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でかい虎とタイマンしてみた

アクセスありがとうございます!


エリンに王都に行く際についてきてほしい旨を伝えたマサ。

しかし、エリンから答えを得ることはできなかった。

朝になり、集落のみんなで夜に収穫した肉を食い、前日に決めた森へ向け移動を開始するのだった。


ドッドッドッド


平原の彼方に狼煙のような煙が見える。

追ってだろう。だがかなり遠い。


俺たちは森へと入る。


俺は最後尾に立ち、木々に紐を張り、地面を泥にしていく。

たまに適当に木を切り倒し俺たちの通り道に置く。


森は追手の行軍速度が遅くなるメリットがあるが、デメリットもある。

俺たちの馬はデカく、荷物もあるため、ルートが限られる。

まぁ、たいしたデメリットではないが。


そんなふうにノロノロと逃げる俺たちの隊列の周りで俺はスタコラサッサと走り、罠を張る。


そして本日も無事に作戦会議を迎えたのだった。


「今のところ予定通りだ。明日の予定はこの地点だ。隊列順序は今日と同じだ。しばらく森だが、気を抜かずに進むぞ。見張りは3組を回す。1組は私とヌオー一家、タクレス一家、マサ一家。2組はカトー一家、レッド一家、ザク一家、バキ一家。3組はバルザック一家、スオウ一家、スズキ一家だ。よろしいか?」


