俺たちの戦闘コマンドには「にげる」しかない
根拠のない天啓を信用し、根拠なき自信を胸に朝を迎えたマサだった。
俺の将来の嫁のエリンちゃんとの邂逅をはたした翌日。
俺には昨日の天啓を試す必要がある。朝が弱かった俺がここではいつも一番はやおき。
今日はママンたちは少し起きるのが遅いだろう。ぐっすり睡眠の俺にはどれほどの激戦があったのか想像することしかできないが、藁の飛び散りがすごいことになっている。俺は踏まれたんじゃないか??
俺の股の間のベイビーちゃんはちゃんと二人の従者をつれていた。安心した。
さて、片足が使えないなんて地面を這うことを仕事にしていたおれにとってはなんの問題もない。
うそ、問題ある。全裸だからこのまま這うと、ベイビーちゃんがズリズリされて痛そう。
すぐに服を被る。いざ、草原へ!お家からでて徒歩1秒。いつもの草原、っていうか平野。
最末端のおれたちは一番端っこ。おれは集落からはなれて物思いにけったり発熱魔法しているエリアに這っていく。だがその速度はよちよち歩きよりはやい。
「(くっ俺のヒトへの進化はまだ未熟だったのかっ!)」なんて前世で29だったやつが内心でつぶやく。
さて、俺は来ていた服を丸め、口に含む。そして折れ添え木のされている小さな足をみる。
さわさわといまだにぷにぷにの赤ちゃんハンドで骨折を細部調べる。
ピキッ!!「(ここか)」俺は覚悟を決めつながり始めているであろう骨を折る。
すでに折れているのか音はしない。突き刺すような痛み。俺は布を歯がほとんどない口で噛みしめる。
体内の魔力を傷に集中。やるのは再生ではない。ただの固定だ。なんでこんなドMなことを始めたのかって? 昨日なぜかピコーンときた。そして骨は地球と同じ。だと信じてというかなぞの確信があった。
そして、前世を思い出しではなく普通に懐かしんでたら思い出し。骨って造血幹細胞じゃーんってことを
血液はこっちでは個人用の魔力の液だ。それを骨でつくってるに違いない。と思い、折れてる骨が超回復するか実験することにしたのだ。
すごく痛いけど、まだ叫び声をあげるほどでもないな。驚きなのはたぶん泣くかもっておもったけど泣かなかった。マサボディー完全掌握かー?にやにや
ママンが心配するから帰らないと。おれは布を装着し、ホフクして帰るのだった。
水を浴びたのか、ツヤツヤしたママンが草とドロだらけの俺見てぷりぷり怒ってる。かわいい
拾われた猫のようにパパンに首根っこを捕まれ川へ向かう。泥だらけの猫ちゃんのおれかわいい。
しょーもないこと考えてたら水をぶっかけられた。
発熱できる俺にとって熱関係は問題ない。パパンの監視下のもと服を洗い、こっそり周囲の水を沸騰させたりして、しょーもないいたずらをして、首根っこを捕まれておうちへ帰る。沸騰させたときに奇跡的に魚をゲットしたので、パパンがママンに渡す。
今日も平和だ、うれしいな。
翌日、今までの平和はすぎさった。夜明け前から荷物を運び出し、家を分解する。短命種の接近の予兆。
彼らは数も多いので炊事の煙で接近は容易に把握できる。にもかかわらず、のんびりやの俺らと寿命が近いものを使いつぶす勢いで迫る彼らの差はあっという間に縮まる。
ダラダラではないが急いでるわけでもない、両親に憤りを感じながら俺は魔法でできる限りの脱出準備をする。昨日のおれのセルフSMはうまくいったようだ。足の違和感がダンチだ。もうすこしで完治だろう。
この血液はイメージでいうことをきくナノマシンのようだ(使ったことないけど)今回も無事に逃げ切るぞー、いや、逃げ腰じゃだめだ。返り討ちだぜ!いつものフォーメンション。前から俺。ママン(俺抱っこ)パパン。荷物浮遊はママン。パパンは迎撃だ。
近年では年一回のイベントから季節イベントに昇格されつつある、脱出イベントがはじまるのであった。
ドッドッドッド、毎回毎回、最初はこのようにまったり逃げるのです。
いつものように逃げる。毎回どこに逃げてるのかって?そんなの決まってるさ、この広大なバタダ王国の唯一の街。王都さwww ウケるだろぅ。なんで街が一個なんだよぅ。ヴォイス曰く、<豊か>ではないこの世界、たしかになんかちぐはぐなんだよなぁ・・・俺はこの種族の小さな集落が生活の中心だから知らないことばかりだけど、そんな小さな世界でも短期突撃を何百年と繰り替えるバトルジャンキーの女王。
そんな女王のもと反乱なんてするきもサラッサラない民たち、国民の善意で成り立っている。そんな国民たちは一応自分たちが襲撃されたらひどいめに合うっていう認識があるから、逃げるしその先は女王に集うバトルジャンキーの街。その途中で振り切れたらそれはそれでOK。ならさ遊牧するときも街の周辺とかもっと近くにいけばいいのに、わざわざ、国境方面にいったりするんだからさ・・・まぁ遊牧だから土地の栄養状態とか関係あるんだと思うけどさ・・・毎回毎回げんなりするよこのイベント。
この世界の異様さを再確認させてくれるイベントだよ。と、ぐだぐだママンに抱かれながら思う。
逃走から3日目そして人生初のイベント。共同戦線です!
