う。
日が暮れ始める。
俺は殺る気マンマンの仲間に意見具申する決心をした。
「ジェシカさん(彼女が今回の最年長でありリーダーみたいなものだ)」
「マサちゃんなんだい~(俺は女みたいに金髪なのでちゃん付けされる)」
「このままだと夜になりますし。今日はこのままここで待ちませんか?腹減りましたし」
俺はなんとかこの戦闘本能に支配されつつあるバトルジャンキーどもに違う本能を訴えかけ、突撃を止めようとする。
時間を稼げば伝令が戦いたがりの仲間をつれてくるに違いないからだ。
「だ、そうよぉ~みなさんどうしましょ~?」
「そうだなー、飯があっても邪魔だしなー、だが待つのも見張りもめんどくせーしなー」
ジェシカの旦那の隻腕のダモンが答える。
タイラントのような筋肉隆々の左手にはどこから手に入れたのか不思議に思う巨大な剣をもっている。
どうやら飯を食ってもいいがはやく闘りたいらしい。
だがこうやって議論するおかげで時間が稼げる。
腐っても長命種、非常にのんびり屋なので基本、話し合いはじっくりだ。
優柔不断ともいえるが
「ほら、もう周りも暗くなってきてますし、食事にして交代で休みましょうよ。休んでる間に近づいてくるかもしれませんし。明るい時間から戦ったほうが見やすくて楽しいですよ!!」
俺は懸命に時間を稼ぐ。
「そうねぇ~、それでいいかしら~?」
「「そうだなー」」「「そうね~」」
ちなみに今回の任務は夫婦2組、男3、女1 である。
年齢層は1000オーバー4 500オーバー3 100オーバー1 そして俺だ。1000オーバーは建国時からの人間だったりする。
そしてせっかく休むのだから敵に寝込みを襲われないように、こちらから攻めたほうが気分がいい。
などと言い、焚き木をやめさせ、干し肉を食く。
黒い一団の方角がうっすらと明るく、やつらの様子を交代で見張りつつ、たぎったのか夫婦どもは敵が目の前なのにサカり、おれはもんもんと夜を過ごした。
翌朝
なぜ援軍がこないんだ。と憤りを覚えつつ俺は前進させられた・・・
戦いが待ちきれないバトルジャンキーどもは明らかに速いペースでうっすら明るい敵陣に向かっていく。
どんどん近づく、敵の歩哨を発見し、歩哨は叫び声をあげるまえに首がおかしな方向に向き倒れる。
歩哨撃破後からは俺たちは全速力で突撃を開始し、防御陣地の人員もサイキックで処理し、サイキックから漏れた敵は武器により処理され武器を奪われ物言わぬ死体となる。
防御陣地を越え、奪った敵武器を周囲に纏いながら、生物ミキサーと化したジェシカが雄たけびをあげて敵の群れにつっこむ!!
続いて大剣をゴミをはくように馬の前で左右にサイキックで振り、敵を斬るというよりなぎ倒しながらダモンが続く。
同様に仲間たちがそれぞれのスタイルでつっこんでいき、すでに惨状となっている現場から次々武器を奪い生物ミキサーにジョブチェンジしていく。
俺の目的は敵の処理ではなく生存なので、生物ミキサーのように魔力をガバガバ消費するわけにはいかず、武術を主体に100歳オーバーのサトーさん(男)のカバーにはいる。
サトーさんも生物ミキサーにジョブチェンジしているが若いためそこまで魔力量が多くない。
おそらく早々に武術戦に移行すると俺は予想している。
さらに一人やられるとその分おれの生存率はさがる。
俺たちは8人しかいないのだ!
突入してからしばらくして、仲間たちは敵の圧力の前に前進ができなくなり、ひたすら周囲の敵を屠る作業に入った。
俺が目視できる友軍はサトーさんだけだが・・・
今回の敵はちゃんと防具をつけている。
強行軍ではないらしい。
しかし背が小さいのでサトーさんが斧を横なぎに振るうと首がポンポン舞う。
サトーさんは斧を振るいつつ敵がサイキックで飛ばしてくる武器を斧で弾いたり、避けたり、サイキックで止める。
俺は回避主体で魔力を温存しつつ敵をかわしなるべく同士討ちさせ、サトーさんが処理しそこなった飛び道具を止めたり、土魔法で敵をこけさせ突撃してくるやつらを事故らせたりしている。
仲間たちは豪快に戦っているようだが俺はひたすら地味に戦っていた。
「あはははははははは!!」
キンッ!キンッ!!ブンッ!!!
