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聖女ですが拳で語ります  作者: 明度千尋
聖女の家出
3/8

聖女様と初めての魔物

私はクラウディアを出てから街道沿いに走り続けた。

 目的地は北に進んだ所にある都市ハーリア、羊肉の料理が美味しい宿があるとセルティアが言っていた。

それに私が幼い頃育てられた孤児院もある。一度顔を出しておきたい。

 

 強化の加減もだんだん分かってきてだんだん普通に走れるようになってきた。しかし、いい加減喉が渇いてきた。大抵の身体異常は回復可能なのだが水分不足と空腹はどうにもならない。

 道沿いに生えている木の根元に腰を下ろし私は思案する。


 水たまりでもあればすすれるのに……


 そんな時近くの草むらから巨大なイノシシが飛び出してきた。高さは私の背と同じくらい異様に長く発達した牙が特徴的だ。思っていたよりも大きいが多分これが牙イノシシなんだろう。たしか発見した獲物をひたすら追いまわし突進してくるとセルティアがいっていた。

 こっちくるな、あっちいけ。

 しかし私の願いもむなしく牙イノシシは匂いでこちらに気付いていたのか、まっすぐこちらに向かって走り出す。


 「あ、やっぱり……」


 慌てた私は強化全開で走りだそうとしてすっ転んでしまう。後ろを振り返ると牙イノシシが目前まで迫ってた。

 ここは覚悟を決めるしかない。

 立ち上がった私は体の正面を牙イノシシに向け両手を前に突き出す。強化はもちろん全開。

 足が震える。今すぐ背を向けてしまいたい。


「こい!」


 自分の勇気を奮い立たせる為に声を出す。

 牙イノシシは声に一切ひるまず私にぶつかってきた。

 私は突進を体でうけつつ牙イノシシの口を押さえつけ、吹き飛ばされないように足を踏ん張る。

 体に衝撃が走るがダメージはほとんどない。

 牙イノシシは突進が受け止められたことに驚いた様子をみせ、首を左右に動かし押さえつけから逃れようとするが、私の手はがっちりと牙イノシシをつかんでそれをゆるさない。

 抵抗を続ける牙イノシシだったが、やがて動きが少し鈍くなってくる。

 今ならやれるか。

 

「ごめんなさい」


 私は片手を離し牙イノシシの眉間を思い切り殴りつける。

 拳に固いものを砕く感触が伝わってくる。

 押さえつけられた状態で思い切り殴られた頭部はひどく変形し、牙イノシシはその場に倒れこむ。

 ああ……殺してしまった。

 魔物とはいえ生き物を殺すのはこれが初めてだ。

 少し自分の身に付けた力が少し怖く思えてくる。少し加減を間違えば簡単に相手の命を簡単に奪ってしまう力。

 私は両手を合わせると牙イノシシが無事天にのぼれるように祈りをささげた。


 さあ、気分を切り替えよう。

 やはり殺したからにはしっかり食べてやらないと。

 牙イノシシは食用できて結構人気があるらしい、実はけっこう楽しみだ。でもどうやって食べよう。

 火をつける道具はもっていない。もっとも道具があっても焚火の方法がわからない。こんな時火の魔法が使えたら楽なんだけど。

 そもそもこれ、どうやったらお肉になるんだろうか。私がここ数年で見たことあるお肉はお皿の上に載っているやつだけだ。こんな毛むくじゃらどう扱って良いのかわからない。


 うーん……取り合えず保留して少し寝ようか。

 朝まではもう少し時間がある。日が昇ったら通りかかった人にでも聞いてみよう。


 私は牙イノシシを道から離れた場所に移動させ、死体の隣で寝るのもいやなので、私もそこから少し離れた所で横になった。

 本来こういうときは魔物除けの火とか起こしたほうが良いのかな、朝起きたら魔物に囲まれてたとかないよね。

 それにしても、のど渇いたしお腹もすいてきた。

 明日は牙イノシシ食べられるといいなぁ

 


 

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