といっても一緒に逃げるだけですwwwとくに向こうの部族と絡むことなく、ともに逃げる。
合流した部族は大所帯だ。数えて把握できないから、10よりは多いな。馬だけでも、50頭は余裕で越えてるな。
そんな感じで5日目の平原、補足された。ちなみに4日目の段階で逃げる速度は、ドッドッドッドから
ドドドッドドドッドドドに変わった、ちょっと焦ってたみたい。だが、毎日ちゃんと休む。さすがに不寝番はいるけどさ。こっちから攻勢するつもりは無いみたい。今回無事に生き延びたらパパンにきいてみるか。フラグではないです。
ヒュンヒュン。矢のように槍が飛んでくる。こちらでは弓は存在しない。魔法は基本的に<物を動かす>いった感じに利用されるので、練習が必要かつ槍よりも威力の劣る矢よりも槍が飛んでくる。まぁ剣とかもくるけどさ。あとこっちもおんなじ魔法を使うので矢のように軽い物は簡単に防げるんだよね。大気に漂うもやの流れから、高速でくる矢の飛来の察知なんて赤ちゃんのおれでもわかるんだ。だからわかったとこで防ぎづらい物が飛んでくるって感じ。
そう、今回は矢がきたんだ。短命種はいろいろな技術を試行錯誤してるみたい。で今回は実戦投入してるってわけだ。結果はさんざん。弓がこれほど使えないとはね。俺の魔力はもう十分集落でも使えるレベル、動かすだけならな。赤ちゃんだから気絶を繰り返しても日々の作業に支障ないしね。みんな必死で強くなるというよりも武術や魔法の鍛錬は娯楽に近い、そしてバトルジャンキーは街へ。そして女王とともにぶっこんだり、防衛任務についたりって感じらしいよ。
いやぁ今回は味方の合流もあったし、しょぼい兵器のテストのおかげでほとんど被害なしか。また次の襲撃にそなえて、粗食をしつつ保存食をつくったり物をつくったり狩りをしたりする生活がやってくるのだった。
その夜、俺は疑問をパパンに尋ねてみた。「ぱぱー、おしえてほしいことがありますー」「今回も無事でよかったねぇ(にこにこ)で、なんだい~、かわいいかわいい知りたがりさん~」「(酔ってんのか?w)」「なんで、こっちからやりかえさないのー?」パパンは地球でこのスマイルをされた100人中90人は墜ちるであろう、笑顔を崩さず答える。「もし、こっちから戦って捕まったり死んじゃったりしたらアンやマサが悲しむだろー?(にこにこ)」「(負ける前提ですか・・・いや清々しいほどの善人なのか、今回なんてまさにそうだ、こちら側が一斉に攻勢に転じれば、簡単に返り討ちにできただろう。敵が撤退するときはきまって兵糧関連だ。いや、それ以外考えられないしね。でも、戦って死者を出すよりひたすら逃げの一手でけが人だけにできたんだからこれでいいのか・・・)」
なんだかなぁ・・・




