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客間に入るとその男は窓際に立ち、外を眺めていた。
薄く差し込む日差しがその髪色をさらに輝かせ、そこだけを切り抜けば聖人画のような雰囲気をなしている。
身に着けているものは商人風の上下だが、燃えるような金髪と上質な陶器のような白い肌、髪色に負けずとも劣らぬ金色の瞳と長いまつ毛。女性だけでなく、男性であっても思わず振り返ってしまうほど整った顔立ちだ。
——実際、お茶の用意に控えていた神官見習いの手は、緊張のあまり止まってしまっている。
「リューク、何をしに来た」
「ひどいなぁ、ウォーリ。久しぶりに友人が訪ねてきたのに、部屋に入るなりの第一声がそれかい? まずは元気だったかい、とかあるだろう? 本当に久しぶりなんだから、こう再会の涙とかあってもいいと思うんだけどね」
リュークと呼ばれた男性は、それまでの無表情さを取り払い、涼やかな瞳に笑みを浮かべてウォーリに視線を向けた。
「——ああ、本当に久しぶりだな。神殿には随分来ていなかっただろ。よく守衛がわたしの友人というだけでここまで入れてくれたな」
——何が再会の涙だ。お前自身が浮かべていないではないか。毎度毎度フラッと現れて、突然旅に出かけて戻ってこない。再会の涙など、とうに枯れ果てているぞ。
だが……確かに前回会ってから、かなり経っているな。最後にリュークと会ったのはいつだったか……
とはいえ、わたしの友人というだけで、面会予約もない来訪者を神殿内の客間まで簡単に入れてしまうとは、守衛は何を見ているのか。
「ああ、それなら簡単な話さ。魔力登録がしてあるから、守衛にそのことを伝えた。実際に確認してもらって“神殿関係者”扱いで通してもらったよ。随分前のことだから、残っているか若干心配はしたけれど問題なかったよ。だから守衛を責めたりはしないでくれよ」
——ああ、勝手に人の思考を読むな、まったく……
魔力登録か。確かにしてあっても不思議ではないか。まぁ、していなくてもリュークであれば“してあること”にしてしまいそうだが。これだけ目立つ男だ。これからは守衛に誰何されることもなく神殿にやってくるのだろうな。
「で、目的はなんだ。意味もなく、ただわたしの顔を見に来た、などと言うなよ」
「う~ん、君に会いたかったのは本当だよ。ただ、まぁ、別の理由もあるけどね。——クラーヴィアに正式に面会できるように手配して欲しいんだ」