一同うなずく。もちろん俺もうなずく。

「よろしい、では、見張り位置はここと、こことここだ。細部は各組で決めるように、ではゆこう」


俺たちはぞろぞろと森を進み見張りの位置を確認し、目印とを木々に残す。

森では魔物から子供を守らなければならないので、三角形のように布陣し、中心に子供や荷物を配置する。


見張りのために体力を温存した行軍だったためまだ明るい。

組での見張りの交代は回復したものから順次交代していく。


例えば1組でもっとも若い俺が最初に交代する。

交代相手は2組の最年長のカトー一家だ。

この要領で見張りを回す。

4家族いる組はその組でうまくやるようだ。


1組の俺はエリンを迎えにいき、定められた見張り位置へ位置へついたらすぐに焚き木の準備をする。

まだ明るいので木を組むだけだ。


森での見張りは平原での見張りと比べてやることが結構ある。

といっても決められたことではなく、俺が自主的にやるのだが・・・

それは木の伐採だ。


人間ホットナイフな俺は木を焼き切り倒し、ひたすら薪サイズに裁断する。

俺は木を焼き切ることで生じる煙に巻かれ、涙を流しながら作業をする。

煙たさに我慢できず、作業を中断し

ぐでーと横になる様子を愛しのエリンが<にっこり>ではない笑顔で見つめる。

なんとも愛しい気分になる笑顔だった。


そんなこんなで木一本分の薪づくりで懲りた俺は、まだ夕前だが

若干薄暗い森でエリンの隣に腰掛けるのだった。


「煙の臭いがするよ。くさい!」


エリンに臭いといわれて俺は死にたくなる。

加えて外道魔法も使ったためかなり疲れていた。


「うっ・・・エリンさん、くさくてごめんなさい・・・」


俺はエリンと距離をとる。

エリンは無言で距離をつめてきた。


「くさい!でも離れないで」


俺は胸キュンした。

エリンを抱きしめたい気持ちをグッとこらえる。

今は一応職務中だ。


俺は言うべき言葉を思いつくことなく、臭くなった毛皮の上着を脱ぎ、臭いを飛ばす努力をするのだった。


夕方になり、暗くなったため焚き木に火をつける。

しばらくして交代のカトー一家がやってきた。


「マサちゃん交代だ。この木はなんだい?」

「カトーさんヘザーさんお疲れ様です。次回使えるように薪を切っておいたんですよ。異常は特にありません」


「そうか、そうか。マサちゃんがいつも薪を作るから時間に余裕ができて助かるよ、いつもありがとう、では休みなさい。ごくろうさま」

にっこりとカトーさんはいう。


エリンはエリンでヘザーさんと話している。

「はい、ありがとうございます。では失礼します」

「(ん?昨日、バキが迎えに来たよな。普通はこっちら回復してからだぞ・・・なんだろ・・・)」


そんな疑問が浮かんだが、過ぎたことなので深く考えないことにした。


大き目の焚き木の周りに荷物と残りの人員がいる。

その中には俺の実家もいる。交代第一号は俺たちだ。


エリンが横になり、やはり疲れていたのはすぐに寝息をたてる。

俺は寝る前に近くで眠る弟のヤマトに心の中で謝った。


「(身勝手な兄貴でごめんよ、許してくれなんて思わないからな)」


そして俺はエリンのもとへ行き、胡坐をかいて眠るのだった。


ゴソゴソ、すぐ隣から音がする。

エリンが起きたようだ。俺は目を開く。


「エリンおはよう、大丈夫か?」

「んーー、おはよう。うん。バッチリだよ」エリンは伸びをしてにっこり答える。かわいい


「じゃ、いくか」

俺も凝った体を伸ばしつつ魔力を循環しほぐす。

「エリン、ちょっとまて」

そういうと俺はエリンを魔力風呂にいれる。

「はー。久しぶり~、きもちー」

エリンがだらしのない顔をする。かわいい


「マサ、ありがとっ、大好きだよ」

そういってエリンが俺の頬にキスをする。

「(なんかこう、シリアスな話のあとの大好きってお別れな感じがするな・・・)」

顔は笑うが、内心ではこんな暗いことをつぶやきつつ


俺はエリンと見張りの交代に向かうのだった。


交代地点まではすぐ近くだが、すんなり到着した。

一応マーキングがあるが、そもそも三角形の大きさが小さいため見張りのあたりの明るさがわかる。


「バルザックさんヘレンさん、お疲れ様です」

「マサちゃんエリンちゃんおつかれ」


隻眼のバルザックさんは答え、黒い瞳のヘレンさんはにっこりする


「なにか異常はありましたか?」

「異常なしだな、じゃ後は頼んだぞ」


バルザックさんはそう答え、俺の肩を叩きヘレンさんと戻っていった。


このポイントははじめの位置と違うので俺が切り倒した木がない。

故に腰掛ける木は無かった。


俺とエリンは近くの木を背にし、初日と同様に手をつなぎ、焚き木を見つめるのだった。


パチッパチッパチッ


焚き木の爆ぜる音だけがする。

交代から90分くらいたっただろうか。

前世チートの時間間隔も最近は信用できなくなっている。


というのも感覚をチェックするための時計がないからだ。


「(そういえば、日時計ってなかったな。作ってみるか)」

そんなこと考えいると、草の擦れる音が集落の位置とは異なる位置からする。


「(魔物か)」

「エリン、魔物だ。一匹だけだから。すぐに仕留めてくる。火の番を頼む」

そうエリンにささやく。


エリンは俺のほうに顔を向け口づけをして小さくいった。


「うん。帰ってきてね」


俺はなにか裏の意味があるんじゃないのかと勘繰るも、戦闘へ集中するのだった。


サワサワしていたほうへ進むと音が完全に消える。


「(感づかれたか)」


周囲は集落の焚き火と三角形をつくる見張りそれぞれの焚き火のためか、完全な闇ではない。


「(しまったなぁ。焚き木見つめてたから、夜目のききが悪いな。反省だなこりゃ)」


自身のショボさを再確認し俺は、周囲の気配を感じるため、じっと息を潜める。


「(さあ、どうでる。動けよ)」


周囲に耳をこらし、呼吸音に気を付けつつ、臭いの変化の可能性を信じ呼吸する。

使える感覚はなんでもつかう。


サササササササッ グオォォォ!


魔物は集落ではなく俺のほうにきた。


「(匂いか、音か?どっちにせよ好都合だ。だがデカいな)」


正面から俺たちの馬ほどのトラ型魔物が飛びかかってきた。


俺はとっさに横へと飛びかわし、すぐさま牙型ナイフを飛ばす。

しかしナイフはトラ型魔物に刺さることはなかった。


「(すごい毛皮だ。くそ、どうする、格闘主体の先輩はこいつにどう対処してんだ?)」


そんなことを考えているとすぐさま、反転してきたトラの飛びかかりが来る。


「(ワンパターンか?これならいくらでも対処できるが、一頭じゃなかったらマズい。ここで大きなケガを負いたくはないが、そんときはそんときか!)」


俺は覚悟を決めた。

思考のためワンテンポ遅れたので、飛びかかりをかわす。

避けた俺は振り返るトラに突撃を開始し、腹に手刀をぶちこむ!


グアッ!


トラは一瞬だけひるみ、すかさず腕をふるい爪での攻撃をはかる。


「(想定2!)」


俺はトラの腕の振りに合わせて、すり足で移動しすかさず先ほどと同じ箇所に手刀をぶち込む!


グギャアアアァァァ!!


俺の腕はトラの腹を突き破る!すかさず腕を抜き、俺はひるみ攻撃しそこなったトラの目に指を突き刺す!


ギャアアアァァァ!!


俺はすぐさまバックステップし、トラの顔面をかばうように伸びる腕をかわす。

俺は休むことなく、貫いた腹にナイフをとばしトラの腹を穴に向かって割く!


ギャアアアァァァ!! ドボドボドボ


ひときわ大きな叫び声が森に響き、臓物が落ちる音がした。


トラはふらつき血だまりのなかに沈んだ。


「(やったか!?)」


フラグがたつことはなかった・・・



読んでくれてありがとうございます!

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