ズシャァァァ! ぎゃあああ!
サトーさんの周囲である。
わーー! 「ふっ!」 ドスッ! ぐはっ どしゃ
う、うわっ ドテッ 「オラッ!」ドスッ!
俺の周囲である。
日は完全に上り、朝になった。
「(あー、しんどー、つかれた・・・ サトーさんも笑いが乾いてる)」
サトーさんは相変わらず楽しいそうに武器を振るっているがその顔は生物味がない。
俺たちが戦いつつ移動しそのたびにおびただしい死体の山ができる。
大地は血の沼と化し俺の土魔法による妨害はもはや意味を為さなくなっていた。
「(短命種には、恐怖はないのかな・・・明らかに地獄だろ・・・こいつら目が血走りすぎてて怖いし、雄たけびしかあげないし、なんかやだ・・・)」
俺は無理をしない戦闘スタイルのため、殺す作業になりつつある戦いに嫌気がさし集中力を欠きはじめていた。
「(あ!すごいことみつけた!!こいつら心臓無い!!!しかも脳もないぞ!!!腸はあるようだ・・・
骨もあるな。短命種は脳がない。俺らもないのかもな)」
こんなことを心の中でつぶやくのだった。
そんな中集中力を乱し、戦いをなめていた戦士に戦いの神にとる指導の一撃が下る!
ざくり。
仕留めそこなった死にかけに足を切られた。
「ちっ、死んどけ!」
ヒュン! グサッ! ぐぁ・・・
「(くっそ、まずった、足が。止血したいが、ザコがわらわら来る。援軍はよ)」
「いけーー!!!押しつぶせー!!!やつら魔力ないぞー!!!弱っているぞー!!!やつらを2連隊10大隊我ら3中隊でとるのだー!!」
俺はイライラして叫び、外道魔法の出力をあげていく。
「うぜーんだよ!!!わらわらと!!!個人に連隊ぶつけんなよ!!!ひきょうもんがーー!!!
燃えちまえーー!!」
俺は外道魔法の出力をどんどんあげ、活性化していく体を感じつつも疲労が蓄積していく不思議な感覚のまま敵の槍を燃やしはじめる。
そして柄に火が付いた槍を目についた天幕に、荷車に投げ込む。
もう味方が炎に巻き込まれることなんて無視することにした。
「火を消せーー!!! あいつをとめろーー!!こっちに部隊を回せー!!」
「(あー、疲れる、くっそ、俺は生き延びるんだよ!!!)」
俺の周囲で火災が発生し俺の熱で血濡れの大地から煙がのぼり凄まじい臭いがたちこめる。
煙で視界が悪くなりはじめ辺りが混乱し始めた。
もうサトーさんはどこにいったかわからない。
俺を中心とする視界の悪化のため俺への圧力が弱くなる。
俺は人間ホットナイフにジョブチェンジしどんどん突っ込み、首を水平チョップで焼き切り、武器を奪い着火し投げる。
あついあついあつい。ぎゃああああああ
煙に触れるな!!もえるぞ!!!!!ふざけんな!!
煙の中心にいるんだぞ!!!! もうやだ!!!
もうむりだ!!!!バケモノだ!!!
叫び声と怒号が聞こえる。
ガーン!ガーン!ガーン!
「退却ぅー!!たいきゃくだぁーー!! 敵の援軍だぁーー!!! いそげー!!」
先ほどの狂信的な攻撃がウソのように敵が踵を返して逃げ始める。
俺は足を負傷していることも忘れ、鬱憤を逃げる敵にぶつける。
俺の胸ほどの背しかない短命種の頭を掴み髪に火をつけ逃げる一団に投げつける。
外道魔法を解除しありったけの武器を投げつける。
防具に弾かれるものが大半だが運の悪い物は頭に、足に当たり崩れ落ちる。
俺は体力不足と魔力不足そして血液の不足によりフラフラと歩くのだった。
地獄の戦いが終わり、俺は生き延びた。
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