表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヴィルディステの物語  作者: あるかな
【第1章】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/284

1‐10‐2 洗濯場の仕事



 部屋に戻り、パタリとベッドに倒れ込む。


 あの後、セラスに連れられ、洗濯場の手伝いの手続きを行った。毎週聖の曜日、午後からの作業という約束で、早速今日から手伝ってほしいと言われた。


 任された作業は至極単純。洗濯物を回収して転移陣――なんと魔法の力で一瞬で荷物を送る仕組み(なんてファンタジーな光景だろう!)――に運ぶだけ。洗濯物は対になっている洗濯場の転移陣に転移する。それが終われば、転移陣によって戻される洗濯済みのものを指定の場所へ届ける。


 今日、回収場所として派遣されたのは一般宿舎。この一般宿舎は名前の通り大神殿へやって来た一般の来客が利用する。ちなみに賓客には上級宿舎が別に用意されていると教えられた。

 宿舎から使用済みのリネン類を回収して集積場に運び、転移陣を利用して洗濯場まで送るだけ。簡単そうに思えたが、現実は甘くなかった。シーツやタオルの山は水分を含んでいないのに意外なほど重く、集積場までの距離がじわじわと体力を削っていく。

 移動距離も往復が多くてこれまた長い。コーマでの身体強化は必須。作業中常に身体強化をかけている状態なので、魔力がしっかり消費されていく。

 洗濯物を回収して転移陣へ置く。この時、転移陣の起動にも少量だが魔力が必要だった。そして、一度に転移できる物量は少な目で、これも意外に手間かつ魔力を消費した。


 もっと大きな転移陣を用意すれば楽であろうにと、集積場を管理する神官に零すと、彼は困ったように笑って答えた。『ナギサ君、それは贅沢というものだよ。転移陣を用意できる上級魔導士はめったにいないんだ。この国でも十人といないと思うよ。それにね、これ以上の大きさのものは神様にしか作れないんだ』と、なかなか驚く内容の話を聞かされた。

 しかも『人や生き物を転移させる魔法陣は神様にしか作れないし、余程の理由がない限り、神様も承諾してくれないからめったにお目にかかれないよ』と。

 その理由は、害意を持つものの侵入や危険物が安易に転移されないようにと考えてのことらしい。確かにこの集積場でも、ここに爆弾(この世界にあるのかな?)があれば、それを転移陣で洗濯場に送ろうと思えば送れてしまう。そんな物騒なものでなくても、毒蛇を一匹送り付けるだけでも大騒動になることは簡単に想像できる。魔法があるから何でも楽になるという考えは、甘いらしい。


 ナギサは今日の作業をあらためて思い返す。

 体力よりも魔力をものすごく使い、それによる疲労感が半端ないことに驚く。コーマの技をセラスと一緒に訓練していた時も疲れたが、ここまで長時間かつ一定量を使い続けることはなかった。今日はこの“長時間かつ一定量”ということが意外にキツイことを実感した。


 セラスがこのアルバイトを勧めてくれたのも納得である。確かにこれは訓練になる。仕事として使うのであれば、きっとこういう使い方が自然だ。騎士であれば任務中は長時間の身体強化が必要だと想像できる。


 とりあえず、今日の作業に魔力量が足りていたことに安心する。以前気づかずに魔力切れをおこし、気を失ったことがある。そんな危険な状況を避けるためにも、この仕事は良い訓練になるはずだ。毎週続けていれば、魔力量も増え、コーマの技の技量も上がる。本当に、良いアルバイトを教えてもらったと思う。


 このままベッドに倒れ込んでいると眠ってしまいそうだ。夕べの祈りを今日はまだ行っていないことに気づき、ナギサは寮の祈りの間へと慌てて向かった。



お読みいただいてありがとうございます。読んでいただいてとても嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